コーリャ 愛のプラハ

劇場公開日:

解説

民主化直前のチェコスロヴァキア(当時)を舞台に、気ままな独身中年チェリストと、5歳の少年の交流をハートフルに描いた一編。監督は「アキュムレーター1」で注目された新鋭ヤン・スヴィエラーク。同作で主演した実父で俳優のズディニェク・スヴィエラークが再び主演を張り、パヴェル・ソウクップの原案を基に脚本も執筆。出演はオーディションで選ばれた子役アンドレイ・ハリモンほか。96年東京国際映画祭グランプリ、97年ゴールデン・グローブ賞外国語映画賞受賞。

1996年製作/105分/チェコ・イギリス・フランス合作
原題または英題:Kolya
配給:シネマテン
劇場公開日:1997年6月14日

ストーリー

88年。プラハ。フランティ・ロウカ(ズディニェク・スビエラーク)は55歳で独身のチェリスト。かつてはチェコ・フィルの首席奏者まで務めた名手だったが、女性問題で転落、今はその日暮らしのぐうたら生活。彼の望みは、チェロを運べる大型車トラバント。そんなある日。ロウカの若い悪友のブロス(オンジェイ・ヴェトフィ)が彼に、ドイツ人の恋人と結婚するため、チェコの身分証明書が欲しいロシア女ナディズダ(ステラ・ザーズヴァルコヴァー)との偽装結婚を持ちかけた。礼金4万コルナという大金にひかれ、承諾したロウカだが、ナディズダは結婚式の直後、5歳の連れ子コーリャ(アンドレイ・ハリモン)を置き土産に遁走。トラバンドは手に入り、知り合いの歌手クララ(リブシェ・シャブラーンコワ)はたまに寝てくれるしとご満悦だったロウカだったが、コーリャの出現で事態は一変。はじめは煩わしいと思ったロウカだったが、やがて父親意識が芽生えた。彼はコーリャを手元で育てるため奔走するが、ロシア嫌いの母からは、コーリャがロシア人だと見抜かれ、秘密警察からは呼び出しはかかるわと苦労続き。そんな折り。ベルリンの壁が崩壊。プラハでも民主化運動が高まり、やがてチェコとスロヴァキアに国は分裂。そこにナディズダがコーリャを迎えに来た。別れを惜しむロウカ。しばらく後。民主改革成功の祝典。チェコの英雄ラファエル・クーベリック(本人)指揮の楽団にロウカは復帰していた。彼の子を妊娠中のクララは、ロウカを見守るのだった。

全文を読む(ネタバレを含む場合あり)

スタッフ・キャスト

全てのスタッフ・キャストを見る

受賞歴

第69回 アカデミー賞(1997年)

受賞

外国語映画賞  

第54回 ゴールデングローブ賞(1997年)

受賞

最優秀外国語映画賞  
詳細情報を表示

関連ニュース

関連ニュースをもっと読む

映画レビュー

4.0生きていくには金が必要

2020年1月8日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 1988年。ソ連崩壊前、ドイツ統一前の出来事。ドイツによる占領、ワルシャワ軍侵攻という激動の時代を経験したチェコ。民衆は常駐するソ連嫌いという背景で、ロシア人女性と偽装結婚するという話。

 ロウカは55歳の独身、女好き。交響楽団をくびになり、借金もあった。日々の生活費を稼ぐために墓石の名前に金で装飾するというバイトをこなし、もっと稼ぐためには車が不可欠であった。亡命のための偽装結婚はよくある話だったのであろう、尋問する公安の態度をみてもかなり慣れているようだ。コーリャがチェコ語がわからないために難を逃れるが、子供というクッションがロウカの心を動かす。結婚する気もないので子供と暮らす術さえ知らないロウカ。やがて言葉の壁を超え、心を通じ合わせることに・・・

 音楽が全編通して素敵でよかった。終盤にコーリャにバイオリンを買い与えるのですが、この絡みをもっと採り入れてほしかった。ラストも大急ぎで解決するという形だったのが残念。女好きであるという描写をもっと削ってもよかったのに・・・

コメントする (0件)
共感した! 0件)
kossy

他のユーザーは「コーリャ 愛のプラハ」以外にこんな作品をCheck-inしています。