ジャイアンツのレビュー・感想・評価
全6件を表示
何度でも見返したい名シーンが数珠繋ぎのカルトムービー
機会があれば何度でも観たいカルトムービー。作品の完成度が高いからカルトなのではない。(勿論、秀作ではあるのだけれど) 繰り返し見てみたいシーンが数珠繋ぎになっているのだ。テキサスの大牧場主のビック(ロック・ハドソン)が、東部エスダブリッシュメントのお嬢様、レズリー(エリサベス・テーラー)を嫁に迎え、新婚旅行を兼ねた列車での長旅を終えると、2人を乗せた1車両だけが広大なテキサスの荒野に停車している。いったいどれだけ金持ちなんだ!?レズリーは慣れない牧場主の妻という役目を、持ち前の勝ち気で克服していく。男尊女卑の社会に怒りをぶちまける。ここでのテーラーの小生意気な感じが大好き!一介の牧童だったジェット(ジェームズ・ディーン)が石油成金になってビックを見返そうとする。ジミーの屈折した感情表現が3人の中ではとにかく異質。等々。そして、牧畜から石油へとシフトしていく時代の転換期にあっても、失われることのないテキサス魂を謳い上げる映画は、いつ観ても、常に変容を強いられる現代人に勇気を与えてくれるのだ。これぞカルト!
1950年代を代表する傑作。ジェームズ・ディーンの遺作です。
ジェームズ・ディーンの出演作はたったの3本。
「エデンの東」(1955年)
「理由なき反抗」(1955年)
この2作品は、かなり以前に観ています。
本作「ジャイアンツ」(1956年)を撮り終えて、
ディーンは24歳の若さで交通事故のため世を去ります。
そんなことは差し引いても、文句なしの名作映画でした。
監督:ジョージ・スティーブンスはアカデミー賞・監督賞を獲得。
物語は30年に渡るベネディクト一家と牧夫だった男の歳月を辿った
大河物語。
3時間20分の堂々の大作ですが、
劇的な展開が次々と起こりテンポが速い上に巧みな語り口。
そして出演俳優の魅力と熱意・演技力で非常に面白かったです。
ストーリー
1920年代半ばから1950年のテキサスの大牧場を舞台にした
人間模様を描いています。
人種差別、拝金主義と精神的な満足、夫婦の考え方の相違と教育感の違い、
などに焦点を絞っています。
テキサスに59・5万エーカーの土地を持つ“ビック“ことベネディクト
(ロック・ハドソン)は、
馬を買い付けに行った東部の名門の娘レズリー(エリザベス・テーラー)と、
互いに一目惚れして速攻で結婚します。
レズリーは鼻っ柱の強い娘で、新婚早々揉め事や口喧嘩が始まります。
レズリーは新婚お披露目パーティーの帰り道を牧場手伝いのジェット・リンク
(ジェームズ・ディーン)に車で送って貰う途中、
使用人のメキシコ人が居住する貧しい地区に立ち寄ります。
そこで40度の高熱で重症の赤ちゃんを見兼ねて、
ベネディクト家係り付けの医師を派遣して命を救います。
レズリーとジョーダンの最初の口喧嘩が、
「テキサスのあなたの土地は、先住民のメキシコ人から盗んだ」
との内容でした。
事実、広大な土地はジョーダンの祖父が、
1エーカーをたったの5セントで買い取った土地です。
このようにレズリーはとても正義感が強く、しかも慈善の心を持つ女性。
生粋のテキサス男のジョーダンとは、そりが合わないのですが、
2人は互いを深く愛しています。
そんな時、牧場を女王のように仕切っていた姉が、落馬して亡くなります。
変わり者で偏屈なジェットを可愛がっていた姉の遺産が1200ドル、
ジェットに残されます。
それを元手に石油掘りをはじめるジェット。
(ジェットはジョーダンの若妻レズリーを一目見たときから、
恋しています。叶わない恋です)
一方でレズリーは男女の双子を出産。
泣き虫で怖がりの長男は馬を怖がります
教育方針で揉めるレズリーと“ビック“
怒ったレズリーは実家の東部へ里帰りします。
寂しさに耐えきれずクリスマスの日に迎えに来る“ビック“
その実家のクリスマス。
双子の娘と息子、そして次女の3人が、可愛がっていた七面鳥の
丸焼きが食卓に載り《大泣きする3人の子供たち》
レズリーの心の優しさは特に長男のジョーダン3世に引き継がれるのです。
そしてジェットの土地の原油が突然何十メートルも噴き上げる。
ジェットは遂に油田を掘り当てて、大金持ちの石油王になるのです。
インターミッション
子供たちは成人して大学生になろうとしています。
博愛精神を母から受け継いだ長男(なんとデニス•ホッパー)は、
医師になりメキシコ人居住区の診療に当たり、差別されるメキシコ人を
妻として迎えるのです。
そしてジェットを忌み嫌っていた“ビック“も、遂にジェットの提案を
受け入れて自分の土地から油田を掘り、更に豊かになりますが、
牧場経営はジョーダンの心の支え。
ところが牧場の跡取りを長男は拒否して医者になるし、
娘は夫と小規模牧場の経営を2人で始めるというのです。
“ビック“の夢はことごとく子供たちから裏切られます。
そんな折り、
今ではテキサス最大の金持ちで石油王からホテル王へのしあがったジェット。
ホテルの落成式がハリウッドスターや知事を呼んで、
盛大にホテルでのパーティーの日が来ます。
“ビック“ファミリーは自家用ジェット機で乗り付けます。
ところが長男の妻が美容院でメキシコ人を理由にセットを断られます。
怒ったジョーディ(デニス・ホッパー)は、ホテル会場でジェットに
殴りかかるものの、逆に張り倒されてしまいます。
それを怒った“ビック“は酒の貯蔵室でジェットと対決。
パーティーはめちゃくちゃ。
そしてジェットは呟きます。
「自分のような卑しい者が、油田を掘り当てて、分不相応の財産を手にした」
そして如何に、
「レズリーを愛して、恋焦がれた一生だったか!!」と、嘆きます
更に帰路、立ち寄った「ハンバーガーとフライドチキン」の店。
ここでもメキシコ人の嫁と孫は入店を嫌われるのです。
“ビック“の取りなしでなんとか食事中、別のメキシカンが入店。
店主は断固としてメキシコ人を拒絶。
怒った“ビック“は店主と大乱闘!!
無事、テキサスの自宅に帰ったレズリーは、
夫“ビック“を今まで一度もなかったほどの優しさと慈しみと尊敬を込めて、
言います。
バーガー店で差別と闘う夫“ビック“
「あの時のあなたが今まで25年間の結婚生活で一番素敵だった」と、
メキシコ先住民の土地を奪い、安い賃金の労働力として利用して、
医療も与えないのが当たり前。
メキシコ先住民を差別して利用して来た“ビック“が、
今ではメキシカンの嫁と、混血の孫を慈しんでいる。
レズリーの努力は遂に実を結んだのです。
この映画でロック・ハドソンのデカさが半端なく、調べたら195センチ。
ジェームズ・ディーンは171センチ。
大男と小男みたいでしたが、トム・クルーズ同様にとても素敵です。
そしてジェームズ・ディーンの老け役。
50代の役作りは若造のそれではなかったですね。
“ビック“への劣等感とレズリーへの報われことない恋心を秘めた
金が巨万と有り余ってても虚しい人生を、的確に演じていました。
本当に早世が悔やまれる惜しい俳優でした。
「ジャイアンツ」
この映画で“巨人“とは誰だったのでしょう?
深刻な内容も明るくテンポ良く、展開も速い。
テキサスの抜けるような青空とエリザベス・テーラーの美しさと貫禄。
ラストで、
「良い映画だった」と微笑みを噛み締める名画でした。
The Benedict Family's real big success. テキサス農園家族の一代記。
古い映画だし大して面白くもないだろうけど有名作なので観とくかぁ~ぐらいの気持ちで観に行ったのですが、これが意外や意外面白かったです。
とりあえずジェームス・ディーンが出てたって事だけの予備知識だったのですが、ジェームス・ディーンは脇役だし、嫌な奴だしでガックリでした。ジェームス・ディーンって確かに田代まさし似だったんですね。若い頃はイケメンでしたが、正直単に顔が良いから騒がれてただけなんだろうなぁ。思い出補正がないのでそこまで言う程か?っと思ってしまいます。
ジェームス・ディーンはさておき映画自体は不思議と面白かったです。特にインパクトあるシーンがあるわけでもないのですが、こういう家族の一代記って最近は余り見られないタイプの作品ですね。だから余計に面白く感じたのかもしれません。
アメリカ国内の人種差別って昔は酷かったんでしょうね。もちろん今も差別は有りますし、個人的にも海外でアジア人という理由で差別された経験があるので(特に老人は差別が好き)、「差別意識ってのはなくならないもんだよなぁ」っと自分の経験を通して思っているのですが(もちろん人種なんて気にしない人もいっぱいいますよ)、それでも当時と比べると現代は随分マシになっているのだなっと思います。
この映画の冒頭でも言っていたようにテキサスはメキシコから安値で買い取った土地で、アメリカ人はそこに住んでいたメキシコ人を使用人にして差別を行ってたんですね。うーん、アメリカ人ってそんなことばかりやってるな。今でこそラテン・アメリカの楽曲が音楽チャートを賑わしていたりでカッコいいイメージもありますが、当時のアメリカ人からすれば今の状況は想像もできない事なのでしょうね。
で、そんな差別の多い時代の中でも先進的な考えを持っていたエリザベス・テイラー扮するレズリー。彼女を見てると昔の男ってカッコ悪いなっと思ってしまいます。まだ制作された当時は昔堅気が残ってたでしょうに、そんな中でもレズリーというキャラクターを作り出したこの作品に先見性を感じます。で、最終的にビックも人として成長すると。ベタですがいい話じゃないですか。
取り扱ってる問題が家族の事であったり、差別の事であったりと全然今に通じる話なので作品自体は古くても内容は古びていない希有な作品です。長丁場ですが、観に行って良かったと思える一作でした。
私自身に焦りがあるのか余裕がなくて3時間20分という長さのこの映画...
私自身に焦りがあるのか余裕がなくて3時間20分という長さのこの映画よりは2時間位のを観たほうが良いのかと思ってしまう反面、観ておきたい気もあって、迷っているなら観るかと思い、ようやく1時間ほど経過しただろうか。映画の出来事は30年に及ぶという、さすがに長いだけある大規模な話だし、テキサスという舞台も大きい。そして、牧場から油田へと大金が絡んでいく。私にはロック・ハドソンのイメージと言うと、エイズ罹患の公言になってしまうのだが、でかい俳優だったのだな。エリザベス・テーラーがとても撮影当時23歳とは思えない風格を見せたりする。ジェームス・ディーンがかっこいいが、ずっと昔テレビコマーシャルで出ていた格好がこれだったかと数十年経過しているか、思ったりする。これを書いている時点で放映が61年前の映画なのだろうし、映画の舞台はもっと前なのだろうか、ロック・ハドソンの役は、当時は普通だったのだろうが、出身国や男女の差別観がある人物だが、エリザベス・テーラーの役の人物レズリーは、それらの差別観を持たない。だが、ハドソンの役の人物も悪い人物ではない。夫婦には男女の双子が生まれた。テキサス人の誇りとメキシコ人への差別観は、使用人だった身分のディーンの役の男でさえ持っていた。この男も根の悪い男ではなかった。ぶっきらぼうでなのである。短い場面だが、原油が噴出して全身かぶるシーンはなんとなくすごかった。その後で、俺はあんたらより金持ちになったぞと原油まみれでやってきて、テーラーに言い寄り、ハドソンに殴られ、殴り返したディーンの一連の流れはなんだかすごかった。そして1分間の休憩タイムが入るが1分ではトイレから帰ってこられないだろう。そしてかなり年月が経過した話になり、泣き虫の子供たちは20歳前後に見えるが、そうした事になった。太平洋戦争の頃なのか。しかし、主役3人の30年後まで演じる年齢幅の見せ方の広さもすごいものがあると思った。双子の息子は医師になると言い、娘は牧場で働く男と付き合うが、やがて小さな牧場を一緒に経営するから大牧場は継がないという。大牧場は時代遅れだとハドソン役の父に言う。子供たちにがっかりしているところに大金持ちになったディーン役の男がやってきて、牧場と石油の二重写しの映像が流れる。牧場を継がず医師になるという息子の嫁は白人ではなく、親と違ってまるで人種差別など考えないのだった。本当に当時23歳かと思わせるテーラーの白髪メイク。赤ん坊の時にテーラーが医師を呼んで救った差別集落の出身だった男の子は戦争で死んでしまった。(実際にその役者は強盗か何かに殺されてしまった人らしい。)その頃にはなぜかハドソンも差別的な感覚も無い感じで青年の死を葬儀で悲しんだ。日本人との戦争かも知れないから複雑なシーンだ。ディーンのジェットもハドソンのビッグも、石油成金の大富豪になっていた。だがいくら大富豪になっても、レズリーに憧れていたジェットは、レズリーの娘のほうを口説こうとしても娘は従わなかったようだ。娘が上手だったか。白人でない嫁が美容室に行くと、
何かと差別されて髪をセットさせてくれない店に飛び込んだビッグの息子が怒って店のガラスに花瓶か何かをぶつけるシーン。人種差別のシーンが散見される。ジェットが支持して美容院に差別させたと、息子がジェットに殴りかかろうとしたら取り押さえられ、逆にジェットが息子を殴り、怒ったビッグが外に出て殴り合いをしようとするが、アル中のようになっているジェットを殴る資格もないと切り捨てた後で、ワインのいくつもの棚をドミノ倒しのようにぶっ壊すシーン。主賓席に戻ったジェットは、スピーチになったが、酔いつぶれてしまい、机に突っ伏す。パーティーは終わったが、
嵐で外の村は大きな被害。それを心配する息子と、息子に語る父親。その頃の父親ビッグは、差別意識を息子の嫁に持たなかった。だが息子はパパも偏見を持っているじゃないかという。ジェットを支持していた娘も含めて、親子4人で揉め合う。娘は牧場の男からジェットに乗り換えたのか、よくわからない。大富豪になっても、酔いつぶれて不安と不満を抱いてしまっていたジェットの気持ちはなんだったんだろうか。結局、既に人妻だったレズリーへの届かない思いからだったのか。そんな誰もいない会場での独白を扉の陰から聴くレズリーの娘。ディーンの熱演が終えても、まだ続ける、人種差別の場面。次はレストランで。白人でないという理由だけで店から追い出されてしまっていたという人種差別。大変な偏見だったのか。それに怒って、店主に手を出して喧嘩になるビッグ。これはオヤジのかっこいいシーンだ。このシーンには涙が出て来る。背景に流れる音楽がなぜかマーチなのだ。ビッグの見せたのが本当のアメリカンスピリッツではなかったか。しかしビッグはノックダウンされてしまった。だが後でそれを誇りに思い、優しく介抱するレズリー。ゆったりとした夫婦愛だ。小さな牧場をやりたい男女は、また娘とは別の人たちみたいだった。ちょっと人物の区別がわからなかった。初めてみる人、特に外国人だと誰が誰だかわからなくなることもある。
大富豪なのに私は負けたというビッグに対して、レズリーは何より立派だったのは店で倒れていたあなたよ。最高のヒーローだったと言う。
午後ローで見た
どんな映画かも分からず大した期待もせずに見たら、テキサスの大牧場一家の一代記で、人間のエゴや業をえぐるような大作で面白かった。もっと面倒くさいお高い映画かと思っていたら全然違っていた。
ジェームズディーンがどんな振る舞いも仕草もいちいち様になっていてかっこよかった。無理しておじさんを演じているのも面白かった。
ただ、黒人差別をよくないというようなリベラルなメッセージ性のある映画なのだが、デニスホッパーの黒人の嫁が黒塗りした白人だった。当時は黒人女性をヒロイン的な役で映画に出してはならないという決まりがあったのだろうか。そうだとしたらさぞ悔しかったであろう。
全6件を表示