二十日鼠と人間(1992)のレビュー・感想・評価
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おいらにはあんたがいる
LOSTのソーヤーが好きな本だと言っていて気になっていました。やっと見れました!
とても静かな映画ですが冒頭からずっと「なにが起きるんだろう」とドキドキが収まらず興奮していました。描写が素晴らしくて状況が解りやすいのです。
ストーリーは深いですね…。レニーもジョージも心優しい人間で、ざんねんでなりません。2人の楽しそうな顔、1人になったジョージの眼差しが印象的です。
【人間の根源的なる善性と、”赦しと裁き”を見事に描き出した作品。】
■1930年、大恐慌時代のカリフォルニア。
ジョージ(ゲイリー・シニーズ)とレニー(ジョン・マルコヴィッチ)はいつかは農場主になるという夢を抱きながら農場から農場へ渡り歩き、厳しい労働の日々を送っていた。
だが、幼き時に頭を馬に蹴られた故に、知恵遅れながら、長身怪力のレニーが他愛のない事件を起こしたことから、2人の関係は辛い結末を迎えることになる。
◆感想
■学生時代に、スタイン・ベックの作品はほぼ、読破している。
彼の巨匠のスタイルは弱者の視点に立ちつつ、世の不条理な状況に異を唱える作風であった。
今作は、その原作をゲイリー・シニーズが見事に可視化した作品である。
私は、年代的にゲイリー・シニーズ出演もしくは監督の映画を劇場で観た事はないが、彼の方の顔が好きである。
ハンサムであるし、確かなる知性が感じられるからである。
■内容は巷間に流布していると思われるので割愛。
・ジョージがレニーを”アイツさえいなければ・・”と言いつつ、常に彼を気遣う姿。そして、二人で夢見る牧場の姿。
- 明らかに、ジョージという人間の善性を表現している、-
・巧いと思ったのは、タイラー牧場で掃除夫として、働いているキャンディーが愛する老犬を仲間が撃ち殺すシーンと、ラストの哀しきシーンとの連動性であろう。
<知性の劣るレニーを演じたジョン・マルコヴィッチと、彼を庇護者の如く庇うジョージを演じるゲイリー・シニーズの姿が素晴しき作品。
特に、ジョージがレニーの事を思って行った哀しき”赦しと裁き”のシーンは忘れ難き作品である。>
マイルストン版よりも、このシニーズ版に軍配!
マイルストン監督版に引き続いて
1992年のロードショー以来
再鑑賞したが、映像化作品としては
かなり進歩した印象だった。
マイルストン版は原作をなぞっただけの
イメージだったが、
このゲイリー・シニーズ監督版では、
翻訳同士の比較で恐縮ですが、
原作に無い台詞や場面設定で、
原作の行間を見事に埋め、
主役二人の心象を
分かりやすく描いていたと思う。
映像としても、
物語の背景となる牧場の全貌を見事に描き、
観客に、舞台設定情報を上手く提供していた
のではないだろうか。
また、レニーの怪力が故の各悲劇が、
これも分かりやすく系統付けられて描かれ、
更には、限られた世界に閉じ込められた
カーリーの妻の危険な苛立ちも
上手く表現出来ていたように感じる。
なかなか見事なゲイリー・シニーズ監督の
演出だったと思うが、
何故か、彼はこの後に監督することは無く、
次回作を観れなかったのは
残念に思える出来映えではなかったろうか。
最下層の人々が這い上がろうとする内容の
多いスタインベックの作品、
この物語も過去の話のようで、
しかし、中産階級の厚い層が失われ、
最下層が膨らみつつある現代にも
通じているのかと思うと、
まだまだ価値のある作品なのかも知れない。
意外と名作!
小柄で頭のいいジョージ(シニーズ)と怪力で知恵おくれのレニー(マルコヴィッチ)。レニーは欲しいものには何でも手を触れる癖があり、以前いたところも、赤いドレスの女に触れたばかりに町を追われるハメになったのだ。二人には自分たちの牧場を持つという夢があった。
牧場主の息子カーリー(ケイシー・シーマツコ)は元ボクサーで従業員をこき使いイジメばかり。その上、色気たっぷりの女房に首ったけなのに、いつも浮気してないかと探し回ってる。「あいつはいつかお前を殴る」というジョージの予想通りにレニーに八つ当たり。思わず「やれ!」と叫んだジョージのおかげでカーリーの拳を使い物にならないほどつぶしてしまう・・・
機械にはさまれたということで事件は片付いたが、カーリーの妻(シェリリン・フェン)がレニーに近づく。夫以外の人間と話すことができない寂しさを紛らわすためだった。「柔らかいものに触りたい」癖があると言ったレニーに対し、妻が「髪の毛を触ってみて」と近づき、思いあまって殺してしまう・・・シェリリン・フェンといえばTV版『ツイン・ピークス』のオードリー役が印象的。左側の目尻のほくろが魅惑的・・・レニーもまいってしまったのだろう・・・
同じ宿舎の爺さんが自分の飼っていた老犬を殺してしまうことに同意し、仲間が銃で殺してしまう。「どうせ殺すのなら、自分の手で殺すべきだった」と悔やむことが最後にきて伏線になっていたと気づく。ジョージの複雑な思いも死体を発見したときに決意したのだろう。一発の銃声がここまで悲しくさせるなんて・・・シニーズもマルコヴィッチも人間の心を持っていただけにグサリときてしまう。
物事を丁寧に追いかけた良作
頭がキレるジョージと図体がでかく頭が弱いレニーの夢を見ながら牧場を渡り歩き金を稼ぐ生活。
牧場主の息子嫁が男だらけの集団の輪を乱していく。
悪意なき殺人の末、捕まって殺されるくらいなら自分が殺す決断をしたジョージと明るい未来を語るレニーの対比のラストシーンが切なく印象的。
本物の映画です。
たまたまレンタルで借りて観たら演技とはこう言うもんだ!っとビックリしてセルDVDを買いました。ジョンマルコビッチの演技は完璧です。てかキャスト全員演技はピカ1です。ストーリーは最初から最後までどんより系ですがこれが映画だと実感出来る作品です。映画好きなら観とくべきな作品。
涙なしには観られません
久し振りに強烈に心を揺さぶられる作品に出会いました。
文句なしにお気に入りマイベストの5本の指にランクインです。
冷静で知的な主人公ジョージ(ゲイリー・シニーズ)と
大柄で少し頭の弱いもう一人の主人公レニー(ジョン・マルコビッチ)。
恐慌時代のカリフォルニアを舞台に転々と農場を移りながら働く2人。
いつか自分達の牧場を持つ事を夢見ながらいつも一緒に頑張っています。
知的障害のあるレニーは行く先々でトラブルに巻き込まれてジョージに助けられていますが
旅の途中や農場の宿舎でジョージは将来の夢を語り聞かせ、それを満面の笑みで聞くレニー…。
2人の間には確かな絆があります。
そんな2人が新しい土地で将来の夢に賛同してくれる新しい仲間と出会い、
みんなで一緒に計画を語り合う夜には観ているこっちまでドキドキワクワク。顔は自然とニヤニヤ…。
たまらなく大好きです。ああいう感じ。仲間っていいですね~。
ただし物事はそうそう上手くはいかないもので、その後に訪れるのはいつものトラブル。
紆余曲折を経て辿り着くラストは…(涙)
僕の中では「フォレスト・ガンプ」の“ダン中尉”のイメージが一番強いゲイリー・シニーズ。
実はこの作品に出会うまで名前と顔が一致してませんでした。
この作品では難しい役どころを演じた、名優ジョン・マルコビッチと並んで
本当に素晴らしい演技を見せてくれていますが、なんと主演兼監督だったとのこと。
それを知ってすっかり見る目が変わってしまいました。
ストーリーも映像も俳優も、どれをとっても素晴らしい
本当に久々に出会った珠玉のヒューマンドラマ。
ぜひ一度観てください。
きっと涙なしでは観られません。
※他サイトより転載(投稿日:2008/04/14)
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