タクシードライバーのレビュー・感想・評価
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否定と肯定の手のひら返し
久しぶりに鑑賞。
初見当時は内容がよく分からず、モヒカン頭で演説会場を襲おうとする危ない奴の映画ということしか覚えてなかった。だが、歳を重ねたせいか、感想も変わってきた。
この映画は、ある意味「戦争」を描いたものとも言える。
行為を起こす者にとっては、相手の不義を正すという大義のもとに行われる「正義」だが、別の立場から見ると、圧倒的に認められない。しかも、その評価は、ちょっと見方が変わるだけで、肯定にも否定にも手のひら返しのように変わる。
主人公の「少女を救う」という大義は、世界の至る所で代理戦争を戦うアメリカそのものの大義のメタファーであり、戦争によって精神的に傷つき、自分の考える正義を歪に肥大化させた主人公そのものもまた、アメリカ自身のメタファーなのだろう。
主人公に「政治には詳しくない」と語らせつつ、大統領選挙をストーリーに絡ませるあたりも、挑発的だと思った。
銃の持つ重み、弾き飛ばされる指、描かれる血の生臭さがリアル。
繰り返されるテーマ曲のメロディは美しくセンチメンタルで、古臭さを感じないのに、後半につけられている効果音には、50年という時を感じてしまうのはなぜなのかが、自分としてはおもしろかった。
これ以上のニューヨークはない
2012年11月第三回午前十時の映画祭にて
中々まとまらない。
皮肉なエンディングやジョディ・フォスターの妖しさはわかるけど、デニーロをただのおかしな人と言ってしまうのも違うし、かといって彼に肩入れする気にもなれないし、うまく咀嚼できないけどうま味はする。
さて、どうしたものかわからない。
オールタイムベスト10で絶対的に今だに上位の作品
善良な一般市民と(善良であるべき)政治家。悪を退治するのはどちらか。
主人公トラヴィスは、夜の生活を営み、危険な場所でもどこでも行く深夜営業のタクシードライバー。そうした底辺の生活を送る人間がもつ、世の中を綺麗にして欲しいという要望に対して、政治家は首をかしげ、難しいとだけ言う。政治家は演説ではきれいごとを言い、その支持母体の人間であるべツィの方も底辺の人間である主人公のことを理解してはくれない。トラヴィスは反感を覚え、この腐敗に満ちた世界をべツィもろとも破壊したい欲求に駆られ、銃をも手にするようになる。しかし、べツィへの暴力も、政治家の暗殺も失敗に終わる。
他方で、トラヴィスは自らの手で、本当の悪、世界を汚す存在へと立ち向かい、「浄化」を実践するのである。(そのきっかけとなったのは、たまたま夜のコンビニで「黒い」人間を撃ち殺したシーンにある。コンビニの店長はトラヴィスに礼を言い、市民は暴力を望んでいることが明らかとなる。)トラヴィスは売春宿の男たちを撃ち殺し、英雄になる。暴力は、正義を行使する手段でもあったのだ。アイリスの両親も、英雄トラヴィスへ感謝の言葉を寄せる。
ところどころ色んなものへ陶酔する危うさを持ち、女性であれ何であれ美しいものを付け回すオタク気質の主人公ではあったが、彼を英雄的行為へと駆り立てたものは何だったのか。最後のシーンでは、生活は以前と変わり無いものの、主人公の眼には充実感と自信とが溢れている。べツィも、現実社会の負の側面に夢砕かれたのだろうか、序盤と終盤とでは表情ががらりと変わり、終盤では哀愁漂わせる非力な女性へと変化している。
トラヴィスの二度目の恋のチャンスはうまく行くのだろうか。
閉塞感の漂う世界観に息が詰まる部分が多いけれども、一般的なアメリカン・ニューシネマや戦後フランス(というか、ニューシネマのモチーフはほとんど戦後フランスにある!)の作品とは少し趣向を変えており、おぼろげながらも未来へと前進しようとしている。人々はどこへ向かおうとしているのか、「ゆくへもしらぬ」(『新古今集』)未来だが、梶はしっかりと握っているようだ。
(2019/11/03)
何かと名前が上がるので観てみまし。
誰もが想い、悩むこと。その日々にケリをつけてくれる。
現代にも通ずるモヤモヤした日々
主人公(R.デ・ニーロ)は何に悩んでいるのか...現代なら鬱と言われるかもしれないが、彼は夜を中心にタクシー・ドライバーしながら自分なりに必死に考え、行動し解決しようとする。彼女がほしいのか、単に女遊びがしたいのか、筋トレに励んだり、世の中を変えたいと政治に興味を持とうとしたり...オシャレして歩いてる街の人を見て羨ましいのか、怒りを感じるのか、自分は何に興味があるのか何をしてもわからない。自己顕示欲とも言えるでしょう。
こういう気持ちって今も一緒だと思うのです。現代は複雑になる一方ですから尚更だと思うのです。一人の方が楽なのか、またステータスある人生を送れば晴れるもんなのか...一つ一つ達成していくしかないと言えばそれまでですが「何してもつまらない」「この世の中なんだよ」と思いながらモヤモヤ過ごす。誰もが心の奥にある満たされない心の叫びを描いているのだと思います。
「何がしたいわけ?」「楽しんだ方がいいじゃん」--- そんな目で観たらつまらんでしょうが、この映画の良さはストーリー以外にもある。まずデニーロはじめジョディ・フォスター、ハーヴェイ・カイテル...と現在まで長く第一線で活躍するスターが複数いること、そしてこれが遺作らしいバーナード・ハーマンのサックスを主としたサントラも映画とマッチしており、名作と思ってる人が多い点ではないかと。。私もその一人です。
悪く言えばシリアスなものは苦手という人には不向きでしょう。
昼より夜、まさに深夜劇場。寝れない時に染みる映画の一つであります。
余談ですが「あばよ、デニーロ」というB級映画も、この映画の影響で気に入ってしまった思い出があります。
---強いてケチ付ければジャケット---
ビデオの時はポケットに手を入れ下を向きながら「このままじゃいけない、何とかしなきゃ...」街を歩きながらそんな雰囲気を感じたのですが、DVDになってから「パンク・デニーロ」の顔アップで反社会的アウトローの側面が強調されてしまい、せっかくいい話なのに敬遠する人が居るんじゃないか、と思ってしまう。ビデオテープ時のジャケットに戻した方がいいなぁ。
思ってたのと全然違う内容だった!笑 壊れていく主人公と、それがロバ...
ベトナム帰りのアンチ・ヒーロー‼️
バーナード・ハーマン作曲のけだるい音楽にのって、マンホールから蒸気がたちのぼる中、タクシーが姿を現すオープニングから、観る者はマーティン・スコセッシ監督の暗黒世界に誘いこまれる‼️闇ルートで銃を買って完全武装し、モヒカン刈りにし、大統領候補を狙撃しようとしたタクシー・ドライバーの主人公が、一転して街のチンピラを襲撃してヒーローになる。そしてまた、もとのタクシードライバーの日常に戻っていく。彼を英雄扱いする社会、ジャーナリズムも正常なのか異常なのかよくわからない。ベトナム帰りで不眠症の主人公にとって、殺す相手は誰でもよかったわけで、英雄と犯罪者が紙一重な大都会ニューヨークの不気味さが見事にえぐり出された衝撃的な作品でした‼️なんか最近わが国で起きている殺人事件を考えると他人事では済まされないですよね。豊かで病巣まみれの大都会のアウトサイダーたちの象徴であるトラヴィスを演じたデ・ニーロは凄まじい‼️もう誰も敵いません‼️アイリスを助けたトラヴィスが血まみれでこめかみに指をあて "プシュー、プシュー" 。もう戦慄です、恐怖です、トラウマです‼️そしてそんなキャラと物語を紡いでくれたマーティン・スコセッシ監督にも脱帽‼️あなたが言うんだったら間違いありません‼️MCUは映画ではありません‼️ラスト、シビル・シェパード扮するベッツィをタダで自宅までタクシーで送り届けたトラヴィス。やっと大都会の闇の呪縛から解放されたように見えるのですが・・・
賑わう人々の反面で孤独に生きる、この時代へのメッセージは強く重たい
ロバート・デ・ニーロの怪演が光る社会派ドラマの超名作。
タクシードライバーとして夜の街をさまよう不眠症の退役軍人。
酒、薬、欲望にまみれた街への怒り、何がしたいか分からない自分への不満が少しずつ彼の心に変化をもたらす。
そして何かが切れた時、男の行動は狂気の暴走へと切り替わる。
デ・ニーロの出世作だという事は知ってたのですが、若きジョディ・フォスターも出演されていたとは驚きました。
華やかな昼とは違う夜の70年代アメリカの時代背景が色濃く出ている印象。
ベトナム帰還兵の孤独な生活、心の虚しさみたいなものが描かれているのは「ランボー Fast Blood」と相通じる所があり、メッセージ性も感じられる作品でした。
がっかりしました
タクシードライバーの悲哀
HEY!! TRAVIS
再観賞しました♪
バイアスかけるな!
と言われたって、ムリ!
バイアスかかっちゃうよ!
でも、バイアスかけなくても名作。
ある程度、歳いってないと分からないと思う…
初めて観たのは映画を一生懸命に観だした高校生の頃、いまいち分からなかった…
観たキッカケは、好きなミュージシャンだったり、オシャレなイメージだったり…
ザ・モッズは「HEY!! TRAVIS」で、トラビスの事を歌ってた。
大好きだったブランキーの照井さんがモヒカンにした時に、
この映画の話題になってて、サングラスもトラビスと一緒のモデルを使ってた。
ポケットに手を入れ、うつむいて歩く、デニーロの写真もカッコ良かった。
憧れて、Tシャツも2種類、M65ジャケットも、買った(笑)
この時、
ジョディ・フォスターは13歳。
言われないと気付けないハーヴェイ・カイテルは長髪(笑)
徹底的な役作りデニーロ・アプローチで知られるデニーロは、
タクシー免許を取り、ニューヨークで3週間、タクシードライバーとして、実際に働いたらしい。
1970年代のニューヨークが記録された貴重な映像でもある本作。
目が肥えた今あらためて観ると、まごうことなき歴史的な名作。
駅裏の古くて汚めなミニシアターで深夜に観たい♪
再上映してくれないかな(笑)
不条理な社会構造を映した傑作中の傑作
痛々しくて見てられない
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