「映画の技巧としての巧みさに感嘆と感動をさせられますが、大衆が求めるカタルシスは与えてはくれません」グッドフェローズ あき240さんの映画レビュー(感想・評価)
映画の技巧としての巧みさに感嘆と感動をさせられますが、大衆が求めるカタルシスは与えてはくれません
ゴッドファーザーがマフィアのオペラなら、本作は実録もの
原題のGoodfellasは舎弟くらいの意味だそうです
1955年から原作の現代である1980年代までのニューヨークのマフィアを主流にはなれないアイルランド系の主人公の目を通して描いています
同時に当時の時代性を反映したヒット曲とリンクした米国の裏社会史となっています
それなりに山場はありますが、大きな起伏のある物語でもなく、ただただダラダラと主人公が不良少年からチンピラ構成員となり、やがてひとかどの組員となっていく、それだけのお話です
しかし145分とかなり長いのですが、それ程長さを感じさせません
構成、テンポ、演出の力が全編に満ちていて、監督の意識が一瞬たりとも弛緩せず張り詰めています
それがこの長い映画を私達観客もラストシーンまで、このダラダラした物語を飽きずに観続けさせてくれるのです
そこがスコセッシ監督の凄さです
腕というか実力を心底感じさせます
トミー役のジョー・ペシの怪演は物凄いもので、印象に特に残ります
アカデミー助演男優賞の受賞も当然です
あの1931年の名作「犯罪王リコ」のエドワード・G・ロビンソンが現代に蘇ったかのようです
主人公の目を通した、トミーの物語として観るとマフィアの盛衰という一つの大きな物語となっているのは見事だと思います
ただ、そうした映画の技巧としての巧みさに感嘆と感動をさせられますが、大衆が求めるカタルシスは与えてはくれません
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