「未来は“いま”から始まる 〜1本として心に残る物語〜」バック・トゥ・ザ・フューチャー 中野祐治さんの映画レビュー(感想・評価)
未来は“いま”から始まる 〜1本として心に残る物語〜
映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を改めて観たのは、名作と呼ばれる作品を、人生経験を重ねた今の視点で見直してみたいと思ったからです。若い頃は単純にワクワクするSF映画として楽しんでいましたが、40代後半となりコンサルティングの仕事に携わる中で、この物語が描く「時間」と「選択」の重みを再確認したくなりました。
劇中で特に印象に残るのは、過去の些細な行動が未来を大きく変えてしまう点です。マーティが軽い気持ちで起こした行動が、家族関係や自分自身の存在にまで影響していく展開は、何度見ても緊張感があります。一方で、ドクの奇抜な発想や軽快なテンポ、音楽の使い方など、娯楽作品としての完成度も非常に高く、まるで何度も読み返したくなる本のような魅力を感じます。物語の構造が明快で、因果関係が直感的に理解できる点も、この作品が長く愛されている理由だと思います。
この映画から仕事や人生に生かせると感じるのは、「未来は現在の積み重ねでできている」という考え方です。コンサルティングの現場でも、目先の判断や小さな意思決定が、数年後の企業の姿を大きく左右します。過去を変えることはできませんが、今日の選択次第で未来はいくらでも変えられる。そのシンプルで力強いメッセージを、この映画は楽しさと共に教えてくれます。
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』は、人生の節目ごとに読み返す価値のある一冊の本のような映画だと感じました。
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