劇場公開日 2023年1月6日

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「イギリス版『砂の器』『飢餓海峡』土曜サスペンス劇場」テス マサシさんの映画レビュー(感想・評価)

0.5イギリス版『砂の器』『飢餓海峡』土曜サスペンス劇場

2024年1月6日
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鑑賞方法:VOD
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マサシ
Gustavさんのコメント
2024年1月6日

マサシさんのレビューを拝見して思いついたことがあります。
ポランスキー作品は、「水の中のナイフ」「反発」「吸血鬼」「ローズマリーの赤ちゃん」「マクベス」「チャイナタウン」「テス」「赤い航路」「ナインスゲート」「オリバー・ツイスト」と観ていますが、この「テス」の映画化だけは公開当時不思議に思いました。北欧の神秘性と恐怖感を得意とするポランスキーの演出個性からは、トーマス・ハーディ文学は、かけ離れています。それでタランティーノの「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」で、シャロン・テートがこのハーディの原作本をポランスキーにプレゼントするために購入するシーンがありました。アメリカで性的事件を起こしイギリスに逃げたあとに、その贖罪と監督としての再起を掛けて妻の想いに応えたかったと想像します。つまりこの映画は、テートとポランスキーのための映画化だった。エンジェル・クレア役のピーター・ファースは、当時のイギリス映画界の有望新人でした。シドニー・ルメットの「エクウス」に抜擢されています。(私はトニー・リチャードソンの「ジョセフ・アンドリュースの華麗な冒険」が大好きです)ポランスキーに何処となく似ていると思われたマサシさんの推測も、むべなるかなですね。ナターシャ・キンスキーの美しさにテートを投影し、相手役に若き自分を重ねる。シャロン・テートの面影に捧げた、極めて個人的な制作動機です。そう捉えると、更にこの悲恋ドラマが、複雑にして悲しく思われます。

Gustav