「竜巻を追え」ツイスター 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
竜巻を追え
『ツイスターズ』前に久々に鑑賞。昔、WOWOWとかで何度も見たなぁ…。
90年代、VFX技術の発達により70年代にブームになったディザスター・パニック映画の人気が再燃。人災・事故なら『タイタニック』、隕石落下なら『アルマゲドン』『ディープ・インパクト』、自然災害なら本作だろう。
巨大竜巻の脅威!
『オズの魔法使』など竜巻が登場する作品はあったが、ここまでメインに持ってきたのは確かに当時珍しかったかも。
やはり技術面の問題。日本だったら円谷英二だったら特撮とアイデアで表現していたかもしれないが、ハリウッド当時最新のVFX技術を駆使しての迫力とスケール。
だから人や車は勿論、牛やタンクローリーも舞い飛ぶ! 今見ると牛はギャグシーンみたいだが、それくらいの“竜巻級”のエンタメサービス。
『ジュラシック・パーク』で世界を驚かせたILMのCG。その『ジュラシック・パーク』のマイケル・クライトン(脚本)とスピルバーグ(総指揮)、『スピード』を大ヒットさせたヤン・デ・ボン(監督)。言うなれば、『ジュラシック・パーク』の迫力と『スピード』のスリル。
さすがに30年近く前、CGの粗い部分もあるが、それは仕方ない。今のCGを30年後に見せたって同じ事言われるだろう。
それでも竜巻を間近で見、身近に感じさせるほどのCG竜巻は今見ても圧巻。特に“F5”の竜巻は怪獣級。
それには訳が。
ヤン・デ・ボンの『スピード』に続く監督2作目。
知っている方も多いだろうが、本当は『スピード』の次に撮る予定だったのは、ハリウッド版ゴジラ。デ・ボンはゴジラファンで、デザインも脚本も完成し後は撮影迎えるだけだったが、予算のゴタゴタで降板。製作中止に。
その時撮れなかった悔しさを、ゴジラを竜巻に変えて。この『ツイスター』の竜巻はゴジラなのだ。
(尚、ネット上ではデザインや大まかな話も調べれば出ていて、平成ガメラを彷彿させる怪獣対決ものでなかなか面白そう。エメリッヒじゃなく、こちらが公開されていれば…)
話はシンプルもシンプル。
竜巻に観測センサーを付けようとするチームの奮闘。
竜巻を追え。やってる事はデンジャーで無謀だけど。
チームリーダーと夫は“ストーム・チェイサー”として共にやってきたが、離婚を控える身。
未練たらたらの妻、再婚相手を連れてくる夫、場違いな再婚相手。ディザスター・パニック大作で、驚異のチープな大人の三角関係が展開。
ちとキャラ描写には難ありで、チームの仲間もライバルチームもほとんど空気。人間ドラマなんてあったもんじゃない。ま、それを見たい訳じゃないんだけど。
『恋愛小説家』直前。ヘレン・ハントの若々しさと白いタンクトップ姿は眩しい。
にしてもビル・パクストンにフィリップ・シーモア・ホフマン、クライトンと3人が故人。28年の歳月を感じる…。
ツッコミ所もありだけど、久々に見ても面白かった。90年代のパニック映画、好きだったからな…。
単純明快、痛快。THEエンタメ。
いつの間にかあまり作られなくなって、ハリウッドはヒーロー映画ばかり。嫌いじゃないけど。
またああいうディザスター・パニック映画を。
そしたら再び巨大竜巻発生!
この夏の…と言うより、製作決まった数年前から楽しみにしていた。