劇場公開日 2020年9月4日

「【”遥かなる山の呼び声。”今作は、流れ者の早撃ちガンマンであるシェーンが、世話になったスターレット家の幼き少年ジョーイに身を持って見せた、人道を歩む漢の生き様が沁みる名品である。】」シェーン NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0【”遥かなる山の呼び声。”今作は、流れ者の早撃ちガンマンであるシェーンが、世話になったスターレット家の幼き少年ジョーイに身を持って見せた、人道を歩む漢の生き様が沁みる名品である。】

2024年7月22日
PCから投稿
鑑賞方法:TV地上波、VOD

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幸せ

ー 今作は、小学生時代に映画好きの父に勧められて観た作品である。通常は20時になったらベッドに入るのが決まりだったが(高学年になると、そこから読書一時間を認めてくれた。)週末に映画を観る際には、その基準を緩めてくれたのである。
  チャールズ・チャップリンの諸作品など、人間の善性を描いた作品が多かったと思う。
  今作を観た時には、アラン・ラッド演じるシェーンが早撃ちにより悪漢を斃し、颯爽と去ると言う勧善懲悪映画だと思っていたモノである。
  だが、久しぶりに鑑賞すると、少し違った感想を持ったので、それを簡潔に記す。-

■誰でも知っている粗筋
 開拓移民のスターレット家に身を寄せることになった旅人・シェーン。この地では開拓移民達と横暴な牧場主・ライカーの間で土地をめぐる諍いが起こっていた。やがて、スターレット家にもその騒動が飛び火してきた時、シェーンは単身でライカー一味との対決に向かう。

◆感想

・流れ者のシェーンはある日、馬に乗ってフラリとスターレット家に辿り着き、一杯の飲み水を貰う。スターレット家の家長であるジョーは警戒するが、そこに、ライカー一味がやって来て、ジョーに暴言を吐くがシェーンはジョーの側に着き、彼らを追い返す。
 そして、ジョーはシェーンに妻マリアンお手製の夕食を振る舞い、ショーンはスターレット家の作業を手伝い、ジョー、マリアン、そして息子のジョーイと心を通わせていくのである。
 この一連の流れを、極自然にこの映画は見せるのである。

■シェーンは、町の酒場でライカー一味から、嫌がらせを受けるが彼はジョーの言いつけもあり、取り合わない。
 だが、シェーンは腰抜けだという噂が流れ、次にライカー一味と酒場で会った時に、彼は自分を侮辱した男を、叩きのめしライカーの甘言を受け入れる事無く、ジョーと共にライカー一味を完膚なきまでに叩きのめすのである。
 この一連のシーンでは、シェーンは常に”後の先”のスタイルを崩さないのである。これは、今作後の西部劇に大きく影響を与えていると思う。

・ライカー達が雇った殺し屋ウィルスンが、開拓農民のトーレーを早撃ちで殺害するシーン。ウィルスンは、早撃ちであるが故に、トーレーが銃を撃つ前に、撃ち殺している。

・それを知ったジョーはライカーの誘いに乗り、会いに行こうとするが、、シェーンは彼を力づくで止め、一人酒場に向かうのである。
 そして、そこで待っていた殺し屋ウィルスンに対し”卑劣なヤンキー野郎”と言い放ち、ウィルスンがシェーンに”抜けよ”と言った瞬間に物凄い早撃ちでウィルスンを撃ち殺し、更に発砲して来たライカーも撃ち殺すのである。
 更に二階にいたライカーの弟に対しても、心配でついて来ていたジョーイの咄嗟の掛け声で、相手が発砲した後に撃ち殺すのである。
 このシーンでも、シェーンは”後の先”のスタイルを守っていると思うのである。

<そして、シェーンはジョーイの一緒に帰ろうという言葉に対し、”人を殺してしまえば、もう元には戻れない。殺し屋の烙印は一生ついて回る。”と言い、ジョーイに”逞しい男になれ。”と言って、ジョーイの”シェーン、カムバック!”と言う声がワイオミングの高原にこだまする中、振り返る事も無く馬に乗って去るのである。
 今作は、一人の流れ者のガンマンの、人道を歩む漢の生き様が沁みる名品なのである。>

NOBU