ファンタスティック・プラネットのレビュー・感想・評価
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50年前の映画でもここまで斬新とは! いやはや凄い。
独特の雰囲気が不気味さを醸し出す。 西洋の宗教画がアニメになって動いているような感じ。 瞑想の仕組みや、知恵の輪、不気味な植物や怪鳥など、独自性のオンパレード。 今観てビシバシ斬新さを感じるって、50年前の公開当時は卒倒ものだったのでは。 最後が少しあっさりだな。
星新一風味のサイケな夢のような
ファンタジーは自由だ。リアリティの有無などというせせこましいくびきから逃れて、解放された世界で無邪気に遊べる。そんな世界観で綴られた物語から、何を受け取るかもまた自由だ。何かの教訓でも、単なる筋書きの面白さでも、美しさでも怖さでも。 星新一のショートショートが思い浮かんだ。星新一作品にはよく当然のように宇宙人が出てくる。高度な文明を持っていたり、青い皮膚だったり、人間を誘拐して動物園の動物のように見せ物にしたりする。ドライに描写された非日常の中に、押し付けがましくない寓意が見える。 遠い未来の世界で宇宙人に飼われ、不都合が起きれば蚊やノミのように殺される人間の物語を見ながら、人間以外の動物から見れば人間の姿や振る舞いはあの宇宙人のように不気味で尊大に見えるんだろうなと思ったりした。 ただ、分かったような気になれるのはその辺りだけだ。残りの大半は、超越したセンスのビジュアルと斜め上のクライマックスに呆然とするしかない。いちいち驚いている間に置いてきぼりにならないよう付いていくのに精一杯だ。 ドラーグ族の姿はもちろん、次から次へと登場するよく分からない動植物とその生態。どれも独創的でアートセンスを感じるが、何故か見ていて不安になる。ティバの学習ヘッドギアや飼われている人間のファッションなど、ごく一部かわいい要素も点在するので余計にカオスだ。 極め付けは、ドラーグ族の瞑想シーンだ。その色使いとサウンド、4人並んで瞑想する場面で体が変形する様子などは、何だか脳みその中を直接かき回されているような、催眠をかけられているような、謎の感触があった。ホラー映画のような怖さではなく、洗脳ビデオのような、うっかりすると取り込まれそうなちょっとした恐怖。 夢野久作の「ドグラ・マグラ」という、読むと気が狂うという歌い文句の小説がある。なぜそのように言われるかというと、狂人の精神状態を主観で描写しているかのようなくだりがあるからだ(私の解釈です)。この本を読んだ時に感じた、脳内に不可解なものがぬるりと入ってくるような恐怖と、本作の謎めいた感触はよく似ている気がした。 理屈では捉えきれないが、言葉にならないこの不穏な感触、嫌いじゃない。 徹頭徹尾振り切ったイマジネーションとシュールなビジュアルで固められた中、アップになった時の人間の顔とお婆さんのおっぱいの垂れ具合だけがやたら現実味があるのがまた独特の雰囲気を醸し出していた。 深夜にNHKBSで放送していたものを録画して観たが、リアルタイムで真夜中に観ていたら何かを持っていかれていたような気がする(妄想)。ドラーグ族の瞑想のように……
発想が凄まじい
オチが美しいし、あらゆる発想が斜め上行ってて自由で無限のアイデアを感じる作品。 ただ、冒頭から気色の悪い異星人によるイジメの様なシーンが長々と続くので下手なグロより見てて疲れるし毀誉褒貶激しそうな映画。
ファンタジー志望者必見
圧倒的な力の差があるドラーク人vs人間が相手から盗んだ知恵を使って反撃する。 これは製作当時の世界情勢、あるいは原作の、あるいは過去の戦争、奴隷貿易、などなんらかの寓意を想像させる。 しかし一番に思ったのは、これ進撃の巨人の元ネタじゃね?…だった。巨人と圧政、アンカーを使った反撃、絵柄も諫山先生みあるし… 少なくともサムネイルから想像していたようなシュールな世界でシニカルなことが起こるとりつく島ももないようなアーティスティックな作品では(そういう要素もあるけど)なく、直球の胸アツ王道ストーリーに冒頭から引き込まれ、ラストまで一気に観られた。 これは冒頭に1番引きの強い場面を持ってきた構成のうまさもあると思う。 ファンタジーものでのっけからここがどんな世界でどういう文明か、とかを懇切丁寧に説明したがる全作り手のみなさん!これをお手本にしてくださーいぃ!! おそらくこれを「普通に観られる」フィルムにするためにはとんでもなくエグい手間と時間がかかっているはずなんだけど、そういうことに一切の意識が向かず、すんなりストーリーに没入できてしまう。それが本当に偉業だと思う。 個人的には25年越しくらいの「死ぬまでに観たい1本」だったので、冥土の土産が増えました。
彼女が好きって言ったら嫌な映画NO1
不愉快(褒め言葉) 人間が巨大なドラーグ人にペットにされるダークファンタジー 画の世界観がサルバドールダリみたいで、 キャラデザもキモシュールカワイイ ストーリーもシンプルで説明も少ないからより不気味な画に集中してしまう アバター以外にも青い肌の生命体いたんだ 特にグロいシーンがあるわけでもないのに食欲がなくなる というか朝飯食いながら見る映画じゃなかった 特に人間がんばれって気持ちも起こんなかった 人間とドラーグ人が戦うんだけどどっちにも共感できなかった 人間も人間で独特の文明を築いていて、腰にちっちゃいワニを巻いて決闘するとことかめちゃ面白かった そんで決闘で死んでも全員ノーリアクションでサッパリしてるの最高 ファンタスティックプラネットを見てから一週間はドラーグ人が夢に出てくるのを覚悟しといた方がいい 最初は嫌だったけど、最近はドラーグ人が夢に出すぎて「あれ、今日はいないのか」って思うくらい 【まとめ】 美大生が好きそうな映画 Eテレがたまにやる子供にトラウマ植え付ける系作品の大長編みたいな映画 これを好きだと言った日には友達が相当厳選される映画
独特の世界観のあるキモ面白い映画
2021年に劇場公開されていた当時、色々と話題になっていた作品。WOWOW公式がYouTubeで期間限定公開していたので鑑賞しました。
結論、キモイ!!!!!(誉め言葉)
独特の世界観で描かれる、ペット化された人間と上位存在のドラーグ人との対立。美しいながら奇妙な世界観で描かれる情景は、結構好き嫌い分かれそうな気がします。私は好き。
ストーリー自体も案外分かりやすく、ドラーグ人に虐げられていた人間の反乱の物語ですね。ストーリーは結構単純なのに正直世界観が奇抜過ぎて、本作を理解できたかと問われれば微妙なところですね。瞑想すると赤いシャボン玉が飛んでいくところとか、未だによくわかりません。
カルト的な人気を持っているというのも分かる、不思議な魅力を持った作品だと思います。
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地球ではないどこか別の惑星の話。そこには青くて巨大な体で高い知能を持っていたドラーグ人と、彼らに虐げられる人類(オム族)が生活している。ドラーグ人のいたずらで母親を喪った少年・テールは、ドラーグ人の知事の娘であるティバに拾われ、愛玩動物のように首輪をつけられて生活することになるが……。
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『猿の惑星』にテイストが似ているように感じます。人類の上に立つ存在が現れた星を舞台にしたSF。
調べてみると、猿の惑星の原作は1963年の発表ですが、本作の原作『オム族がいっぱい』は1957年に発表された作品です。つまり猿の惑星に先駆けて「生態系の頂点が人間じゃない星SF」を描いた作品と言うことになります。先進的ですね。
猿の惑星の方が先に映画が製作・公開されたこともあり、本作の知名度は猿の惑星に劣りますが、もしかしたら猿の惑星よりも本作の方が人気になってリメイクや続編がどんどん製作される世界線もあったかもしれませんね。
観る人を選ぶキモカワ映画ですが、一見の価値ありです。オススメです!!
き、気持ちわるっ…でも
気持ち悪い。でも、めちゃキレイ。色合いとかオシャレ。絵本が動いてるみたい。
…と思ったら切り絵アニメなんだそうです。つまりキャラクターを描いたら、頭、腕、足などパーツ毎に切り離して動かします。独特な動きになるので気味悪さがパワーアップ。走って逃げる描写など、身体が上下に跳ねるような動きがあまり無いまま水平に動くし、手や足のパーツだけパタパタ動く感じになるんですよね。絵のタッチは繊細で芸術性の高さを感じるのに、動くとなんかカクカクしててちぐはぐというか、違和感あるというか。さらに独特の音楽(確かに言われてみればピンクフロイドっぽい)も相まって、ヒーッ…こ、怖い笑
中世のキリスト教絵画みたいな不気味さがあります。絵がちょっと歪んでて下手ウマなタッチです。中世は、あんまり写実的に裸体を描くと俗っぽくなるので(生々しいエロ本みたいになっちゃうんでしょう)、宗教画はわざと下手に描いてたようです。
この作品を見ると、人間て残酷なことしてるよねぇ…と思い知らされます。
すごくきれいだし、衝撃的だし、凄い!って思うけど好きかと聞かれると微妙。好き…ではないかな。でも一度は見ておきたいタイプです。全然古く感じないのは凄い。かっこいい。
あと、ティバが超良い子じゃん…とキュンとしました。ペット(人間)に自分と同じ名前を付けようとする所ですっかり虜に。
私がフランス語が全く分からないせいか、宇宙人語に聞こえなくもない。ちなみにフランスとチェコスロバキアの合作です。全編通してずーっと戦ってるのと、古典的な絵柄のせいか、あの辺りの戦ってばっかりの歴史を何となく彷彿させるところあり。
この作品もものすごく今さら観たけど 内容もさることながら、70年代...
この作品もものすごく今さら観たけど 内容もさることながら、70年代にこのアニメーションが存在してることに震えてる。この絵が動いてるのが意味わからない。すごすぎた。 WOWOWのYouTubeで観た。
物語と関係なく面白いと感じたところは…
・何の説明もなく見せられる、奇妙な動物たち ・なぜかいつも片乳を出しているオム族女性 ・オム族を殺す自動発射型のガスが妙に長回し ・ドラーグ族のサイケデリックな食事と瞑想のお時間 ・オム族の神秘的かつ奥ゆかしい生殖活動 ・時代を感じる音楽 以上です。 「こんなアニメーションが50年前にあったんだ!」という経験として、一見の価値ありと思います。
そして人は地球で同じ事を繰り返す
アリの行手を阻んで動きを眺めて巣穴に水を入れてみたりしていたなという幼少期の記憶が…。 青い人達、本気出したたら勝てそうなのに(大きいし)星分けて生きる事でよしにするの偉いな
シュール!シュール!シュール!
全編通して、不思議な世界観が展開される。
奇妙な動く植物、次々と生えてくる結晶体…
そして、何より人間が虫けら同然に扱われていることに、誰しも心の底にある気付かぬ罪悪感と恐怖心がざわついてくるだろう。
虫を見つけると、掃除機で吸ったり、ガムテープに付けて排除しようとしている自分の姿を思い浮かべるかもしれない。
今のところ人間以上の知能を持つ動物はこの地球上に居ないのが幸いしているが、何かのきっかけで遺伝子が組変わり、『猿の惑星』のように立場が逆転する可能性も完全に否定は出来ないのだ。
かと言って害のある虫を生活から排除しないわけにはいかないが、遊びの為に闘わせたり、意味のない殺戮や、己の過剰な欲望を満たすために残酷な扱いをしている人間の生き様について、考えを馳せることを本作は提示しているようだ。
もう少し視点を拡げると
この地球文明の始まりを考えてみることも出来る。
果たして、人類はダーウィンの進化論のように発達してきたのだろうか??
終わりは至って平和的なので後味は悪くないが、現実の人間の業に対して、地球はどのような結末を出してくるのか。
夢に出てきそうな作品
す、すごいものを見てしまった…。
今地球上で動植物を支配している人類が、
ドラーク人に虫ケラのように扱われているのがもう…。
人類が何かに支配される世界もあるかもしれんもんな…。
終始不気味でゾッとする感じだった。
ティバちゃんが大事に育ててくれたおかげ…。
もう本当すごいものを見てしまった…。
50年近く前の作品知って驚き。
訳わかんない草?動物?が本当夢に出てきそうで…。
手塚治虫の火の鳥でも書かれていたが、なめくじが高等生物の世界があったりして、
今の世界が奇跡的なものだということを知った。
24.3.12 YouTube WOWOW
シュール、でもそれだけじゃない
1973年にこの作品が作られたと思うと驚き。良い意味でどんな頭してるんだろう。
人間の未来かもしれないし過去かもしれない。フィクションだけど想像してみると面白い。
今の世界では虫たちから見た人間はドラーグ人だよね。でも人間はドラーグ人のように虫たちと和平交渉が出来るかな。
シュールだけどそれだけに終わらない作品だった。
これが本当の人類の歴史だと思ってみれば面白い
色鉛筆風の絵で見応えがある。効果音、BGMも斬新で面白い。巨人族と人間が登場する。 視聴中に閃いたことがある。 日本が世界の縮図なら、日本には小型の人間が、世界には大型の人間がそろぞれ住んでいた。世界に似せた島を巨人たちが作ったかもしれない。 インスピレーションが掻き立てられる。 描いた絵がアナログで動いている感じがして好き。
切り絵アニメーションって
所謂、ストップモーションでアニメを作ったってこと? とその辺わからずにフル視聴した。 正直ストーリーは変なの〜って思ったけど これは癖になったりハマる部類だなぁ。と 違う意味での危険性を感じた。 キリスト教文華圏らしいアニメ。 カルトでマニアックだわ◎
素晴らしい映像表現と内容。衝撃過ぎます。
内容は、とある何処かの異世界が舞台。ある惑星には生態系の頂点として人間の10倍ほどの青い肌と赤い目をした宇宙人がいて、人間を飼っているそのドラーグ人とドラーグ人に飼い人が知識を得て逃げ野良人間としてドラーグ人世界との共生関係が始まるという幻想的な物語。 印象的な台詞は『彼らは脆い弱い生き物たのだ!』ドラーグ知事が初めに娘に語りかける言葉。人間な存在が蟻の様に描かれている辺りヒューマニズムを皮肉っている所が今にしても食い込んで表現してるなと感じる。虫人間としての扱われ方はいい!一気に世界に吸い込まれます。もし当時観てたら衝撃過ぎて忘れられなあだろうと思います。 印象的な場面は、ドラーグ人から首輪を着けられるシーンです。激しい音と光はそれだけで説得力あります。A・アシモフの言う様に過ぎた科学文明は魔法の様に見える。その通り異様な不可思議な世界観を納得させるだけの画像構成が凄いです。癖が強すぎて癖になりそうです。 印象的な演出は、やはり脚本のキレの鋭さです。底なしの野蛮な欲望の権化である人間との共生に舵をきる辺り異星人の価値観として、納得してしまう凄さがあります。よく言えば論理的。悪く言えばご都合主義。しかし発表された1973年という事を考えれば凄い!2023年の今観ても十分すぎる新作感覚味わえました。普遍的なテーマである人間をメタ的に捉える表現には未来への先見性が感じられます。 映像のオリジナリティもさることながら鉛筆画も味がありいい。瞑想や雲を食べる仙人の様な欲の薄いドラーグ人と野蛮で貪欲な人間との対比が比喩的表現として自分の考えの中に入り込んできて、ドラーグ人の学習用具の様に頭から離れません。SFが好きな人からすれば親しみ易い実験的で革新的な素晴らしい作品です。
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