市民ケーンのレビュー・感想・評価
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世評の高さとの落差が大きすぎて…
ネットで視聴(英語字幕) 数ある映画のリストの中で、いつもベスト5以内に入っているきわめて評価の高い映画だが、その理由は、この映画が数多くの革新的な技法をもたらしたので、映画監督や映画監督を目指す人、映画を教える人たち、そういった、いわば玄人の間でウケが非常にいいからだろうと思う。 じっさい見てみると、専門家ではない自分にとっては大した映画ではなかった。 まあ最後の部分はハッとさせられたし、冒頭のコールリッジの「クブラ・カーン」の引用はカッコよかったけれども、それぐらいかな、印象に残ったのは。 世評の高さと食い違うもうひとつの理由として、芸術作品(映画が芸術作品とすればだが。イマイチ確信が持てないが)の寿命ということがあるのではないか。 映画の寿命は、100年持たないのではないだろうか。 映画の場合は、オーソン・ウェルズがもたらした撮影技法(非常に効果的なのでいまでは誰もが使っており、その点でこの映画の功績は大きいらしい。門外漢のわたしにはどんなものかわからないが、それと映画の面白さは別だと思う)ばかりでなく、トーキーだとか、フルカラーだとか、ハードの部分も時間とともに大きく変わる。 いまから100年後の映画の形態は、ちょっと想像がつかない。 そういう条件下で作られるので、作品はすぐ古びてしまうのではないか。 映画よりも、音楽の方が、まだ寿命が長そうだ。 18世紀から19世紀はじめの古典派の音楽家たち、ハイドンやモーツァルトやベートーベンは、今でもクラシックの主流中の主流だし、17世紀のバロックだって、バッハやヴィヴルディらがいて勝るとも劣らない。 それより前になると、だんだんなじみが薄くなる。 それ以前の、たとえばルネサンス期や中世の音楽は、限られた愛好家はいるにしても、専門家の分野といっていいのではないか。 そうすると、音楽の寿命は、300~400年か。 次に長いのは文学だろう。 文字で書かれたものであれば、新約聖書にわれわれは感動することができるし、もっと遡ってギリシャ悲劇やイーリアスやオデュッセイアもある。 中国には詩経も論語もある。 口承の時代を含めるとすれば、文学は、絵画とともに、もっとも古くからある芸術の形態ではないだろうか。人類の起源とともにはじまったといってもいいかもしれない。 前評判との落差の大きさに、そんなことまで考えてみたのでした。
オーソン・ウェールズの監督デビューでの主演作品だが、その演技力にひ...
オーソン・ウェールズの監督デビューでの主演作品だが、その演技力にひたすら圧倒される。全てを手に入れたかに見える富豪の空しさがスクリーンから滲み出てくる。名作と頷ける映画だった。
米映画協会でNo.1だが・・
米映画協会の「アメリカ映画ベスト100」の中で第1位というのでDVDを購入して観た。結論から言うと予め知識がないと解らないということだ。まずケーンは新聞王ハーストという実在の人物を描いているということ。当時ハーストは新聞の記事を使ってこの作品の評価を故意に落としたということ。ハーストは「バラのつぼみ」を愛人の性器の隠語として使っていたこと。またこの作品は、カメラワークや光と影のコントラストの使い方、ストーリー展開が1941年当時は斬新だったということ。本人の死亡ニュースから始まり、インタビュー形式で本人像を表したり「バラのつぼみ」の秘密が最後まで明かされなかった点などが優れていて、映画をひとつの作品としてサイレントから引き上げたという。日本人には解らない資産家ハーストに対する思いがアメリカ人にはあるようだ・・オーソン・ウェルズが25歳のときの監督・主演の作品。1941年のアメリカ映画。
愛されずに育った富豪の人生
この映画が作られた年代やほぼ1人で成し遂げた事を踏まえると、とんでもない。 何回も観たくなるタイプではないが、確実に映画とはなんたるかを構成する要素を生み出した意味ある作品になっている。
製作・脚本・監督・主演とオーソン・ウェルズでこれ作ったのはすごい。...
製作・脚本・監督・主演とオーソン・ウェルズでこれ作ったのはすごい。普通の映画より台詞のテンポがはやいが分かりやすく1人の人生を伝える形でうまくまとめられている。自分の筋書き通りにヒトを動かして愛を欲しがる描写に共感を得たので見る価値は大。
これぞ映画的
オーソン・ウェルズは多分膨大な時間や労力をかけて、1人の大富豪の「愛が欲しい」という内なる欲求を120分の作品にしたのだと思う。口で言えば1秒で済むんだけど、それを様々な視点、演技、映像、音楽で観せ切るのが映画なのだと、特にラストシーンで改めて実感した。そういう意味で本当に映画的。冒頭の屋敷の引きのカットの連なりには画面で驚かされたし、尚且つ70年前の作品なのだから二度驚き。
過去の名作
富豪偽善者の虚しき末路を長々と退屈に描ききった過去の名作。 偉大なる金持ち、チャールズ・ケーンが死に際に残した言葉を巡り、彼の仮面を剥がしていくといった内容。 「誰もが認める成功者」それは自分を大きく見せるため、孤独を隠すためのハリボテにすぎなかった。 今の僕たちからすると完全に色褪せてしまった作品であるのかもしれない。 いやはや、平成生まれで この作品をベタ褒めできるのは 今まで40年代の作品しか見たことのない方か、人一倍ポジティブな視点をお持ちの方のみだろう。
類いまれなる映像表現
41年当時にこの作品を作ったウェルズは周知の通り天才としか言い様が無い。 フラッシュバックで語るこの作品の手法が映画界に与えた影響は計り知れない。 現に、私は昨日「アメリカン・ビューティー」を観たが、この映画もストーリーの展開の仕方は「市民ケーン」と全く同じである。 そして、オスカーを獲得した実績がある…。 ワンカットの情報量がとてつもなく多いことが冒頭から分かる。 また、映像表現が類いまれ無く上手い。 ケーンを知る者によって語られる彼の過去を詳細まで垣間見ることによって彼のその時代時代の発言に説得力が生まれる。 そして、その人物像を隅々まで描き出し語られる彼の生涯を集約した名台詞は鳥肌ものだ。 この作品は映画として上手く出来ているのは、完全に"観客"を意識して展開される点だ。 結局、登場人物達には「薔薇の蕾」と言う謎を残したままだ。 しかし、観客には映像によって真実が語られ、ケーン少年が遊んでいたソリを頭の中でフラッシュバックさせられ「はっ」と思い、さらにあれだけ克明に語られた彼の人生の回想は企業家、権力者としての人生であり、彼が失ったものは"少年時代"であったことに気がつく。 そして、そこであの名台詞の意味の深さに気付かされる。 言うまでもなく傑作だ。
誰も知らない
世界で3番目の資産家ケーンが最も欲しかった物は金ではなく「バラのつぼみ」だった。 ケーンの死後、記者がケーンとは何者かを調べるにあたりその「バラのつぼみ」とはなんなのかをケーンに近しい人間に聞いて回るも誰もソレについて知らない。 前妻も親友もケーンに長年使えた執事もソレについて答えることができない。英語で、欲しい物で人が分かる、という格言があるが一番欲してた物を分かってもらえなかったケーンは空いたピースを埋められないまま死んでいく。
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