コレクター(1965)

劇場公開日:1965年8月14日

解説

ジョン・ファウルズの原作をスタンリー・マンとジョン・コーンが共同で脚色、「噂の二人」のウィリアム・ワイラーが監督した心理サスペンス・ドラマ。撮影はロバート・サーティース、ロバート・クラスカー、音楽は「日曜日には鼠を殺せ」のモーリス・ジャールが担当した。出演はテレンス・スタンプ(カンヌ映画祭主演男優賞)、サマンサ・エッガー(同主演女優賞)、モナ・ウォッシュ・ボーンなど。製作はジャド・キンバーグとジョン・コーン。

1965年製作/アメリカ
原題または英題:The Collector
配給:コロムビア
劇場公開日:1965年8月14日

あらすじ

銀行に勤めるフレディー(テレンス・スタンプ)は、蝶を集めることに熱中していた。その蝶をクロロフォルムで殺すとき、何もかも忘れてしまうという変わった男だった。ある時、フレディーは賭けで大金を手に入れた。彼は郊外に家を買い、調度品を揃えた。そして美術学校に通う魅力的なミランダ(サマンサ・エッガー)という娘を誘拐し、強制的に同棲生活を送ることを計画、実行した。奇妙な生活だった。ミランダが欲しがるものは何でも買い与えた。だが決して監視の目はゆるめない。同時に彼女の方はたえず逃げる機会をうかがった。手を縛られて散歩した時も、ある夜に予期せぬ来客があった時も通報する機会をもう少しのところで失ってしまった。激しい雨の夜、ミランダはフレディーをシャベルで殴り、逃走を試みた。彼は血まみれになりながらも、ミランダを芝生の上でひきずり回した。病院で手当てを受けたフレディーが帰ってくると、ミランダは肺炎を起こして重体だった。そして死んだ……。翌日は快晴。フレディは車をゆっくり走らせた。前を行く娘にじっと視線を向けていた。その娘は病院で彼の傷の手当てをした若いチャーミングな看護婦だった。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第23回 ゴールデングローブ賞(1966年)

受賞

最優秀主演女優賞(ドラマ) サマンサ・エッガー

ノミネート

最優秀作品賞(ドラマ)  
最優秀監督賞 ウィリアム・ワイラー
最優秀脚本賞 ジョン・コーン
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映画レビュー

3.5 コレクター

2025年8月19日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD
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ゆみな

4.0 主人公の考えも行動も理解できた気持ちがラストで崩れた

2025年7月27日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

怖い

知的

ドキドキ

今まで見た中で最も若い時のテレンス・スタンプ。顔がふっくらとして青い眼が美しい。表情と体の動きとセリフのすべてが素晴らしい。スタンプ演じるフレディーも、彼が以前から狙いを定めていたミランダも上流階級の人間ではない。ミランダは奨学金で美大に通っている。専門は絵画。銀行員のフレディーは、同僚から蝶コレクションの趣味を馬鹿にされ苛められている。友達はいるように見えない。居るとしたら、お前のくじが当たった!と伝える為に、フレディーの職場へやってきて金額まで吹聴する叔母だけだ。こんな叔母はいやだ。

フレディーは周到な男だ。くじで転がり込んだ大金で、地下室や隠し棚もある大きな家を買う。地下室をミランダの部屋と決め、サイズはよくわからないが色の好みはわかっていて、たくさんのワンピース、下着、カーディガン、トイレタリーも調える。美術史の本に加えて、エル・グレコ、セザンヌ、ゴーギャン、カンディンスキーの画集も揃えておいた。丁寧に美しく完璧に作業するのは、蝶コレクターにとってはお手のものだろう。それがミランダには怖くて気持ちが悪い。本人は仕立てのいいスーツを着て、執事のように銀のプレートでミランダに朝食を運ぶ:紅茶ポット、銀のトースト立て、エッグスタンド、オレンジジュース。ノックを3回して入室、完璧。

面白かったのは、フレディーが声を荒げて小説と絵画を批判する箇所だ。ミランダが気に入って3回も読んだという『ライ麦畑でつかまえて』をフレディーも読み、ボコボコに批判する。主人公はまだ思春期の子ども、内実はフレディーと同じだからむかついたんだろう。そして次はピカソ批判。「変だ、こんな顔!」美しくシンメトリーな蝶を愛するフレディーにとっては有り得ない絵画だ。「Poshの趣味だ!奴らがいいと言うから、迎合して皆がいいと言ってるだけだ」と言う。フレディーの鬱屈が見えたように思えた。

音楽や音の効果、ドキドキする映像、二人の会話劇。古くささを全く感じなかった。面白かった。

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talisman

4.0 昔TV洋画劇場で見た懐かしの作品集

2025年6月30日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

昔(少年期に)テレビで見た作品の中で強烈に印象に残り、その後見返していない作品の記憶がどれだけあやふやなのかを確認するために再見する個人的シリーズです。
ウィリアム・ワイラー監督作品、1965年度キネ旬ベスト外国映画:6位

本作も結局劇場では見れなかったなぁ~。
これもよく覚えているつもりだったけど、見直すと殆ど憶えていなかった(苦笑)
恐らく、その後の類似作品と記憶がごちゃ混ぜになってしまっていたのでしょう。なので正確に憶えていたのはラストシーンだけだったようです。
ほぼテレンス・スタンプとサマンサ・エッガーの二人芝居に近かったですが、あらためて二人の演技が見どころでしたね。
サイコキラーものの先がけの様な作品だと思っていたのですが、本作で扱っていたのはもっと微妙で繊細な症状の様に見えたので、今の精神科医療の進歩にこの作品の存在もかなり影響しているのではないのかなぁ~。
ということで、本作の主役のフレディを現代の精神医学的観点から見るとどんな診断が予想されるのかをAIに聞いてみたところ、
①反社会性パーソナリティ障害(Antisocial Personality Disorder, ASPD)
②自己愛性パーソナリティ障害(Narcissistic Personality Disorder)
③自閉スペクトラム症(Autism Spectrum Disorder, ASD)
④性的倒錯(パラフィリア)または性的支配欲
などが挙げられ、特に①と②の混合タイプが考えられるとの事で、特定が出来ないが様々な混合や揺れが起きる事こそが精神の病みの深さなのでしょうね。
だからこうした精神の病に対して単純に扱うなという警告も込めた作品であったように今となっては感じられました。

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シューテツ

4.0 ほとんど二人芝居

2023年4月13日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

主人公(テレンス・スタンプ)は蝶の収集家、賭けで大金を手に入れ、郊外の大きな家を買う。
そして美術学校に通う女学生(サマンサ・エッガー)を拉致、監禁するが、何もせずに見守るだけだった。
ほとんどが二人の駆け引きだが、監督があのウィリアム・ワイラー、退屈しない。

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いやよセブン

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