個人生活
劇場公開日:1974年12月7日
解説
少壮気鋭の政治家とファッション・モデルの恋を描く。製作はアンドレ・ジェノーヴェ、監督は「帰らざる夜明け」のピエール・グラニエ・ドフェール、脚本はドフェールとパスカル・ジャルダン、台詞もジャルダン、原作はフェリシア・マルソーの「クリージー」、撮影はワルター・ウォティッツ、音楽はフィリップ・サルドが各々担当。出演はアラン・ドロン、シドニー・ローム、ジャンヌ・モロー、クロード・リッシュなど。
1974年製作/フランス
原題または英題:La Race Des Seigneurs
配給:東和
劇場公開日:1974年12月7日
ストーリー
早朝のパリ。大統領官邸エリゼ宮で行なわれていた閣議が、今終わった。降りしきる雨の中、待ちうけていた報道陣のカメラの砲列が注目の若手政治家ジュリアン・ダンディユ(A・ドロン)に殺到する。彼は左翼自由主義をスローガンとする連合共和党の多数派を率いてぐんぐんのし上った野党の党首であった。混迷する政界はジュリアンのような若く野心的な政治家にとっては恰好の活躍の舞台であった。このフランス政界の若手ホープは、今ではパリの花屋の売り子までがその姿を見つけて囁き合うようなマスコミの寵児なのである。というのも彼には美しく知的な妻と息子がいながら、最近クリージー(S・ローム)という美貌とプロポーションで売り出したトップ・モデルとの公然の関係が噂されていたからである。ジャーナリズムは、ジュリアンの多忙な一秒一刻を争って追っていた。やがて新しい内閣が誕生しようとしていた。ジュリアンにとっては政治生命を左右するほど重要な閣僚のポスト争いが熾烈に行われていた。幼いときから炭坑夫として働き、労働運動に身を投じてきた彼にとって連合共和党の総裁ビベールの未亡人で影の実力者といわれるルネ(J・モロー)は深い信頼で結ばれた仲であった。ジュリアンは今、ルネの助けを必要としていた。というのは同志サバランがジュリアンに反対派として対立していたからである。ジュリアンとは一心同体の秘書ドミニク(C・リッシュ)も、彼が閣僚のポストにつくためには何よりもサバランを巻き込むことだと考えていた。サバランへの調停者をルネに依頼したが、彼女はジュリアンがクリージーと別れることを条件に引き受けた。そして思惑通り、サバランはジュリアンに協力することを約束した。これでジュリアンが閣僚のポストに着くことはほぼ確実だった。ジュリアンは受話器をつかんでクリージーに電話する。だが誰も出なかった。数日後、大統領はジュリアンを新内閣の重要メンバーに選任した。彼の社会的野望は遂げられようとしていた。しかし、その瞬間、ジュリアンの胸のうちに熱い思いがこみあげてきた。それはクリージーへの未練であった。クリーシーのやさしさ、伸びきった肢体。その豊かな胸に顔を埋めると、ジュリアンの孤独で凍った心が次第に暖かくなっていくことを感じる。何回目かの電話でやっと電話連絡がついた。彼女は、もし0時までに彼女の家にこなければ自殺するという。必ずいくと約束したものの、いまわしい会議が始まろうとしていた。“今、エリゼ宮で大統領がお待ちになっています”。ジュリアンはもうひき返すわけにはいかなかった。夜がとっぷりとふけていく。街灯がマロニエの木立ちを照らしていた。ジュリアンがクリージーのアパルトマンに着いたとき、時刻はすでに0時をまわり、クリージーの部屋はまっ暗だった。
スタッフ・キャスト
- 監督
- ピエール・グラニエ=ドフェール
- 脚本
- ピエール・グラニエ=ドフェール
- パスカル・ジャルダン
- 台詞
- パスカル・ジャルダン
- 製作
- アンドレ・ジェノーヴェ
- 撮影
- ワルター・ウォティッツ
- 音楽
- フィリップ・サルド
- 字幕監修
- 山崎剛太郎