「撮影事故の方が怖い映画」トワイライトゾーン 超次元の体験 odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
撮影事故の方が怖い映画
アメリカの人気TVシリーズの劇場版、お馴染みのタイトルミュージック、「もし、○○だったら・・」と言った日常の突然の変容をテーマに寓話のような世界を描いています。スピルバーグら4人の気鋭の監督が4篇の短編を受け持っています。
第1話「偏見の恐怖」『TIME OUT』:監督ジョン・ランディス
ユダヤ、黒人、東洋人と差別主義の男が突然差別を受ける羽目になってのた打ち回る、手法は昔話に良くある因果応報のお話、子供たちへの脅しのようでいてトランプに見せたいような大人たちにも耳の痛い話でした。ジョン・ランディス監督はユダヤ人、マイケルジャクソンのMTV:スリラーも手掛けています。
第2話 「真夜中の遊戯」『KICK THE CAN』:監督スティーブン・スピルバーグ
老人ホームのお年寄り、子供の頃に戻りたいと願って、いざ望みがかなってみると心境は複雑、もう一度人生を辿るなって大変と尻込みするお年寄り、意気揚々と飛び出してゆく子供もいて意味深い。スピルバーグ監督はETの翌年に撮っています、童心を忘れない監督らしいですね。
第3話 「こどもの世界」『IT'S A GOOD LIFE』:監督ジョー・ダンテ
魔力を持った子供というのもホラーの定番、我がまま放題だが叱ってくれる人がいないと言うのも淋しいのです、良き教師を得てやがては正義のX・MENに成長するでしょう・・。
ジョー・ダンテ監督は漫画家志望だったらしいからお得意の世界観でしたね。
第4話 「2万フィートの戦慄」『NIGHTMARE AT 20,000 FEET』:監督ジョージ・ミラー
魔物がエンジンを壊している、飛行機恐怖症の男の被害妄想のようでいて壊れたエンジンに残る妙な爪痕、大の大人でも怖いものは有りますよね、といったシンパシーを感じます。怖くて笑えるというのも面白い体験でした。ジョージ・ミラーはマッドマックスで有名なオーストラリアの映画監督さん。
番外、第一話でベトナム戦争のエピソード撮影中にヘリコプターの操縦ミスでコンバットの軍曹役でも有名なビック・モローさんは壊れて飛んできたローターで首を斬られて即死、子役二人も死亡してしまいました。爆破シーンに驚いてパイロットがパニックを起こしたらしい。撮影の安全への配慮不足などで裁判にもなった。結果、一話のこのエピソードはカットされ、差別主義者のビル(ビック・モロー)が収容所行の列車に乗って去ってゆくところで終わりになりました。怪談映画で無残な悲劇が実際に起こったのですから映画以上に怖いです、日本ではこの種の映画は撮影前に安全祈願のお祓いや墓参りをするのが慣例です、ハリウッドでは事故を受けて全米監督協会の通達や違反者の解雇がなされスタジオも安全対策マニュアルを作ったとのことです。