「戦争には味方が敵になることがあることを証明した映画」戦争のはらわた カル―ステ・ガルベンキヤンさんの映画レビュー(感想・評価)
戦争には味方が敵になることがあることを証明した映画
最初はジェームズ・コバーンが最前線の兵士である伍長としては、年齢を食っていると思いました。ただ、観ていくうちに老兵であるからこそ、地獄の東部戦線で生き延びてこられたのではないか、と考えを変えました。部下もその経験を買ってついてきてのかも知れませんし。
そこに出てきたのが、鉄十字勲章を欲しいマクシミリアン・シェル。こいつはポンコツで何もしないくせに、手柄は自分のものにする。そんな彼にシュタイナーは「鉄十字など鉄のかたまりだ」と説教します。それに対して、シュルはシュタイナーたちを敵軍に置き去りにします。最低な奴!
前線を逃げたシュタイナーたちが、ソ連の女性軍と出会います。統制が取れていたのに、やはり最大の敵は女性。若い兵士はおっぱいにつられてナイフで刺され、死にます。彼は死に際に「(刺した)女性兵士を攻めないで」とシュタイナーに言います。もう一人のドイツ兵士は、女性兵士にフェラ〇オをさせますが、男性器を嚙みちぎられて女性を銃で殴り殺します。シュタイナーは彼をその場に置いていき、女性兵士に殺されます。まさに、阿鼻叫喚。
勲章と言うと軍人の象徴と思いますが、シュタイナーが鉄十字をもらった時、両手を失った他の兵士が敬礼の代わりに上官に脚を上げた時は戦争の恐ろしさを感じました。
最後にシュタイナーがシェルを引き連れて、「鉄十字を取るための方法を見せてやる」と言うのはしびれましたね。で、シェルもついて行くんですが、銃のリロード(再装填:替えのマガジン(弾が入った箱)を銃に入れる事)ができずにわめく姿を見て、シュタイナーは大笑いします。途中でシュタイナーが捕虜にした(?)少年兵が、おそらくリロードする場面が挿入されます。彼でさえリロードできるのに、と思ったのでしょうか。この辺は不明ですが、私はそう考えています。
で、最後にブレヒトが「敵は倒したが油断するな。身持ちの悪いメス犬が発情している」と言い、戦争は終わらないと言うメッセージのような言葉で終わります。
映画とは無関係ですが、この当時、ジェームス・コバーンはタバコのCMに出て「Speak LARK(スピーク・ラーク)」と頻繁に言っていたので二重に印象深かったです。
あと、私は銃にも注目して映画を観るんですが、シュタイナーたちが使っていたソ連製のPPsh41にも目を引かれました。大人になってモデルガンを買ったくらいです。なぜ、ドイツ軍のシュタイナーがソ連製の機関銃を使ったのかは、補給が十分ではなかったので、倒した敵の銃を使うことが多かったからです。ドラムマガジンなので、印象的です。言っておきますが、私は戦争は嫌いですよ。あくまで、おもちゃの銃に興味があるだけです。