チャイナタウン 劇場公開日 1975年4月12日
解説 1930年代のロサンゼルスを舞台に、政治的陰謀に巻き込まれた私立探偵の戦いを描いた名作ハードボイルド。「さらば冬のかもめ」のロバート・タウンが脚本を手がけ、1975年・第47回アカデミー賞で脚本賞を受賞。「ローズマリーの赤ちゃん」のロマン・ポランスキー監督がメガホンをとり、ジャック・ニコルソンが主演を務めた。私立探偵ジェイク・ギテスは水道局幹部モーレイの妻と名乗る女性から、モーレイの浮気調査を依頼される。モーレイに若い恋人がいることを突き止めたギテスは、同時に彼が新ダム建設に反対していること、そして町の実力者である義父クロスと対立していることを知る。やがてギテスが撮影したモーレイの浮気現場の写真がゴシップ誌に掲載され、モーレイの本当の妻が弁護士を伴ってギテスの事務所に乗り込んでくる。そんな中、モーレイが溺死体となって発見され……。共演に「俺たちに明日はない」のフェイ・ダナウェイ、「マルタの鷹」などの監督ジョン・ヒューストン。
1974年製作/131分/PG12/アメリカ 原題:Chinatown 配給:パラマウント映画=CIC
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2022年4月3日
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鑑賞方法:VOD
音楽も絵も美しかった。しかし結末が救いなさすぎるよ。
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フォレスト・ガンプでもそうなのですが字幕の良し悪しで映画の評価がガラリと変わってしまうのは残念なことです。この「チャイナタウン」はひねりにひねりを効かせたシナリオと、登場人物の演技のうまさに支えられ、日本語字幕でも見劣りしない作品なのですが、字幕にあと一工夫あればさらに名作の名に劣らぬ出来映えになったのではと思うのです。 一例をあげましょう。水道局長モウレイ邸の庭にある池の手入れをしている中国人とおぼしき庭師の男性が水質が草に悪いとぼやきます。その発音が悪く Ba fo gla などと(正確にはBad for the grass)ピジン・イングリッシュで私立探偵のギティスに語りかけます。 ギティスは草である grass とガラスである glass の区別ができない中国人なんだと苦々しく「そうだ、もちろん 草に悪い」と返すのですが、わざとらしくthe glass と発音するのです。どうせ中国人には英語の発音などわからないからどうでもいい、という軽い蔑視が感じられるシーンですが、字幕は「草に悪い」で片付けています。 この池のシーンは殺人事件の鍵となる重要な場面で一工夫がほしかったところ。ギティスは池の底に光るものを見つけ庭師に拾わせるのですが、それが殺された水道局長の眼鏡(glasses)だったのです。ということは、庭師の発音は最初から眼鏡を示唆していたことになるので、それを少し反映させた訳語が 望ましい。例えば草を環境に変えてその上にルビを「ガンキョー」とふって画面にのせてみる。ギティスが二度目にモウレイ邸の池で同じ庭師を見て挨拶がわりに「ガンキョーに悪いね」という字幕であれば、可笑しさとその直後の池の底にきらめく眼鏡とつながるシナリオ通りの理解につながるのです。 もうひとつは、ギティスが過去にチャイナタウンへ左遷されたことをモウレイ夫人が知るところ。チャイナタウンで何をしていたの?と聞くとギティスは「できるだけなにもしなかった」と言います(英語はAs little as possible)。これが字幕では「怠け者さ」になっていたから驚きました。この台詞は最後の最後、モウレイ夫人が撃たれて死ぬのをギティスが目の当たりにしてもう一度やるせなくAs little as possible と呟くのですが、字幕は「怠け者の街さ」と、チャイナタウンを揶揄するような捨て台詞なので驚きがショックになってしまいました。 チャイナタウンの特殊性が反映されていないのが原因でしょう。アメリカの大都市にはどこにもあるチャイナタウン、そこに勤務する警察はなかば治外法権という別世界にいるようなもの、左遷状態でなにもしないしできない、というジレンマに陥ります。人殺しがあっても見てみぬふりをきめこむ、そんな別世界で起きた、恐らくは女性がらみの事件に何もできずにいたギティスを再び襲うこの悲劇に怠け者という字幕はいかがなものでしょうか。 せめて「何もできない…」くらいの絶望感があってほしかった。わたくしは個人的に「見て見ぬふりか、また…」と入れたくなります。 わたくしが見たチャイナタウンは、「カサブランカ」で名訳ぶりを発揮したあの方の字幕だったのでショックは大きい。嘘だろうと思って何度も字幕を追ってみましたが…。 誤訳ではないにしろ、この仕事の大変さと責任の重さに耐えるのは並大抵のことではなさそうです。特に映画が素晴らしければその分だけ責任重大ということになります。
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全編ジェリー・ゴールドスミスの音楽が素晴らしい。クラシックカーとともにこの音楽がこの映画の時代感を醸し出している。特に主旋律を奏でるトランペットのメロディがこの映画の結末の侘しさを物語っている。ポランスキーの映画は傑作も多いが、大体において後味が悪い。この映画も例外ではなかった。サスペンスとしては面白かったが、最後に死ぬべき(殺されるべき)はイブリン(フェイ・ダナウェイ)ではなく、父親(ジョン・ヒューストン)の方だろう。
個人的には、ジャックニコルソンはらしくない役をやっていると感じた もっとガサツで下品だけど、男気があるのが彼。 今作では全く違う役だったので、少し驚いた
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