ジャスティス(1979)

劇場公開日:

解説

メリーランド州、ボルチモアを舞台に、町の法廷にのさばる司法制度の矛盾と裁判の不条理に挑む、理想主義者である若い弁護士の姿を描く。製作総指揮はジョー・ワイザン、製作はノーマン・ジュイソンとパトリック・パーマー、監督は製作も兼ねる「ローラーボール」のノーマン・ジュイソン、脚本はヴァレリー・カーティンとバリー・レヴィンソン、撮影はヴィクター・J・ケンパー、音楽はデーヴ・グルーシン、編集はジョン・F・バーネット、製作デザインはリチャード・マクドナルド衣裳はルース・マイヤーズが各々担当。出演はアル・パチーノ、ジャック・ウォーデン、ジョン・フォーサイス、リー・ストラスバーグ、ジェフリー・タンバー、クリスティン・ラーティ、サム・レヴィーン、ロバート・クリスチャン、トーマス・G・ウェイツなど。

1979年製作/アメリカ
原題または英題:...And Justice for all
配給:コロムビア映画
劇場公開日:1980年3月15日

ストーリー

ボルチモア裁判所の拘置所の暗がりの中に、若い弁護士アーサー・カークランド(アル・パチーノ)がうずくまっていた。弁護士の彼が拘置されているのは、裁判中にフレミング判事(ジョン・フォーサイス)を殴ったからだ。真夜中、拘置所を出た彼に早速仕事が依頼された。彼の妥協を許さぬ熱血漢ぶりは多くの人々に信頼されていた。今彼は2つの気にかかる事件を手がけていた。1つは、ジェフ(トーマス・G・ウェイツ)という若者が車の尾灯の故障というだけで逮捕された事件と、性倒錯の黒人ラルフ(ロバート・クリスチャン)が強盗の仲間として告訴されている事件だ。ジェフの一件で、法規だけをふりかざす権力主義者のフレミング判事と対立していたのだ。一方、黒人のラルフは普段女装している気弱者で、囚人になるなら死んだ方がよいとまで考えているため、アーサーは、彼を何とか保釈させようと思っていた。法を守る筈の裁判所は、しかし矛盾と不正に満ちており、アーサーの周りには自殺癖という奇妙なクセのあるレイフォード判事(ジャック・ウォーデン)などもおり、フレミング判事ともども法の執行者として問題のある人間が多かった。そんなある日、その憎むべきフレミング判事が強姦罪で告訴されるという事件が起き、事もあろうに、フレミングはアーサーに弁護を依頼してきた。彼の申し出をはじめは拒否したアーサーだったが、ジェフの保釈を条件に出され、仕方なしに引き受けることにする。その頃、弁護士の査問委員会に呼ばれたアーサーは、委員の1人で女性弁護士のゲイル(クリスティン・ラーティ)と知り合い、いつしか愛し合う仲になる。そんな頃、黒人青年ラルフが刑務所に送られ自殺し、ジェフが所内で人質を取りたてこもるという事件が起きた。かけつけたアーサーに、ジェフは自分は無実だと言い続け、しかも、看守たちがかわるがわる自分を犯し続け暴力をふるうので刑務所には一刻もいることはできない、と訴えた。ショッキングな事実を聞いてアーサーの怒りは爆発するが、ジェフは立ち上つた瞬間に、周囲を取りまいていた警察の弾丸に息絶えていった。そしてフレミング判事の裁判の日が来た。依頼人のジェフが生きているうちはこの悪徳判事の弁護にも意味があったが、倒錯した性感覚の持主である事実をつかんだ今は、フレミングの弁護をする意味は何もなかった。そして、アーサーは、フレミングを指さして叫んだ。“こいつは正義の皮をかぶったケダモノだ!こいつには弁護の余地はない”と。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第37回 ゴールデングローブ賞(1980年)

ノミネート

最優秀主演男優賞(ドラマ) アル・パチーノ
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映画レビュー

3.5【法に携わる者にとっての、真なる正義とは何かを描いた作品。】

2024年10月19日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

興奮

知的

幸せ

■熱血弁護士、アーサー・カークランド(アル・パチーノ)は、微罪で逮捕されたジェフと、性倒錯の黒人・ラルフの、2人の事件を抱えていた。
 アーサーは弁護に奔走するが、矛盾と不正に満ちた裁判所の壁にぶつかり悲劇的な結末を迎える。
 だが、ある日、彼と常に敵対して来た”抒情酌量”と言う考えを持たない、法に実直過ぎるフレミング判事が女性への暴行罪で告訴され、彼はアーサーに弁護を依頼する。

◆感想

・当たり前だが、弁護士は弁護人の刑を如何に軽くするか、無罪にするかに腐心する。故に、石を投げれば弁護士に当たると言われるアメリカでは、犯罪者の罪に焦点が当たるよりも、如何に優秀な弁護士が犯罪者の量刑を軽くしたかに焦点が当てられる。

・日本でも、刑事裁判の鉄則として、”疑わしきは被告人の利益に”と言う白鳥決定が厳然としてある。私も学生時代に、それを叩き込まれたモノである。

・だが、この作品ではアル・パチーノ演じるアーサー・カークランド弁護士は、そういった忖度をしない。
 悪は悪であるとして、弁護士ながら厳然と弁護人の罪を法廷で糾弾するのである。

<今作は、ストーリー展開が粗い部分はある。だが、ラストに微罪で逮捕されたジェフと、性倒錯の黒人・ラルフを有罪とした弁護人であるフレミング判事に対し、厳然と鉄槌を下すのである。
 今作は、現代に観ると訴訟社会アメリカを痛烈に揶揄した作品としても観る事が出来る。弁護士の有能さを、”如何に極悪な犯罪者の量刑を軽くするか。””如何に軽微な訴訟で、多額の賠償金を勝ち取る事が出来るか。”という尺度で捉える訴訟社会アメリカに対してである。>

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NOBU

4.0狼たちの午後の演技による法曹界版セルピコ

2023年11月12日
PCから投稿

周囲の雑音に惑わされず正義を追及する姿勢はまさに「セルピコ」ですが、イライラ、ブチ切れる役作りはほぼ「狼たちの午後」です。

日本人にはピンと来ないテーマで、非現実的に感じますが、これがアメリカの裁判制度の現実であって大きな問題点であることはアメリカ市民の常識なんでしょうか?

映画としては複層的なストーリーを上手く処理してドラマチックも十分に感じる佳作です。パチーノ先輩の迫力が作品の全てを支配しているようです。

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越後屋

2.5正義ってなんだ?

2023年2月11日
Androidアプリから投稿

アルパチーノ演じる弁護士の苛立ち、苦悩、悲しみが伝わる作品でした。

ただ、面白いかって言うと個人的には微妙な感じ。

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カミムラ

3.5法は法

2022年11月4日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

主人公(アル・パチーノ)は正義感あふれる弁護士だけど、法律を厳密に適用すると、冤罪を生み出すことに気づく。
権威主義の判事を殴って、留置場に入る始末。
しかし、その判事がレイプ容疑で逮捕され、おまけに弁護を主人公に頼んできたのでビックリ。
法は必ずしも正義を実現するとは限らない。

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いやよセブン

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