「ずっと歌ってたからまさか死ぬとは」月の輝く夜に arlecchinoさんの映画レビュー(感想・評価)
ずっと歌ってたからまさか死ぬとは
大好きな映画です。プッチーニのラ・ボエームが好きなら、より笑えるかな。イタリア移民はプッチーニを初めて見ても物語が分かるから羨ましいよね。「ひどい咳だったしミミが結核なのはわかってたけど、ずっと歌ってたからまさか死ぬとは思わなかったわ」と言って泣いてたところも笑える。ボエームを観るたびにこのセリフを思い出しちゃう笑。
MET(メトロポリタン歌劇場:映画冒頭から建物やその荷物用トラックが何度も出てくる)でのデートがこの映画の1つの白眉なんです。ロニーが"Meet me at the MET"って言ってるんで、かつてアメリカ人の友人にダジャレか何かか?ってきいたら、他に言いようもないしシャレじゃねんじゃね?ってすげない答えでした。でもこの映画の後に"Meet me at the MET"って題の小説が書かれたり、James Rizziがこの題名の絵を描いたりしてるんで、ちょっとシャレた言い回しなんだと思うよ。
空港で、主人公ロレッタのフィアンセ:ジョニーの乗った飛行機に「(恋人を寝取った妹が乗ってるから)落ちるように呪いをかけたのよ」というばあちゃんが出てくる。ロレッタが「呪いなんて信じないわ」と言うと、ばあちゃんが「私も信じてないわ」と応えるという傑作な会話があります。最近のCSでの放送を見たら「今更古いわ」「そうね」という、ぶち壊しで噴飯物の字幕がついていました。稲田嵯裕里か。ダメだな。それはともかく、ロレッタは呪いは信じていないと言いつつも自分や他人の「運」を相当信じてるし、結構ゲンを担いでますよね。
最後のシーンでジョニーが帰ってきてロレッタに「君とは結婚できない」と告白したので、ハラハラしていたロニーも家族も観客(笑)もホッとして(よかったー)ってなるところで、ロレッタが「約束が違う!」って激昂するところが傑作でした。
犬をいつも連れてるじいちゃんは「薔薇の名前」の盲目の修道士ホルヘの俳優さんですね。