劇場公開日 2024年3月22日

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ピアノ・レッスン(1993)のレビュー・感想・評価

全79件中、61~79件目を表示

5.0自分という存在、希求するもの。

2021年12月27日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

怖い

興奮

スチュアート。
 歓迎はしてくれるけれど、替えのきく存在。
 未開の土地に来てくれる花嫁。こんなところに来てくれる女性はなかなか得難いから、大歓迎なのだけれど、はっきり言って、来てくれるなら誰でもいい。(この時代のキリスト教信者で未婚の母を受け入れるほど、条件を下げないと嫁は来ない)
 来たからには、今までの自分を捨てて、この土地に順応することを求められる生活。変わることが前提のこれからの人生。

ぺインズ。
 エイダは今までの生活の中にはいなかった存在。
 心にしみわたり、新しい扉が開かれるような衝撃を与えてくれる音楽。周りにはいなかった所作・ふるまいに”文明”をまとう女性。周りの人には表情を崩さぬのに、娘に向ける視線、ピアノを弾いているときの豊かさ、そのギャップ。
 私でしかない私を、誰もが「変われ」と望み、自分でも変わろうとしたことはあったけれど、とうに変わることはあきらめた私をそのまま、唯一無二の存在として、見つめ、憧れ、求められる。

どちらに惹かれるだろうか。
 しかも、一人は、良かれと思ってだが、ずかずかと大切にしている部分に踏み込んでくる。
 もう一人は、ずうずうしいところもあるが、少しずつ間合いを詰めてくる。
 流暢な言葉。でも、魂は響き合わない。
 朴訥とした言葉。でも響き合う魂。

娘フロラ。
 自分だけを見つめていた母の心に、自分だけが母とわかり合えると思っていた母との関係に、別の存在が…。自分だけを見てほしい、自分とだけの関係のままでいてほしい。そう求める娘。

監督は『インザカット』の監督。こちらの作品の方が断然いいです。
女性の官能が、女性目線で見事に描かれています。あまりにも生々しくて蓋をしたくなるほど。

相変わらず、画面の隅から隅まで調度・色彩に拘り抜いた情景描写も心揺さぶられます。
 19世紀という設定もあり、ヨーロッパから見た辺境・未開の地にありながら、あのドレスの数々。
 海辺に放置されたピアノと母娘。
 沼地と言いたくなるような森の掘立小屋との対比。
 自然光、燃える火による照明に照らし出される世界。
 そしてあのシーンのあの雨。
 全てが一枚の画としても美しく、惹き込まれます。

役者も見事。

偏屈とも言いたくなるような頑ななエイダの表情・振る舞い。
  演じるは『ザ・ファーム』のあの方!!!まったく印象が違う。エキセントリックな女性という点では同じだけど。
  言葉をコミニュケーションの道具として使わない女性。
  表情も考え方も硬い。なのに、とても情感豊かにその心情を表現されています。
  エイダがこのように演じられなかったら、薄っぺらい不倫物語になりそうなのに、エイダが、このように生きなければなかった様が、切々と伝わってくる。
  ピアノも吹き替えではなく、ハンターさんが弾いていらっしゃるそうです。
  何たる役者としての底力。圧巻。

朴訥な男達。
  カイテル氏は、『天使にラブソングを…』のコメディタッチとのふり幅の広さに脱帽。『タクシードライバー』とも違う。

身体を求めあうシーン。
饒舌ではない。なのに、情感豊かな表現力。

あまり説明しない映像・脚本の代わりに、溢れかえるように奏でられるピアノ。いつまでもきいていたい名曲。

くぎづけになります。

子どもの、罪のない行いに端を発する後半の展開には息を飲みます。純粋ゆえに残酷。
そしてラストに繋がる海のエピソードがすべて。それまでの展開はこの為の序章だったのかと思うほど。
 「私は何のために生きているんだろうか」を感じさせるあの水中の場面。

エイダの生き方に共感できるかと言われれば、首をかしげるけれど、こんな情熱的な想いには憧れもします。
そして、自分らしい生き方へのこだわり、人と繋がり合うってことについて、考えたくなります。

まぎれもなく傑作です。

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とみいじょん

3.5【”秘密のピアノ・レッスン。”劇中に流れるピアノ曲の美しさと、エロティックなシーンの数々が印象的な作品。】

2021年12月21日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

知的

幸せ

ー 「パワー・オブ・ザ・ドッグ」が面白かったので、ジェーン・カンピオン監督の代表作と言われる今作を鑑賞。-

・”6歳で話すことを辞めた”“暗い才能を持つ”エイダ(ホリー・ハンター:美しきかな・・。)はお転婆娘のフローラ(アンナ・パキン)と共に、1850年代にスコットランドから、父が決めたスチュアート(サム・ニール)に嫁ぐために、彼女の言葉を紡ぐブロードウッド制作のピアノも舟に乗せ、ニュージーランドへ。

・荒れた波の中、海岸に到着するが、足場の悪い中、スチュアートはピアノを海岸に放置してしまう。
ー エイダにとって、自分自身の言葉を紡ぐピアノを新しき夫が放置した時点で、彼女の夫への愛は萌芽しないのである・・。-

・仕方なく、エイダはピアノを弾きに、頻繁に海岸へ足を運ぶ。
地元民と交流する心寂しき男べインズ(ハーヴェイ・カイテル)はピアノの美しき音色とエイダの姿に惹かれ、スチュアートに自分の土地とピアノを交換するよう持ち掛け、苦労して自宅にピアノを運び入れる。
ー ベインズは地元民と同じように顔にタトゥを入れているが、寂しき過去を持っている事も併せて、仄めかされる。-

・べインズはエイダに、自宅でピアノを教えて貰う事を依願する。
ー ”一度のレッスンで、黒鍵一つ返すから・・”
  ピアノのために渋々、べインズ宅に通うエイダだが、徐々に彼に惹かれていく。
  これは勝手な推測だが、エイダはべインズに自分と同じ”寂しき影”を感じ取ったのではないのではないか・・。-

・べインズはエイダの首筋に触れ、足に触れ、そして・・。
ー 美しき、エロティックなシーンが続く。
  最初は抗っていたエイダだが、徐々にベインズに身を任せる・・。雨音の中、絡み合う裸体・・。-

・二人の”秘密のレッスン”に気付いたスチュアートが雨の中、エイダに加えた危害。
ー 残酷なシーンであるが、フローラの学芸会で披露された、影絵の劇中劇とのシンクロ具合が絶妙である。-

<エイダとべインズは、スチュアートの元を離れ、島を出る。
 ピアノが途中、海底に落ちて行くシーンが印象的である。
 エイダにとっては、ピアノへの執着は失せ、想像の中で愛するべインズとピアノを弾くのだろう・・、と解釈した作品である。>

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NOBU

4.0100年前のニュージーランド

2021年11月13日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

若きホリー・ハンター熱演‼️
美しく迫力あり、あっという間の2時間でした。
とても良かったです。

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tuna

4.5強い女

2021年10月31日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

19世紀のニュージーランド、未開の地に娘(アンナ・パキン)を連れて、嫁いできた母(ホリー・ハンター)はピアノを通じて知り合った野性的な男(ハーヴェイ・カイテル)と恋に落ちる。
女性監督ジェーン・カンピオンの描く女性像は、自我が確立していてぶれない。

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いやよセブン

3.5ピアノは彼女の本性?

2021年6月16日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

怖い

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マリエル

3.0音楽も映像も美しい

2020年12月22日
スマートフォンから投稿

海辺に置かれた一台のピアノ…
の映像を入れたくて作った映画と聞いた。本当かどうか知らないのだけど、本当にそんな感じの映画。
海でピアノを弾いていて、娘が踊っているシーンが好きです。

ストーリーは好きではないのですが、映像と音楽が好き。

公開当時に映画館で観賞。
いつだか覚えていない。
それでも、サントラCDは今も時々聴いてる。

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まめ太

4.51994年劇場公開時鑑賞

2020年6月6日
iPhoneアプリから投稿

マイケル・ナイマンによる本作のサウンドトラックがとても好きでCDを買ったりもしたが、最近は配信もあり嬉しい。これを弾くために楽譜を入手してピアノを習おうかと考えたくらい好きだ。メインテーマ曲ともいうべき「楽しみを希う心」もいいが、エンドクレジットで流れる”Dreams of a journey”も好き。

ホリー・ハンターが口がきけない役なのだが、所々で喋っていないのに喋っているかのように、そしてエイダの思考が頭の中に流れ込んでくるかのように思えた。
三角関係と捉えるのが普通だろうが、終盤のあの場面では実は四角関係だったのかもと思ったことを覚えている。もっと穏やかな展開にもなりえたのだろうが、ダメな方へ突き進んでしまうのもまた人の業か。

この年は『シンドラーのリスト』『ギルバート・グレイプ』『さらばわが愛 覇王別姫』もあり、私的には大豊作の年だった。

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なお

4.5《2回目の鑑賞後の感想》そういうものが奇異と思われた19世紀半ばに置くことで、強い“自我”を持った女性の姿を映像で紡ぎ奏でた正に“映画”と言える“映画”だと思う。感激した。

2019年11月17日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

※2024.03.27. 2度目の鑑賞。【ユナイテッド・シネマ橿原】

①下記が1回目の鑑賞後の感想。イヤイヤ、映画はやはり何回も観ないといけませんね。

“男のケツを観る映画”と揶揄したアメリカの某映画評論家の批評がなかなか的を得ている。ハーベイ・カイテル、裸になるの好きですね。ただ、全てをアナ・パキン扮する娘の視点で描いているところは凄いと思う。

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もーさん

4.0ピアノと肉欲

2018年11月29日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
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kossy

5.0贅沢でエロチックな映画

2018年10月26日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

興奮

知的

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ジョバンニ

5.0息を呑むほど美しい

2018年7月2日
PCから投稿

雷鳴に夫と声を奪われたエイダ。

彼女にとって「ピアノ」とは我々の声のように、自己表現のための、「魂の解放」のための媒体であった。

抑圧された新天地において、レッスンという形で、自由にピアノを弾かせてもらえるジョージに、彼女は感情とともに、欲望をも解放する。

聴覚で、視覚で、嗅覚で、ピアノを弾くエイダに惹かれるジョージ。彼の感性は先住民の中に醸成されているものなのか... 理屈では説明できない美しさ、気品、静謐さ、色気、そして彼女自身の強度に、我々は引きこまれる。

これは、理性がこの世を支配する現代の世俗には中々理解できないものだ。音楽とは只の娯楽に過ぎない、女性も只の功利的な、或いは自分の性欲のはけ口としか考えていないのだろう。ゆえに自分の理解を超越した「嫉妬」は「憎悪」へと変容し「処刑」へと向かうのだ。

エイダは自らの翼を失ったが、それが過去との断絶の決心となる。魂の解放のためのピアノ、それはジョージに対する真の愛を発見させたが、それによって彼女の自由の愛を奪う呪縛となったのだ。

彼女は過去をピアノを棺桶に、音のない深海へと葬り去る...

旋律の美しさ、人間の育む自由な愛の美しさ、自然の美しさ、すべてが1つの作品の中で調和し、観る者の心を震わせる強度をもっている。

最も美しい映画の1つではないだろうか。哀しみの漂うタルコフスキーとはまた違う気品が感じられる。

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nagi

5.0とても良い映画

2018年5月14日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

興奮

この作品は官能的で、ホリー・ハンターの演技も良くて、音楽も映像もいいです。
アカデミーで脚本賞を獲っただけあって脚本も良いです。

久し振りに心から良いと思える作品に出会えました☆。

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hide1095

4.5美しくて残酷で切ないお話

2018年3月31日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD
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ねこきのこ

1.0曲だけやね

2017年12月4日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

これって公開時けっこう話題になりましたな。主題曲も有名になったし
観には行かなかったけど

むかしレンタルして途中であきた。
いや、自分がガキだったのかも?と再度みてやはり途中であきた、一応早送りしながら最後までみたが。

単なる官能ポルノ映画にしか思えない、雰囲気だけって感じ。
女性がみるとまたちがうんじゃろか?おいらの頭が悪いのか?

でも、これの時期はよーわからんおしゃれ系映画がたくさんあったよなあ。
少なくとも自分にはわからんものばかり。
ヴィム・ベンダース監督とか(でもパリ・テキサスはけっこうよかった)
これよりだいぶ前だが
「ストレンジャー・ザン・パラダイス」のジム・ジャームッシュとか
でもタクシーに客が次々乗ってくる会話ばかりの映画はけっこうよかった。

好きずきだけどねえ…とか言いたかないけど…つまらんものはつまらん。
あたしゃ手に汗握る展開がみたいだよ、それで?それで?と夢中になりたいだよ
言ってることが木根さんと一緒だな(笑)

ところでサム・ニールと言えば
「オーメン最後の闘争」とか
テレビドラマだけど
「カインとアベル」ケインだっけ?のイメージが強い。このドラマがちょーおもしれー
ハーベイ・カイデルなら
「レザボア・ドックス」
とか。
映画、ドラマてそういうもんだろう、違うかあー?

最近、みたい映画まるでいけなくてトホホでケチしかつけられん。
ピアノレッスン
が好きなかたはすいません。でもやはりわたしはつまらないです、これ

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守銭奴見習い

3.5心打たれる秀作

2017年5月14日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

心打たれる秀作

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tsumumiki

2.0ちょっと頑張らなきゃ見れなかった。 内容が簡単に説明できてしまうほ...

2017年2月27日
PCから投稿

悲しい

ちょっと頑張らなきゃ見れなかった。
内容が簡単に説明できてしまうほどスカスカに感じた。

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文た

4.0独特な世界観

2016年7月26日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
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cris

4.5名演技

2014年11月10日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

知的

幸せ

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dolphinkick

4.5ピアノが静かに流れてます…

2009年9月24日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

幸せ

主役のホリーハンターが静かに演じてます…
悲しいピアノとまだまだ未開のジャングル…
ピアノのレッスンから不倫へ…

いつも悪役のハーベイカイテルが静かに光ってます…
間男で強面なのに、善人?

全体的に暗い感がありますが、女流監督の意欲作と思います。

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