ことの終わりのレビュー・感想・評価
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原作も是非!
先に小説を読みました。グレアムグリーンのカッコいい台詞が随所に散りばめられカトリックと英国人と男女の愛と信仰との相克といった複雑な内容ながら、読み返すたびに感動が深まりました。映画も随所にそのエッセンスを入れて多少ストーリーを改変してありますがなかなかの出来映えです。私が一番よかったのは「音」。ホーンテドハートなどのムーディーなジャズ、モーリスのひげそりの音、サラの靴音、公園の雨音など、耳の良い人にはたまらない素晴らしさです。映像は主演男優のお尻があまりに美しくて憧れました。あとはヘンリーやパーキスなどの男優の演技が本当に素晴らしいです。映画のあとに原作小説を読むと本当に深く理解することができると思います。
不倫のライバルは“神様”
各場面の時間の前後が判りにくく、
この情事は、
このレストランシーンは、
等々いつのことなのか、
最初は理解に苦しんだ。
改めて原作本を読んで、また映画を観た。
そう、難解だが魅力ある作品だったから。
原作には映画とは異なる箇所がかなりある。
リチャードという神父は登場せず、
同じ名前の男性は信仰という意味では
真逆の演説家。
そして顔に痣があるのは
探偵の子供ではなくこのリチャード。
だからラストで消えるのはリチャードの痣。
もちろんサラのキスが前提。
ただ、電気治療の結果かも、と曖昧。
このことが演説家の信仰心を芽生えさせる
奇跡に繋がったかについても、
彼から話を聞く前にベンドリックスが
電話を切ってしまったので曖昧のまま。
一方、子供の方は痣ではなく
腹痛の持病があるが、
親切だったサラを強く思うことで
好転するとの話が出てくる。
サラが神に誓いを立ててからは、
結果論的ではあるが辛うじて映画のような
ヘンドリックスとの情事は無い。
映画でははっきりとは描かれないが、
原作では、サラの死は自らが望み、
神に依頼した結果のように表現されている。
話の終盤、ヘンドリックスと共にサラを
看取る場面、原作ではヘンリーだけだ。
また一緒に住むのはサラが亡くなってからだ。
と、脚本でかなりの改変がなされている。
ニール・ジョーダンの脚本、
テーマを曖昧にしかねない誓い後の情事や
終盤の旅行の場面が蛇足的に感じ、
この部分は若干のマイナスだが、
原作よりも因果関係がスッキリした感があり、
全般的には優れた変更だったと思う。
神とは本来、人間からは超越した存在で、
サラも最後にその神に身を委ねたのに対し、
ヘンドリックスは
自分とは異なる人生観を持つ反対論者
のように神を捉える。
ヘンドリックスは
グリーンの化身なのだろうか。
けっこうよかった
どう考えてもジュリアン・ムーアも作家の主人公もクズなのだが、語り口がうまいのでいい感じに見える。旦那さんがいい人すぎて気の毒だった。ミステリーの構成が面白いのも悪質だ。子供のアザが消えるのは、ほんとかよ?と思う。映画でフィクションなんだからなんとでも言えるだろうけど、無理を感じた。
ジュリアンムーア綺麗
ちょっと戦時中が時代背景なのと16年も前の作品だからかクラシック感が漂ってて私には見辛かった作品でしたがジュリアンムーアの美しさに見とれてしまったことは確かです。
話は…すこーしまどろっこしかったかも…
最後の最後で素直に観られなくなる
愛と嫉妬が比例する面倒な作家と高級官僚夫人の情事の話なんて食指が動かないこと夥しいんだけど、なにやらアクロバティックな展開が楽しめるらしいってことで鑑賞。終盤近くまでは、サラの神への傾倒を一種の狂気として見てたんだけど、ラスト間近になって、夫人の死後に彼女が関わった少年に起こった小さな奇跡が描かれるに至って、なんだよ!そういう話だったのかよ!と。このエピソードによって、ベンドリックスの蘇りがほぼ確定してしまうわけで、解釈の遊びがなくなってしまう。サラの神への傾倒は当然のものだと思えるし、神にサラを取られたと嫉妬するベンドリックスも、さしてエキセントリックだとは思えなくなる。この辺りはもう少し曖昧なままにしておいて欲しかったなあと、個人的には思う。
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