さらば美しき人

劇場公開日:

解説

十六世紀末から十七世紀にかけて、人間が自らの愛や欲望に忠実であるが故に周囲と絶望的な摩擦を生じ、無惨な混乱の中で孤立していく、その悲痛なまでの生の美しさを追い続けた作家ジョン・フォードの『あわれ彼女は娼婦』の映画化。製作はシルヴィオ・クレメンテッリ、監督はジュゼッペ・パトローニ・グリッフィ、脚本はグリッフィとアルフィオ・ヴァルダルニーニ、カルロ・カランチオ、撮影はキム・アルカルリ、音楽はエンニオ・モリコーネ、編集はキム・アルカリが各々担当。出演はシャーロット・ランプリング、オリヴァー・トビアス、ファビオ・テスティ、アントニオ・ファルジ、リック・バッタリアなど。

1971年製作/イタリア
原題または英題:'Tis Pity She's a Whore
配給:松竹映配
劇場公開日:1972年6月16日

ストーリー

北イタリア、マントバ地方。ジョバンニ(オリヴァー・トビアス)はボローニャでの勉学を終え、十年振りに故郷に帰ってきた。父(リック・バッタリア)を始めとする家族たちとの再会、そして妹アナベラ(シャーロット・ランプリング)を見たとき、衝撃がジョバンニを襲った。アナベラの美しさは完璧だった。十年の歳月が、小さかった妹を理想の女性に変えてしまった。実の妹を愛することは破戒であり、アナベラにとっても破滅だ。兄と妹という因襲的な形式が、彼女の肉体の美しさからしりぞけられる理由になるか、ジョバンニは自らの肉体に苦行を科し、傷つけ、痛めつけて心の苦しみから逃れようとした。アナベラには次々と縁談が舞い込んだが、ジョバンニに比べたら見劣がしてその気にならなかった。二人の燃えたぎる恋情が爆発したが、またたくうちに罪の意識と愛の歓喜との相克の月日が飛び去った。やがて幸福の破れる日がきた。彼女が懐妊したのだ。しかも親の選んだ理想の求婚者、貴族のソランゾ(ファビオ・テスティ)を拒みきれなくなっていた。彼女は身ごもったままソランゾの許に嫁ぐことになったが、寝室を共にすることを頑強に拒む。それも束の間でたちまち妊娠を知られてしまった。実兄ジョバンニが不義密通男であることを知ったソランゾはアナベラの一族を招待して復讐の宴を計画した。そのことを直感的に悟ったジョバンニは愛を誓った剣でアナベラの心臓を突き通した。お互いの一族の一方が死に絶えるまで徹底的に戦うことを作法通り宣告し、宴席は修羅場と化した。それは人間の業が残忍きわまりない儀式を厳粛に行っている異様な光景とも映った。

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