最後の人
解説
「カリガリ博士」「ジルフェスター」等の作者カール・マイヤー氏が書卸した脚本により「ファントム」「ジェキル博士とハイド」等と同じくF・W・ムルナウ氏が監督したもので、主役は「ピーター大帝」「快傑ダントン」等主演のエミール・ヤニンクス氏でマリー・デルシャフト嬢、マックス・ヒルラー氏、ゲオルク・ヨーン氏等が助演している。無声。
1924年製作/ドイツ
原題または英題:The Last Man Der Letzte Mann
ストーリー
大都会ベルリン。大通りに面した宮殿の様に立派なホテルの豪壮な玄関に年老いた門番が立っていた。彼は金ピカの制服を着て得意然としていた。彼はがっしりとした大男で軍人らしい頬髭をはやしていた。彼は将軍にも見まほしい我姿に誇りを感じ、金モールの制服を何よりも愛した。彼はこの姿で裏町の我家に帰って来る時程幸福なことはなかった。悪戯小僧達が羨望の眼を以て彼を仰ぎ見るから。しかるに些さの負傷と老齢との故を以て彼は門番の制服を奪われ、地下室の浴場係に左遷された。彼は何よりも金モールの制服を着ないで家に帰らねばならないのが悲しかった。彼は制服を盗んでまでも着ようとした。しかしそれも裏町の人々が事実を知っては唯嘲笑の的となるばかりであった。彼は苦しみ歎いた。そこへ運命はこの老人に遺産を授けた。役は一躍して門番どころか富豪として立派な服を着ることが出来た。彼はシャムパンの盃を傾けながら心ゆくばかり笑った。かくて歓びの笑いの中に彼は死んで行くのであった。