JM
劇場公開日:1995年4月15日
解説
高度情報化社会と化した未来の地球を舞台に、脳にシリコン・チップを埋め込んだ極秘データの配達人、ジョニーの活躍を描いたSFハードボイルド。80年代以後の大きなSFのムーブメント“サイバーパンク”の旗手、ウィリアム・ギブソンの初期短編『記憶屋ジョニイ』(邦訳はハヤカワ文庫『クローム襲撃』に所収)を、自身の脚色で映画化。監督にはMTVやテレビ映画、短編映画『アリーナ・ブレインズ』(V)なども手掛けてきた気鋭のアーティスト、ロバート・ロンゴが当たった。劇中の電脳空間における主人公の描写に、彼の連作集『メン・イン・ザ・シティ』のアートを取り入れている。製作はドン・カーモディ、撮影はフランソワ・プロタットが担当。音楽はマイケル・ダナがスコアを書き、スタッビング・ウェストワード、ボノ&ジ・エッジ(U2)、ロリンズ・バンドなどのロック・アーティストの曲が全編に流れる。未来社会の造形に貢献したビジュアル・コンサルタントは「ブレードランナー」「タイムコップ」のシド・ミードが担当。主演は「スピード」のキアヌ・リーヴス。日本人ヤクザの役で「みんな~やってるか!」のビートたけしがハリウッド・デビューを果たしたほか、「ソルジャー・ゴールド」のドルフ・ラングレン、「サバイビング・ゲーム」などで俳優としても活躍するラッパーのアイス・T、本作が映画初出演のテレビ『ビバリーヒルズ高校白書』のディナ・メイヤー、「シシリアン」のバーバラ・スコヴァほか、多彩な顔触れが脇を固める。
1995年製作/103分/アメリカ
原題または英題:JM Johnny Mnemonic
配給:ギャガ・コミュニケーションズ=ヒューマックス・ピクチャーズ
劇場公開日:1995年4月15日
ストーリー
西暦2021年。世界は巨大コンピューター・ネットワークで結ばれ、人類の半数は電磁波による環境汚染が原因の不治の病、NASに冒されていた。情報を脳内のチップに記録して運ぶ“記憶屋”ジョニー・ネモニック(キアヌ・リーヴス)は、最後の仕事として北京からアメリカのニューアーク・シティまで、極秘情報を運ぶ依頼を引き受ける。彼は北京で情報をダウンロード(収納)し、その際、暗号の役目を果たすIDコードとして3つの画像を同時にインプットした。そこへ、情報を狙う巨大複合企業ファーマコム社の手先である多国籍犯罪組織“ヤクザ”の北京支部幹部、シンジとその配下が襲撃する。ジョニーは辛くも逃げるが、IDコードの画像の1枚を焼失し、残る1枚と半分をシンジに奪われてしまう。ニューアーク・シティに着いたジョニーだが、脳に大量の情報を長時間メモリーすることは生命の危険を意味していた。一方、シンジも彼を追って市内に入り、ボスのタカハシ(ビートたけし)の元へ向かった。今回の仕事のエージェント、ラルフィー(ウド・キアー)が敵の手先であることを知ったジョニーはアジトのバーに乗り込むが、逆に捕まる。その窮地を女ボディガードのジェニーが救い、二人はJ‐ボーン(アイス・T)率いるアナーキスト集団“ロー・テク”の助けを借りて、逃走に成功した。その頃、タカハシのコンピューターの端末に一人の女性の像が現れ、一人娘をNASで亡くした彼の心を慰めた。タカハシは、その女性が6年前に死んだファーマコムの創設者、アンナ・コールマン(バーバラ・スコヴァ)であることを知った。シンジは説教師と名乗る殺し屋カール(ドルフ・ラングレン)を雇い入れ、ジョニーを殺すよう命じた。NASに冒されていたジェニーが倒れ、ジョニーは肉体改造屋のスパイダー(ヘンリー・ロリンズ)の元へ連れていく。ジェニーは回復し、スパイダーが驚くべきことを告げた。ジョニーの脳内の情報はNASの治療法であり、提供主はファーマコム社を裏切った研究所員が盗み出したものだった。社は利益のために、治療法を秘密にしておきたかったのだ。敵の攻撃でスパイダーは殺されるが、ジョニーの情報はJ‐ボーンによってコンピューター・ネットを通じて全世界に公開されることになった。ロー・テクの橋上要塞“ヘヴン”に敵の魔手が迫る。タカハシはジョニーと対峙するが、再び端末上に現れたアンナの説得により、彼は死の間際にIDコードをジョニーに渡す。シンジとカールも倒され、ジョニーはサイボーグ化されたイルカのジョーンズ経由でダウンロード(回収)するため、電脳空間(サイバースペース)に突入した。治療法の情報は公開され、人類は救われた。
スタッフ・キャスト
- 監督
- ロバート・ロンゴ
- 脚本
- ウィリアム・ギブソン
- 原作
- ウィリアム・ギブソン
- 製作総指揮
- ロバート・ラントス
- ビクトリア・ハンブルク
- B・J・ラック
- 製作
- ドン・カーモディ
- 撮影
- フランソワ・プロタ
- 美術
- ニロ・ロディス=ジャメロ
- ヴィジュアルコンサルタント
- シド・ミード
- 音楽
- マイケル・ダナ
- 歌
- ボノ
- スタッビング・ウェストワード
- ジ・エッジ
- 編集
- ロナルド・サンダース
- 字幕
- 岡田壯平