黒いチューリップ

劇場公開日:

解説

デューマの原作をアンリ・ジャンソン、ポール・アンドレオータ、クリスチャン・ジャックが脚色、クリスチャン・ジャックが演出したアクションドラマ。撮影は「シベールの日曜日」のアンリ・ドカエ、音楽はジェラール・カルヴィが担当した。出演は「地下室のメロディー」のアラン・ドロン、「エヴァの匂い」のヴィルナ・リージ、ほかエイキム・タミロフ、フランシス・ブランシュ、ロベール・マニュエル、アドルフォ・マルシリャチ、ジョルジュ・リガーなど。イーストマンカラー・70ミリ。

1963年製作/110分/フランス・イタリア・スペイン合作
原題:La Tulipe Noire
配給:ヘラルド
劇場公開日:1964年4月18日

ストーリー

時は1789年6月、フランス革命前夜。スペインの国境に近いフランスの村で、「黒いチューリップ」と名乗る怪盗が、あくどい貴族たちを襲っては金品を巻き上げていた。その男の正体は伯爵のギヨーム・ド・サン=プルー(アラン・ドロン)。憲兵隊長のラ・ムーシュ(アドルフォ・マルシラック)は「黒いチューリップ」の正体がギヨームだと確信していたが、周りの貴族は誰も信じていない。ギヨームは不遜な笑みを浮かべては、貴族たちを手玉にとっていたのだ。そのなかの一人、ヴィゴーニュ侯爵(エイキム・タミロフ)の夫人カトリーヌ(ドーン・アダムス)とは愛人関係を結び、さまざまな情報を入手していた。そんなギヨームだったが、ある日、ラ・ムーシュの罠にはまり、左頬に大きな剣の傷を負ってしまう。その傷から正体がばれるのを危ぶみ、ギヨームは弟のジュリアン(アラン・ドロン)を呼び寄せる。ギヨームとジュリアンは双子の兄弟で、外見は瓜二つだったが、性格は正反対。内気なジュリアンは勇猛な兄を慕っていた。ジュリアンは特権意識の塊だと思っていた兄が、実は庶民の味方の「黒いチューリップ」だったと知り、喜んで身代わりを引き受ける。まずはヴィゴーニュ侯爵家でおこなわれるパーティに出席し、黒いチューリップの疑惑を晴らすとともに、王族ダルトワ公の陰謀を探る使命がある。慣れない正装で馬に乗り、ギヨームのふりをするジュリアンだったが、結婚式の列に美しい花嫁を見留め、落馬して膝に怪我をしてしまう。花嫁のカロことカトリーヌ(ヴィルナ・リージ)は、式を二の次にジュリアンを自宅へと連れて行き、怪我の処置を行う。カロリーヌの父プランタン(フランシス・ブランシュ)は革命派市民で、しかも挙式前の娘が貴族にまんざらでもない様子を見て、気が気ではない。その後、手当を受けて侯爵家へと急いだジュリアンは大広間に颯爽と登場。ラ・ムーシュは“ギヨーム”の左頬に傷がないことに驚くのだった。そのパーティの場で、侯爵はダルトワ公からの手紙を読み上げる。そこには、国民議会を解散し、人民の権利をはく奪する計画が綴られていた。そして、革命鎮圧のためグラジアック殿下(ロベール・マニュエル)が指揮する連隊がこの村を通ることが明かされた。ギヨームとジュリアン、憲兵隊長と貴族たち、プランタンと娘のカロら革命派市民、それぞれの運命が動き出す。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

4.0明るい冒険活劇

2023年11月9日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

笑える

楽しい

単純

まず、作品のあらすじはかなり間違ってます。兄がギヨーム、弟がジュリアン。兄は自殺してないし、遺言も残していない。
先日WOWOWプラスで放送したときも、番組情報としてこのあらすじと全く同じように間違っていた。
こっちの説明をそのままコピペしたのかな?
(2023年12月28日追記:修正されました)

そして、原作はデュマの同名小説とのことなのだけど、何がどうしてそうなったのかわからないくらい原型をとどめていない。名前も登場人物の関係性も場所も時代も、何一つあっていない。原作はチューリップバブル時の球根争奪戦(そこまでアクション重視ではないけれど)、こちらは義賊もの。原作と言っていいものか。

アラン・ドロンが一人二役でハンサムな貴族を演じるが、最近見たアラン・ドロン映画はフィルム・ノワール系ばかりだったので結構違和感が。

これらのひっかかるところをスルーすれば、作品としてはあっけらかんとして明るい冒険活劇。でもギヨームの死はもっと悼んでも良いのでは。

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mamemame

4.0華のある役者たちによる冒険活劇。

2022年8月3日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

楽しい

幸せ

萌える

ん?
解説の「ストーリー」違っている…。
 貴族の社交界に出入りしながら、”黒いチューリップ”として、貴族を襲っていたのが兄ギョーム。でも、”黒いチューリップ”として活動していた時に、顔に傷を負って。正体がばれないように、田舎に住んでいた弟ジュリアンを呼び寄せて、替え玉とした。
 社交界の中でスマートにふるまっていた兄ギョームの身代わり。田舎に居て、社交界慣れしていないとっぽいジュリアン。そのちぐはぐさがおかしい。フランス革命前夜のパリ。貴族の所業。庶民の窮状。ぽけっとしていたジュリアンも、やがてパリの民衆との交流を通して、雰囲気に感化されて…。
 という物語ではなかったっけ?
 それに、ジュリアンは(ギョームも)自死 していない。兄か弟が捕まって処刑されるか?というくだりはあるけれど…。

鑑賞したのはかなり前。思い出しレビュー。

ラストは、納得できるような納得できないような…。
助けに行かないのか?助けてもらったのに。
ヒューマニズムなんだか、残酷物語なんだか…。

フランス革命前夜におけるあれこれ。
 政略結婚のため、結婚してもアバンチュールを楽しむ貴族たち。その辺の駆け引きをうまくやれるのが一つの貴族としてのたしなみだそうな。
 双子はあまり歓迎されず、産まれてすぐに片方がどこかに養子に出されることが多かったと聞く。後々の相続争い回避のため? そんなベースがあるからか、デュマ氏の物語の双子の片割れは”鉄仮面”までかぶらされて…。この映画のジュリアンは遠い地で人々に隠されて育てられたらしい。だからか、貴族なのに、貴族に対する思想=今の人々側の思想に感化されている。貴族でありながら、我々の味方、で、徐々に強くなる。う~ん、完璧なアイドル。
 そして、庶民の、軍隊の様。
日本の時代劇にも似て、観客受けするように作り変えられたり、それなりに史実に合ったりして作られているんだろうな。

基本痛快冒険劇。
でも今の倫理観だと納得できない面もある。

とはいえ、アラン・ドロン氏の、女優の美しさに釘付け。美男美女のフェンシングも見応えあり。

アラン・ドロン氏二役。
 目が逆三角に見えるギョームは、さながらドーベルマンの様。
 目がまん丸に見えるジュリアンは、さながらマメシバ君。
 演じ分けも見事。
 それと、この制作年代に、どう撮ったの?と言いたくなるような二人の場面。

映像も素晴らしい。調度類・衣装、突き抜ける青空、初期のカラ―映画で、今の映画よりのびのびと広く見えるのは気のせいかしら?

納得いかないところもあるけど、最後のヒロイン&ヒーローのまばゆいばかりの笑顔に、ま、いっか。

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とみいじょん

3.0庶民の味方で黒仮面なんてのは『ゾロ』そっくり

2020年5月27日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 犯行の予告に必ず黒いチューリップを一輪置いておく。黒ずくめで黒仮面という出で立ちはむしろグリーンホーネットの雰囲気かもしれない。愛馬はヴォルテール。相棒はブリニョル。

 頬に傷をつけられ、公の場に出られなくなったので弟ジュリアンを呼ぶ。これがそっくり!というか一人二役なので当然だ。そのそっくりな顔を利用して、公爵家の集まりへの代役を頼むのだが、公爵夫人の愛人でもあるギヨームは弟に楽しんでこいと士気を高める。

 笑えるのは、頬を傷つけた本人ラムーシュ憲兵隊長に傷つけたこと。意外とアクションですごかったのが、カロリーンが馬に飛び乗るところとか・・・

 アラン・ドロンの一人二役だが、左頬に傷があるかどうかで判断つくので何とかわかるようになっている。

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kossy
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