「ヘンリーがマフィアに入り犯罪を重ねてこの映画が出るきっかけに至るまで」グッドフェローズ 葵須さんの映画レビュー(感想・評価)
ヘンリーがマフィアに入り犯罪を重ねてこの映画が出るきっかけに至るまで
2時間25分と映画は長い。結論として悪くは無かったが途中でだれるところも多く、途中で止めて翌日、その翌日に途中から再開して見るという感じだった。だれた理由は長いのもあるが、主人公ヘンリーヒルはマフィアの一人といえども凡人的な所があって感情移入できる素地をもってはいるが自業自得な事をする姿を見せるだけで視聴者が心をポジティブに動かされるようなスタンスや意志が無いからだと思う(しかしそれはこの作品がドキュメンタリーという形式上どうしようもないことだ)
マーチン・スコセッシ監督(タクシードライバー、ディパーテッドの人)とマフィア物ということに引かれて視聴することにした。ディパーテッドを見た時のバイオレンスの鮮烈な印象がこの作品においても他所で見られた。そういうのが苦手な人は見ないほうが良い。
登場キャラで強く印象に残ったのは、グッドフェローズのボスポーリーと、イタリア人サイコパス、トミーだ。最後にポーリーもしょっぴかれてしまったのは気の毒に思えた(ポーリーはヘンリーの父親的な存在だったため、恩を仇で返すことになった所と、ポーリーは薬の売買はやってなかった所、人殺しにかかわることは少なくとも作中ではなかったことから悪い人には見えなかった)。トミーについては最初に酒の席でチンピラ感(癇癪持ちのプライド高い男で少し機嫌を悪くしたら何をするか分からない)が出ていたが、その後の彼を見ていて、最後に彼がああなったのはやっとか、もう少し早くいけよと思えるくらいだった。
彼らの印象に対して(ポーリーはあまり露出がなかったため、彼が居ることによる主人公への感情移入を伴った劇中を通した安心感という印象だけではある)、他はあまり印象に残らなかった。ジミーは最後は主人公に対して危険な存在になっていったが、トミーと違って常識的な範囲で自分を守るための策謀だったので地味だったし、主人公は薬におぼれてからは、妻との不和を見させられても感じていた彼への自業自得感が増していったので、この作品を楽しむための主人公への視聴者の感情移入は元々無理だから面白くなくてもドキュメンタリーだからしょうがないのだろうと思った。それでも悪くはないと思った理由は、ヘンリー周りの破天荒な人たちの行末を最後まで見届けたいという思いがあったからだと思う。
最後にもう一つ。41分くらいの所でヘンリーと奥さんの結婚式があり、その場面でヘンリーが白い布に包まれたワイングラスを右足で踏み、神父に「マザエルトフ(Mazel Tov)(おめでとう)と言う場面があり、知らない文化だったので珍しく印象に残った。調べるとどうやら奥さんがユダヤ系であるため、こういうユダヤの伝統を持つ結婚式をあげたっぽい。ヘンリーもこの時白いキッパという帽子をかぶっている。