「周囲の心を掴んだ方の勝利」波止場(1954) 根岸 圭一さんの映画レビュー(感想・評価)
周囲の心を掴んだ方の勝利
劣悪な児童養護施設を抜け出して、反社のボスであるジョニーの元で育ってきたテリーは、ジョニーに対して少なからず恩義を感じていたと思う。だから親友殺害の件に関しても、憤りを感じつつも、やむを得ないという思いがあったはずだ。だが、ジョニーは所詮反社の人間。他人を自分の道具としか思っていない。それがテリーの兄の件で垣間見えて、完全にジョニーを見限ることにしたのだろう。テリーの怒りは大衆に伝播し形勢逆転した。数で勝る大衆に一致団結されては、ジョニーも手が出せない。
人間は感情の生き物で、周囲の心を掴んだ方が勝ちだと思わされる映画だった。
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