ハリーの災難のレビュー・感想・評価
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大自然に死体。緊張感ゆるゆるな不条理ムービー
ヒッチコック作品の中でもひときわ異彩を放つ一作だ。大自然の中で見つかった男の死体。気のいい元船長は自分の猟銃の流れ弾に当たったのだと思い、通りかかったご婦人とも結託して隠蔽に努めるのだが、やがて意外な真相が判明し・・・。冒頭から男の子が死体を発見するブラックさを香らせつつ、「自分のせいだ」と口にする元船長はフワフワとしていてどこか緊張感に欠ける。目の前の死よりも、全く別のところに気を取られているご様子。これを見た人は「なんてシュールな」と困惑してしまうはずだ。そんな矢先、ふと思い出したのはベケットが52年に発表した「ゴドーを待ちながら」。待てども暮らせどもゴドーは一向にやってこない。やってくる気配さえない。この不条理さはどこか55年の映画「ハリーの災難」と似ている。新しいもの好きなヒッチコックが当時の最先端の不条理ジャンルに挑戦した、いわば実験作のようなものではないかとも感じる一作である。
ヒッチの異色作
ヒッチには思い入れが深い作品ですが世界中でヒットしなかった作品です。
確かにいつものヒッチを期待してゆくと肩透かし、というより何を言いたかったのかよくわかりません。
ブラックとかユーモアサスペンスなんて言葉で批評されることが多いですが、一言で言えばシュールです。わかり易くいえばファーゴの原型、コーエンブラザースが演出したら面白そうです。
死体が目の前に転がっているのにあののどかさ、平穏さ。善玉なのか悪玉なのか見当もつかない登場人物。犯罪は喜劇、というヒッチお気に入りの言葉を具体化した作品だそうです。
ライトタッチで変化球ではありますが、ヒッチらしいスリラーとサスペンスに満ちています。
マクーレーン先輩初期の出演作ですが撮影中ヒッチとは合わなかったらしいです。尤もヒッチはすごく褒めてますけど。
【”誰がハリーを殺したの!”誰もが容疑者の疑いがある中、何度も土に埋められては掘り返される無言のハリーと彼と繋がりが在った人たちとの姿を描いたブラック・コメディ。クスクス笑える作品です。】
■秋の森で、ハリーという男が死体となって発見される。
すると、第一発見者である少年アーニーの母親ジェニファー・ロジャース(シャーリー・マクレーン)、ハリーに襲われそうになった中年婦人グレイブリー、禁漁区で狩猟をしていた元船長ワイルスら、ハリーを殺したのは自分だと信じて疑わない人々が次々と現れて、物語は次なる次元に移って行く。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・最初からハリーが倒れているのに、誰も彼の死体を保安官補のカルビンに届けずにオロオロする姿が可笑しい。
・可哀想なハリーは、何度も土に埋められ、再び掘り返されるのである。クスクス・・。
・散策しているグリーンボウ医師に至っては、彼が倒れているにも関わらず、何度も彼の傍を本を読みながらブツブツ言い続けている。
ー で、ハリーに引っ掛かって転ぶ。-
■売れない画家、サム・マーロウ(ジョン・フォーサイス)の絵を全て買うというお金持ちが現れて、マーロウはハリーの死で憂鬱になっていた人たちに贈り物をするのである。
その姿を見て、ハリーの妻であったジェニファー・ロジャースはハリーと違って紳士的なマーロウに惹かれるのである。
<で、ハリーが死んだ原因を明かすグリーンボウ医師の言葉。思わず脳内でずっこけるが、皆がホッとする姿が、コレマタ可笑しいのである。(ちょっと、可哀想なハリーだが、彼の生前の容疑者達が言う行いを考えると、仕方がないかな、とも思ってしまうのである。クスクス。
今作は、アルフレッド・ヒッチコック監督がブラックユーモアとサスペンスを絶妙に織り交ぜたコミカルなミステリー作品なのである。>
ハリーのつぶやき
やっと見つけたんだよ
まさか私のことをそんなふうに思っていたとは知らなかった
私はただただ彼女のことを思ってやって来ただけなのに
殴らなくたっていいじゃないか
頭はクラクラしてきてどうにも焦点が定まらない
どうにもまともに歩くことさえできないではないか
もう一度彼女に言おう、戻ってほしいと
力尽くでも連れて帰ろう、きっと彼女は悲しくて辛い生活をしているはずなのだから
なのに今度は靴で殴られてしまった
どうも胸まで苦しくなってきた、あぁ〜息をするのも辛い
苦しい、痛い、胸が痛い……
子供が居る…
誰かが私の足を持って引っ張ろうとしているぞ
まったくとんでもない一日だった、一日か?
昨日の明日は明後日じゃなくて今日のはずなのに
とにかくもうゆっくりとさせておくれ
とんだ災難だ
アーモンド州の紅葉が美しいカラー映画
ハリーという人が森で死んでおり、船長は自分の流れ弾にあたったと思い死体を隠そうとするが、何人も人がやってきて誰も死体を見て驚かない。
シュールな謎めいた映画。30才という画家の男性は50代ぐらいに見える。
知らなければヒッチコックの映画だとわからない。コメディということだけど声を出して笑うところがある訳じゃない。
特筆すべきはアーモンド州の紅葉が何とも美しいところ。
ひとつの死体(ハリー)をめぐって。 死体を見ても驚かない連中に驚か...
異色のようでこれもヒッチコックの代表作のひとつにいれるべき作品かも知れない
本作は特にそのユーモアとウイットに焦点を当てて中心に据えた作品で、その点で他の作品とは毛色が異なる
しかしこれもヒッチコック映画の特徴をなす柱であるのだから観てないとファンとは名乗れない
基本、舞台劇にこそ合う物語だ
ビスタビジョンのワイドなカラー映像には無駄に広く美しくもったいない
なのでヒッチコックは村の林の秋の紅葉を雄大に美しく撮って見せているがそれは大人の事情
映画の内容は白黒の従来サイズで十分なものなのだ
大女優シャーリー・マクレーンは本作ごデビューで確かな存在感を示している
バーナード・ハーマンがヒッチコックに初めて音楽を提供した作品でもある
異色のようでこれもヒッチコックの代表作のひとつにいれるべき作品かも知れない
意外とアメリカでは興行不振だったらしい。かなりアメリカ的なブラッ...
とりあえず4人はハリーに謝りなさい。
「ハリーの災難」DVD 字幕版で鑑賞。
*概要*
ある小さな村でハリーという男の死体が見つかる。村では様々な理由で「自分がハリーを殺してしまったのでは?」と思い込む人物が何人もいたため、彼らはそれぞれの保身のためにハリーの死体を埋めたり掘り返したりすることになる。やがて村の保安官が動き出し、事態は意外な方向へ展開していく。
*主演*
エドマンド・グウエン
*感想*
ヒッチコック作品巡り第七弾!今回のヒッチコック作品はコミカルに描かれてるし、ユーモアを前面に出してるのが印象。他の作品では、サスペンス&シリアスな要素が強くてもユーモアを忘れない。それに対して、今回はコミカルに描かれてた。
ハリーを誤って撃ち殺してしまったと思ってるアルバート、ハリーの死体を見て何故かスケッチを描く絵描きのサム、夫の存在が嫌になったハリーの妻・ロジャース、突然襲ってきて正当防衛の為に靴のかかとで殴ったと告白するグレブリー夫人の4人がハリーの死体を巡るドタバタ劇。
会話シーンがダルくて何度も眠くなるし、ハリーの死体を発見しても驚きもせず、足で踏んだり、蹴ったりしてツッコミ所はありましたが、楽しかったです。
タイトルの通り、ハリーがホントに災難な目に遭ってますw ハリーを自分が殺したと思ってる村の人が何度も埋葬したり、掘り起こしたり、ホントに災難です。。(^^;
今回のオチは納得!スッキリはした…かな?
とりあえず4人は、ハリーに謝りなさいw
ツッコミ所はありましたが、ヒッチコック作品の中で一番コミカルな内容。ブラックユーモアを描きつつ、サスペンスでもあったし、何度も眠たくなりましたが、面白かったです。(^^)
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