「see me ,feel me ,touch me…」トミー kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
see me ,feel me ,touch me…
中学時代、仲間たちとトミーを観るため最終日に映画館に行ったが、同時上映であるフランス映画を観た後に上映は終了・・・この悔しさは一生忘れない。しかも、37年間この映画を観る機会を失い続けていたのだ。あぁ・・・
空軍パイロットの夫が戦死したことと、大戦に勝利した民衆の声を聴いたと同時にトミーを出産したノラ(マーグレット)。やがてノラは夫の弟(?)フランクと結婚し、2人でトミーを育てることにしたのだが、ある日戦死したはずの夫が帰宅し、驚いたフランクは彼を思わず殴り倒して殺してしまう。何も見なかったことにしろと夫婦に口止めされるトミーだったが、幼きトミーはその日を境に見えず、聞こえず、しゃべれないという三重苦となってしまう。
母ノラと義父フランクはトミーを治そうと様々な治療を試みるが、精神からきている彼の三重苦は全く治らない。青年になったトミーは突如ピンボールに目覚め、感覚のみでピンボールを操る天才となる。トミーのピンボールの才能によって両親は巨万の富を手に入れ、ある日、プールに落ちたおかげで突如彼の病気は治ってしまう。ロックバンドをしたがえて教祖のようになったトミー。両親も彼を教祖に仕立て上げていくのだが・・・
普通のハッピーエンドを想像するとバカをみる。。中盤でそのハッピーエンディングは終わり、作られた宗教というシニカルな物語へと変貌を遂げるのだ。それにしてもマリリン・モンローを崇拝する怪しげな宗教の伝道師。これをエリック・クラプトンがギターを弾きながら説教するのだから面白い。その他にも麻薬の女王アシッド・クイーンにティナ・ターナー。サディスティックな従弟や、変態の叔父(キース・ムーン)、ピンボールチャンプのエルトン・ジョン、意味不明の医師(ジャック・ニコルソン)など面白いキャラがいっぱい(笑)。
こりゃ中学時代に観ていたら評価は下がったかもしれん。ヘレン・ケラーの『奇跡の人』を想像しながら、多分意味不明に感じただろう。そもそも新興宗教の胡散臭さなんて、中学生に理解でいるはずもない。ラストシーンでは信者に裏切られ、一人山に登り、巨大な太陽の前に立つシルエット。オープニングの映像にもつながるという絶妙さをコッシー少年はどう感じただろうかなぁ・・・see me ,feel me ,touch me ,heal meのフレーズが両親が死んだあと、最後のheal me が hear me に変わっていた。納得だ。