パラダイン夫人の恋

劇場公開日:

解説

デイヴィッド・O・セルズニック(「風と共に去りぬ」)が製作し、アルフレッド・ヒッチコックが「汚名」に次いで監督したスリラー1947年。ロバート・シチェンズの原作小説をアルマ・レヴィルとジェームズ・ブリディが潤色し製作者セルズニック自身が脚色した。撮影は「探偵物語」のリー・ガームス、音楽は「陽のあたる場所」のフランツ・ワックスマンの担当。主演は「キリマンジャロの雪」のグレゴリー・ペック、「超音ジェット機」のアン・トッド、それに「第三の男」のアリダ・ヴァリ(本作品が米映画初出演)で、「青いヴェール」のチャールズ・ロートン、「追はぎ」のチャールズ・コバーン、「女海賊アン」のルイ・ジュールダン、エセル・バリモア、ジョーン・テッツェル、レオ・G・キャロルらが助演する。

1947年製作/アメリカ
原題または英題:The Paradine Case
劇場公開日:1953年2月24日

ストーリー

英国の名門パラディーン家の未亡人マッデリーナ(アリダ・ヴァリ)は、突然、夫を毒殺した嫌疑で起訴された。1946年の春のことである。アッデリーンは類まれな美貌の持ち主で、戦傷を受けて盲になった夫パラディーン大佐に献身した良妻として知られていたが、ある日、パラディーン大佐が何者かに殺害され、その真相は謎を秘めたままになっていた。夫人は知己のシモン・フレイカー卿(チャールズ・コバーン)に弁護を頼んだが、卿は自分の友人で若くて敏腕な弁護士アンソニー・キーン(グレゴリー・ペック)を推薦した。キーンの妻ゲイ(アン・トッド)は貞淑な女で、夫にこの事件を担当するよう勧めるのだった。キーンは初めてパラディーン夫人に会ってその美しさに心を奪われ、彼女の無罪を信ぜずにはいられなかった。キーンは調査を進めるうちに、パラディーン家の家令アンドレ・ラトゥール(ルイ・ジュールダン)がこの事件に関係あることを知った。パラディーン家の別荘だったヒンドレイ荘にラトゥールを尋ねたキーンは、ラトゥールが口をきわめてパラディーン夫人を罵るのを聞いて、職責を忘れて彼と言い争った。キーンはこのいきさつを夫人に告げたが、夫人はただラトゥールを巻きぞえにするなというだけだった。ゲイは夫がパラディーンにひかれていることを知っており、彼がそのために弁護をしくじりはしまいかと気づかった。いよいよ公判が開始され、老裁判長ホーフィールド(チャールズ・ロートン)も夫人の美貌に魅せられたようだった。キーンはラトゥールにパラディーン大佐の死因は自殺だと証言させようとしたが失敗した。夫人は再びキーンにラトゥールをかばうよう忠告したが、彼にとってはラトゥールに殺人の罪を負わせる以外に夫人を救う道はなかった。2回目の公判でキーンはラトゥールの自殺幇助をひき出そうとして失敗し、かえって追いつめられたラトゥールはパラディーン夫人との情事を自供してしまった。そして退廷後間もなく自殺を遂げた。これを聞いた夫人は、ついに夫を毒殺したと自白した。夫人はラトゥールに駆け落ちを迫って拒まれ、夫を亡きものにしたのだ。弁護に失敗し名誉を失墜したキーンはフレイカー卿の家に身をかくしていたが、やがて愛妻ゲイに暖かく迎えられた。

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映画レビュー

3.0ヒッチらしい作品ではありまぜん

2024年3月30日
PCから投稿

法廷劇は論理的なセリフのやり取りに主眼があるので、ヒッチのように映像でスリラーを表現するタイプの監督には不向きでしょう。

更に、肝心の脚本が雑で後半の殆どを占める法廷シーンにおける弁護士と証人のやり取りでは、「なぜそれが証拠になるのか?」「その質疑で何が判明したのか?」さっぱりわかりません。

ヒッチ自身も失敗を認めた作品で、とくにその理由をミスキャストのある、としているようです。確かにペック先輩に英国の弁護士は似合いません。良くも悪くもバリバリのアメリカンですからね。女優もガルボ先輩を想定していたそうです。

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越後屋

3.5動きは少ないが法廷劇は謎が解かれていき楽しめた。しかし被告人に夢中になってしまうグレゴリー・ペックに共感できない

2023年10月3日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

知的

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Kazu Ann

3.5妻を演じたアン・トッドのひたむきさが印象に残った。 どんどんストー...

2020年1月31日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

妻を演じたアン・トッドのひたむきさが印象に残った。
どんどんストーリーに引き込まれていくヒッチコックの映画はどれも面白い。

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tsumumiki

3.0脚本にセルズニック参加で混乱か

2019年10月19日
Androidアプリから投稿

有名どころの俳優多数起用にも関わらず
魅力的な映画になっていない
主役四人のアンサンブルも良くない

ヴァリのパラダイン夫人には彫像のような硬質の美を感じるが
ラトゥール(ジュールダン)に対する愛が あまり伝わってこない
同じく、ジュールダンにも
亡き夫との三角関係も不鮮明で、私は彼と夫の関係も邪推した(脚本 × )

弁護士は難しい役で 監督はオリビエを希望していたらしいが、それがわかる
彼は 皮肉な見方も出来る英国上流階級であり、論理性/現実性を要求される職業でありながら、感情に引きずられ暴走し、失敗するのだ
ペックは人の良い アメリカ人に見える
それだと 失敗の衝撃度が小さくなってしまう

弁護士夫人のトッドは善戦しているが、あまりチャーミングに見えない
ヴァリを美しく見せる為に、手抜きされたんだろうか? (似合わない帽子をかぶされたりしてる)

この映画は 製作者セルズニックによる、ヴァリ売り込み映画でもある
が、彼女はヒッチコック映画にも ハリウッド映画にも向いていないような気がする
(セルズニックの力の衰えもあり、しばらくして撤退)

ロートン等、他の俳優達は ヒッチコックらしさが…

監督の苦戦と苦悩が見えるような映画でもある

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jarinkochie