セルロイド・クローゼット

劇場公開日:

解説

ハリウッド映画の歴史のなかで、60年代まで検閲上その描写が禁止されながらも様々なコードにより暗示的に描かれてきた同性愛。映画における同性愛の暗示のされ方、描かれ方の歴史を、120本におよぶ作品からの断片と、俳優や脚本家、当時の観客だった同性愛者たちのインタヴューで明るみに出すドキュメンタリー。監督は「ハーヴェイ・ミルク」のロブ・エプスタインと、「ネバー・クライ・ウルフ」などの編集者出身でエプスタインとは公私にわたるパートナーであるジェフリー・フリードマン。撮影は「ビジョンズ・オブ・ライト」のナンシー・シュライバー。音楽は「ファーゴ」などコーエン兄弟の作品で知られるカーター・バーウェル。ナレーションは自身カミングアウトしたレズビアンでもあるリリー・トムリンで、本作の共同製作総指揮も兼ねている。インタヴューに答えるのは「お熱いのがお好き」で女装し、「スパルタカス」ではローレンス・オリヴィエに誘惑された(公開時カット、復元版で復活)トニー・カーティス、「カラー・パープル」と「ボーイズ・オン・ザ・サイド」でレズビアン的な役を演じ、黒人とゲイは同じマイノリティと語るウーピー・ゴールドバーグ、デビュー作のヒッチコック監督「ロープ」で、ジョン・ドールと共にゲーム殺人を犯すゲイ・カップルを演じた「夜の人々」「見知らぬ乗客」のファーリー・グレンジャー、「噂の二人」でオードリー・ヘップバーンと共演してレズビアンに扮したシャーリー・マクレーン、「フィラデルフィア」のエイズにかかったゲイの弁護士役でアカデミー賞を獲得したトム・ハンクス、リベラル派で知られ、「ハンガー」でカトリーヌ・ドヌーヴとのレズビアン・シーンが話題を呼んだスーザン・サランドンなどの有名俳優たち、「ベン・ハー」の59年版(ウィリアム・ワイラー監督)でベン・ハーとメッサラのあいだに同性愛関係を盛り込んだと語る作家のゴア・ヴィダル、「理由なき反抗」のプレイトー(サル・ミネオ)役について言及するスチュアート・スターンなど。

1995年製作/104分/アメリカ
原題または英題:The Celluloid Closet
配給:パンドラ
劇場公開日:1997年2月8日

ストーリー

※本作はドキュメンタリーのためストーリーはありません。

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映画レビュー

4.0隠されてきた記録、そして今につづく

2022年12月20日
iPhoneアプリから投稿

映画が創られて以来、どのように同性愛が隠され
どのようにヘイズコードを乗り越えてきたか
知っていた映画から知らなかった映画まで、
実際に当時演じた役者や脚本家などが出てきて
証言しながら、解説される。

こんな貴重な映像が今まであっただろうか。
どのように同性愛という存在が映画の中で
形を変えてきたのか。

ヘイズコード中に、無知な検閲官にバレぬよう
同性愛要素を仕込んでいたのには、泣ける。

さらに、作中で同性愛者は悲劇的な運命を
辿るよう、自殺するような描き方をされることの
問題点を当事者が語る
当時を生きてきた人にどのように享受され、
どのように無視されてきたのか、それを知れる貴重な映画だ。
否定的な描き方でも、ゼロでないだけよかった。そういう関係者もいた。
しかし、映画が人に与える刷り込みは怖い。

そして今、どのように描くべきなのか、
それが試される時代と変わってきている。
どうか、もうクローゼットしないそして否定的でない描き方がされますよに。

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JYARI