スケアクロウ

ALLTIME BEST

劇場公開日:

解説

アル・パチーノとジーン・ハックマンが共演し、ヒッチハイクでアメリカを旅する2人の男の友情を描いたアメリカン・ニューシネマの名作。南カリフォルニアの人里離れた路上で出会った短気な男マックスと陽気な青年ライオン。6年の刑期を終えて出所したばかりのマックスは洗車店を始めるべくピッツバーグへ、5年間の船乗り生活を終えたライオンは一度も会ったことのない我が子に会うためデトロイトを目指していた。正反対な性格の2人は出会ってすぐに意気投合し、一緒に行動することになるが……。監督は「哀しみの街かど」のジェリー・シャッツバーグ。1973年・第26回カンヌ国際映画祭で最高賞にあたるグランプリを受賞した。

1973年製作/112分/G/アメリカ
原題:Scarecrow
配給:ワーナー映画
劇場公開日:1973年9月22日

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映画レビュー

5.0アル・パチーノ、そしてジーン・ハックマン

2024年4月8日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

知的

二人の演技が素晴らしい。あまりに素晴らしい。70年代のアメリカ社会で、一旦落ちこぼれたけれど新たな目標を頑なに持ち続けて再スタートの旅を続ける。

何枚も何枚も何枚もシャツを着ていて寝るときは靴を枕の下に置くマックス(ハックマン)。喧嘩っぱやい彼も時間はかなりかかったが、ひょうきんで陽気なライオン(パチーノ)によって変わっていく。ライオンとは口をきかない喧嘩中でも、顔中が血だらけに傷ついたライオンの仕返しをするのはマックス。妻に電話するライオンを励ますのもマックス。「ビジネス・パートナー」がいまやかけがえのない友達だとマックスは思っている。

人を笑わせ人懐っこく優しいライオンはマックスにとって最高にいい奴だ。タバコ好きのマックスに最後のマッチもあげた。そのライオンは一方で、げすで最低の暴力を振るったライリーにとってはお誂え向きの「無害な」かかしだった。悪意のあるカラスに暴力をふるわれたかかしはもはや笑わない。陽気で人懐こいライオンはもう居ない。ライオンの5年間は身重の妻を一人おいて勝手に旅立って得た自由だった。妻にお金は送っていた。でもその間に妻の様子や赤ん坊のことも聞かず自分のことを知らせる電話一本、手紙一本寄越さなかった。5年間の自由気儘、良心の呵責もあったろうが、送金してたからいいだろうという傲慢のしっぺ返しが妻があえてついた嘘。ライオンの絶望は彼の心と体を蝕んだ。

6年間の不自由な刑務所生活を終え、ノートに書いたピッツバーグの銀行口座の額が全ての単純なマックスには、かかしの本当のことなど何もわからなかったに違いない。

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talisman

4.0時代の波に乗れない二人は案山子のような存在?

2024年3月13日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

偶然に知り合った男二人のロード・ムービということなのですけれども。本作は。

粗暴な性格が災いしてか、刑務所となかなか縁を切れないかのようで、今度こそ洗車業で人生の再起を賭けているというマックスと、妻との関係性を築けずに出奔(しゅっぽん)してしまったというフランシス―。
どちらも社会の波に、上手くは乗ることのできなかった二人は、中身が伴っていない案山子(スケアクロウ)のような存在だったということなのでしょうか。

そう考えると、とてもとても「男二人の友情のロードムービー」などという、甘酸っぱい評が当てはまる一本では、決してなかったのではないかと思います。評論子は。
むしろ、胸にずんと重たい一本だったと思います。評論子は。

いろいろな事情から社会の「流れ」に乗ることができず…あるいは、乗り遅れて、精神的に病む者も少なからずいたであろう当時の世相を静かに描いた一本なのだろうも思います。

今(令和)の日本に置き換えたとすると、果たして今の日本は、どんな状況なのでしょうか。

本作は、いわゆるアメリカン・ニュー・シネマを代表する一本ということで、午前十時の映画祭13の一本として鑑賞した作品でしたけれども。
「病めるアメリカ」を、決して声高にではなくても、しっかりと描いたということでは、秀作と評することができると思います。評論子は。

(追記)
マックスの前では(彼の自分に対する関心が途切れてしまうことを心配しているかのような)ときに過剰なほどのおどけぶりや、案山子(かかし)がカラスを寄せ付けないのは、その警戒心を利用したものではなく、カラスを笑わせて楽しませることで、作物に被害を与えることを遠慮させているのだなどという荒唐無稽な屁理屈を捏(こ)ねたりするのも、マックスとの平常的な関係性を築きかねてのことなのだろうと思いました。評論子は。

彼が妊娠中の妻を残して出奔してしまったというのも、いちばん濃密であったはずの妻との関係性を上手に築けなかったからだったのでしょう。

そして、妻・アニーとの関係性が決定的に壊れて、もともと持ち合わせていた「素因」が爆発的に彼の中で膨らんでしまい、遂には発症にまで至ってしまったのが「真相」といったところでしょうか。

(追記)
一方のマックスにしても、お金を意外なところに隠していたり、異常なほどの厚着だったり…。
情緒的に、あまり安定しているとは言いかねる状況だったと思います。
同じく不安定たったフランシスに互いに惹かれ合い、衝突をしなかったのは、そんなところに素因があったのかも知れないとも思いました。
評論子は。

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talkie

4.0映画終活シリーズ

2024年2月29日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

1973年作品
カンヌ映画祭グランプリ受賞
ジーン•ハックマン渋いねぇ〜
前年に「フレンチ•コレクション」撮影
アル•パチーノも「ゴッドファーザー」撮影
一番あぶら乗り切ってる時の映画やな

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あきちゃん

何故か目が潤む良い映画

2024年2月28日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

大学生の時リリースされ、今見たら歳をとったせいか?かなり心の琴線に触れる映画と感じました。人間関係の薄い昨今には無い様な事です。アルパチーノも様々な映画で見てますが、この若い時の映画も当たり役だと思いました。又70s終わり頃からの米国に行ってて朝食たべるカフェとか風景など似ていて懐かしくて彷彿としました。

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kiki
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