「規律と人心掌握」頭上の敵機 根岸 圭一さんの映画レビュー(感想・評価)
規律と人心掌握
上に立つ者の素養について考えさせられる映画。グレゴリー・ペック演じるサヴェージのように、規律に厳しいだけでは士気が下がる。ダヴェンポートのように人気なだけでは成果は出にくい。上に立つ人間に求められるのは、部下の力を最大限に引き出して、組織として成果を上げることだ。そのためには規律と人心掌握の両立が求められる。
多分今までサヴェージは、厳しいだけでも付いてくるような、それなりに優秀な部下ばかり持ってきたのだと思う。今までそれで成果を上げてきた。しかし同じやり方を今回も行ったところ、強い反発を食らい、まさかの異動願いが続出した。そういう経験を通じて、トップとしてのあり方について考え人間的に成長することができた。今作で監督が描きたかったポイントだと思う。
それにしても、サヴェージの指摘は真っ当な内容ばかりだし、パワハラ的な理不尽な言動も無いのに異動願いが続出するって、随分甘っちょろい奴らだな。彼らが特段駄目なのか、それとも日本人との国民性の違いなのか。
ストーリーは、サヴェージと部下達の心情の変遷の描き方がいまいちだった。ただサヴェージ指揮下で成果を上げただけで彼を認めるようになっている。もっとサヴェージの指揮や指摘に対して、徐々に彼を有能だと認めるような描写が欲しかった。あと戦闘シーンに実際の映像を使用しているのは、歴史的に貴重だと思った。
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