劇場公開日 1991年6月8日

ドアーズ(1991)のレビュー・感想・評価

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1.0有名税としての商業主義的伝記映画

2024年12月11日
PCから投稿

自分たちの曲がテレビのcmソングに使われることを知ったジム・モリソンは大激怒!自分が勝手に行方不明になっていたのは棚に上げ、契約を結んだ残りのメンバーたちを罵倒します。「もうおまえらは仲間でもなんでもねえ!ただのビジネスパートナーだっ!」

商業主義を毛嫌いするジム・モリソンの純粋さと幼稚さがあらわになる象徴的なシーンです。駄々をこねて曲をcmに使わせないほど潔癖主義の彼ですが、そんな彼の人生そのものを商業映画にしてしまおうという目論見が死後20年後に公開された本作です。見事に彼の生涯を矮小化して見せてくれます。体制側との対立の果てに裁判沙汰にまでもつれ込み、そんなアメリカにうんざりしたのか、すべてを捨ててパリに逃げ出したジム・モリソン27歳。でも彼に安らかな眠りは訪れません。墓は落書きで汚された上に、こんな伝記映画まで作られてしまうのですから。

スターであるほど、商業主義やセンセーショナリズムからは逃げられません。多くの有名人たちは死後にそっくりさんが主演する伝記映画が作られます。そこには複雑な権利関係やビジネスが絡んでいます。そのような映画は多くのファンの来場を目当てとした商業映画であり芸術ではありません。そういう欺瞞や枠組みをもっとも嫌った男がジム・モリソンであり「ジム・モリソンの伝記映画」という企画自体がもはや笑えない冗談です。「Touch me」と歌いながら誰にも触れられない高みを目指して行くという矛盾と孤立がジム・モリソンの真骨頂です。誰にも掴まりたくなかった男を伝記映画に閉じ込めること自体、そもそも無理な話です。

本作の中ではバンドvsマスコミ、バンドvs警官たちなどの対立構造が描かれますが、本作自体も、バンド側というよりはマスコミ側、警官たち側の視点に立っているように見えてしまいます。代表的な出来事を年代順にさらーっとなぞった形の映画であり、ドアーズというバンドの音楽や芸術の本質に迫ろうという気概は感じられません。ジム・モリソンの無軌道で堕落した面ばかりが描かれており、その裏に隠された創作の秘密には触れられません。どうやってあんな数々の強烈な曲ができあがったのか、詩を書いて、曲をつけて、みんなでセッションを繰り返して曲を作り上げていく、そんなバンドの裏側の作業はほぼ描かれません。陳腐で取ってつけたような幻想シーン(たとえば守護霊のようなネイティブ・アメリカンが一緒に舞台に立っているなど)もありきたりであり、映像がドアーズの曲のイマジネーションの拡がりを逆に狭めてしまっています。アンディ・ウォーホルとかニコとかの出会いのシーンを描くことに、一体何の意味があるのでしょうか。互いの創作に何らかの影響を及ぼしあったのでしょうか。

自分とバンドが生み出す言葉と歌とパフォーマンスと曲は芸術として唯一無二の価値を持つという自信。そしてそれが熱狂的に迎え入れられるという幸福。彼の生き様は自分に対して常に過激なほど誠実で異様なほど真剣であり、インタビューに答える際もほとんど笑顔を見せたりジョークで誤魔化したりすることはありません。その誠実さと真剣さの裏返しがドラッグとアルコールへの耽溺なのでしょう。だれよりも「真剣に生きる」ことにこだわったロックスターであり、人生の一瞬を過激に生きる密度の濃い生き様は彼に短命をもたらしました。

彼がドアの隙間から眺めた向こう側の景色は誰にも知りようがないし、ましてや映像化などできるはずもありません。本作は公開時にもうすでに古びていましたが、ドアーズの残した音楽は古びることはありません。それは創作者たちの創作に対する態度の問題だと思われます。この映画でいいのは音楽だけでした。

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jin-inu

2.0ジム・モリソン

2024年12月8日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

寝られる

ドアーズといえば「ハートに火をつけて」、イントロのキャッチーさと良いメロディが頭に残る。
リードボーカルのジム・モリソン(バル・キルマー)は狂気のアル中で、若くして亡くなった。
映画を見る限り、誰の責任でもないと思うが。

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いやよセブン

0.5彼の詩に対する理解がイマイチで、私は勉強が必要だ。

2023年6月22日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

ドアーズ、特にジム・モリソンは私の大好きな歌手だ。なぜかというと歌詞がよく、人間が複雑だから。でも、好きなのはここ10年の話。

高校時代か大学時代の私の部屋には彼の上半身裸体の等身大に近いポスターが飾ってあった。この映画で、女性カメラマンがジムの全てにシャッターを切ったが、その中の一枚のポ
スターが、私の持っていたのと同じであった、70年前後はネットなく、日本のマスゴミ、プロモーターはハレンチで、正統派じゃない彼に、それほど興味がなかったのではないか。Light My Fire はよく聞いたが。

ジムは71年に他界したが、UCLAをやめて、レイと1965年にドアーズをスタートしてから、活動期間はかなり短い。彼らの最初のヒット曲(Light My Fire-ロビーが作詞作曲)でアルバム(The doors)としてリリースされたのが1967年だから.....活動は短すぎた。しかし、この間、彼は世界的な研究材料になったと思う。つまり、詩人として、また、彼の精神状態、突然の死、セックス・シンボル、ファッション、容姿などなど、マスコミが挙ってとりあげ、彼の死まで疑われた。公式の死因は心不全だが、解剖はフランスの法律で義務付けされていなかったためでもある。

このバイオピックには退屈してしまった。私はジムモリソンの伝記、ビデオバイオグラフィー、彼の父親や妹や本人やバンドメンバーのインタビュー、コンサート、テレビ・ショーなどかなりのものを観ている。コンサートに行ったことがないだけである。だから、バイオピックには新鮮さを全く感じなかった。それに、主役が全くジムに似ていないのである。態度が特に似ていない。しかし、監督の采配だと思うが、ジムの破壊的な行動と、アルコール(麻薬)を飲みすぎ依存しすぎた時、人間が変わって、モンスターになるところがよく描かれていると思う???死と隣り合わせで生きていて、心の葛藤が多く、両親、特に父親からの愛情を受けなかった?(感じ取れなかった?)のも、ジムを苦しめていた。それがよくわかり、彼の目線で描いている。バンドメンバーもジムの暴走に呆れていて、あるインタビューでメンバーの一人が言っていたが、挙動不審のジムの動きを見ながらステージで演奏をしていたと。

ジムは純粋であり彼の求めている音楽と三人の成功したいプロの音楽家の考えには隔たりがありすぎたね。それが『1967年のエド・サリバンショー』ではっきりわかる。このCBSのショーは長く続いた有名なショーで、LIveである。エルビスもビートルズもストーンズもこのショーに出演してますます有名になった。当時ネットワークで使えない言葉があり、ショーのディレクターか誰かが、言葉をかえろと。それはHigher(麻薬を使ってハイになる意味) ,で、Girl, We couldn't get much better とうたえと。キーボードのレイはストーンズもこのショーのため言葉を変えて歌ったと。ジムはレイに自分の名前を変えたらと。it's just word. 作曲したロビーも変えても変えなくてもどうでもいいという。サリバンショーで結局、ジムはHigher を使って2度叫んだ。このため、ドアーズはこのショーに再度招待されていない。エド・サリバンが『微笑みな』というが、自分たちはそういうグループではないと。ステージではロビーがギター引きながら微笑んだ。舞台裏がわかると面白いね。
これは、彼の有名なアプローチ、これこそ『かっこいい』と言える彼の一貫性のある態度で、自分はプロの音楽家より、自分の考えを貫く素晴らしさをここに見た。

ジムはセックス・シンボルにもなりたくなかったし、ヒーローにもなりたくなかった。彼は詩を読んだり書いたりすることに興味があったが、彼の詩を聴衆は聞こうとしない。light my fire をやれろ叫ぶ。

このバイオピックに何故か違和感があった。ジムが精神異常に描かれていすぎる。彼はサイコパスではない。不信感が募り、いくつか確認したくて、検索を重ねた。サンフランシスコの1968年の夜の野外コンサートはない。1968年には64回のコンサートの中、サンフランではなく、サンフォセで、『Northern California Folk-Rock Festival 1968』 というのが北カルフォルニアでのコンサートだけ。セットリストは下記である(Credit :setlist.fmより)
『Not to Touch the Earth 』は演奏していない。

Break On Through (to the Other Side)
Alabama Song (Whisky Bar)
When the Music's Over
Moonlight Drive
Light My Fire
The Unknown Soldier
The End

このバイオピックは確かに、based on a true storyとは書いていない。でも、ちょっとしらけてしまった。感謝祭のシーンでナイフが登場するシーンも作りものだと。他にもあるが完全に疲れたので観るのも書くのをやめる。(The Unauthorized Truth About Oliver Stone's 'The Doors' (2022 Update))
この映画だけを観てジムモリソンを判断しないで欲しい。

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Socialjustice

4.0偉大なるロックバンド ドアーズ

2022年7月26日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD、VOD

久し振りに観たのでレビューします。

パンクのゴッドファーザー、ドアーズの伝記映画。

ストゥージズと並び、後のパンクにも影響を与えまくったバンドだと思います。

作中のセリフから引用すると、

ニーチェいわく 偉大なものは恐ろしき仮面をかぶる 人間の心に刻み込むため

だそうですが、

スキャンダラスに、刹那的な生き方で、27歳の若さで、この世を去った、正真正銘、真のロックスター、ジム・モリソン。

普通じゃない変わった詩を書く、天才詩人でも、あります。

長い髪に革パンのイメージからハードロックな音を想像するけど、その音はジャズからの影響が強いんですよね。

大好きなバンドです。

このバンドを知らずしてロックを語るなと言いたい。

バル・キルマーがジム・モリソンを演じてますが、ビックリするぐらいソックリで、

カイル・マクラクランもレイ・マンザレクを演じてますが、同じくソックリ(笑)

この映画は、みんな似てるんですよ。

パム役のメグ・ライアンは、僕が観た彼女の映画の中では、この映画が1番魅力を感じますね。

ミュージシャンの伝記映画って結構あるけど、よく出来た作品だと思います。

ドアーズの事よく知らないって方にも、オススメです。

名曲がギッシリ入ってて、ドアーズの事を学べます。

昔、ブランキー時代の浅井さんが、たまにラジオでドアーズかけてたな…

これからドアーズ聴く方は、大名盤1stからがオススメです。

『地獄の黙示録』にも、名曲「The End」が使われてます。

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RAIN DOG

3.5"LightMyFire"

2022年5月20日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

興奮

知的

とにかくジム・モリソンを演じるヴァル・キルマーが大袈裟にも瓜二つ、ソックリ過ぎて何の違和感もなく本作の世界観に入っていける反面、劇中で描写される幻想的なトリップ映像が物語とリンクされ難い微妙な複雑さが作品全体を難解に捉えてしまう要因にも!?

バンド結成に至るメンバーとの関係性や"TheDoors"としての活動を端折りながらもテンポ良く描いているのが雑にさえ思えるし、恋人のパメラはヒロインにすらなれない存在感、単に破天荒でイカれた人物像が前面にジム・モリソンの生き様のみを物語の中心として、他は関わるその他大勢での扱い。

ヴァル・キルマー本人の声と思われる場面もチラホラと吹き替えがあるにしてもステージでの演奏シーンが多いのはジム・モリソンとしての演じるヴァル・キルマーに余程の自信があったからこそなのでワ!?

マイケル・マドセンやGenerationXのビリー・アイドルが脇役ながら印象に残り、アンディ・ウォーホルとニコの登場にTheVelvetUndergroundの曲が本作で流れる違和感が心地良い。

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万年 東一

1.5芯食ったトコがワカラン

2021年4月2日
PCから投稿

一人の人間が壊れてく過程を描いた映画。やけど、それがドラッグによるモノか、生い立ちによるモノか、描き方が抽象的でワカラン。「段々とヤクでぶっ飛んでく過程や大筋」はともかく、芯においてワカラン部分が結構。主に要約すると二つ。

まず、ジム・モリソンの人格形成過程が、あんま描かれていないので、その後、大人になってから、何でこんな事になってるのか、よくワカランという点。ドラッグでぶっ飛んだ結果なのか、冒頭の「ネイティヴ・アメリカンのシーン(生い立ち)」が、その原点なのか知らんが、わざわざwikiで確認せなアカン程に説明不足やし、wiki見ても、いまいち要領を得ない。

二つ目は、映画全編通して、「詩的」且つ「ドラッグでラリってる」表現のためか、抽象的な描き方になってるトコ。描き方が、いわゆる「サイケデリック過ぎ」て意味不明。後、個人的に語学の才能ゼロなので、字幕からでは、ドアーズの詩や、彼らの抽象的な会話の、深い部分が理解不能。

総括すると、「まあ、混沌とした時代のシンボルなんかな」くらいの理解が限界。ジム・モリソンは「27クラブ」の一人で、個人的には、同時期のジミヘンやジャニスに比べて、いまいちハマらなかったミュージシャンやけど、まあそれは詰まる所、「詩やキャラが、あんまワカランかったからかな」と、映画観て再確認。ちなみに、字幕に誤植が結構あり。

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Ezy Ryder