悪童

劇場公開日:

解説

「女犯破戒」の下飯坂菊馬、「あばずれ」の渡辺祐介が共同でシナリオを執筆、渡辺祐介が監督した青春もの。撮影は「花と竜 洞海湾の決闘」の古谷伸。

1966年製作/88分/日本
配給:東映
劇場公開日:1966年6月12日

ストーリー

榊省吾は十八歳の予備校学生である。京都の榊医院の院長英輔の長男で何不自由のない生活を送っているが、院長の後継として医者になるため、一流大学に入らなければならない宿命を負っていた。しかし彼はこの無味乾燥の生活を素直に肯定し、猛勉強する決意を持っていた。そのような強い決意にも拘らず、突如として勉学に没頭できない瞬間が襲ってきて、省吾はえたいの知れぬ不安と自己嫌悪にさいなまれた。河西睦子という女性が彼の心に迫ってくるのは、きまってこういう時であった。--省吾が高校生の頃、謎の微笑をたたえた睦子が、偶然にしてはあまりに正確にたびたび彼の前に現れた。ある日、省吾は意を決して睦子に話しかけたが、彼女は不思議な微笑で答えるだけだった。--そして二度目、今度は睦子が省吾を誘い、二人は石山寺から宇治へと清らかな空気の中を散策した。その夜、省吾は童貞を失った。当然のこと省吾は、その柔らかく美しい、そして魔性の情熱を秘めた彼女の肉体の虜になった。しかし何故か二度目からの約束には、睦子は現れなかった。省吾は、悲しみを忘れようと努力するが、努力すればする程かえって、睦子のィメージは狂おしく省吾の心をせめたてた。そんな省吾を見て友人の弓削が睦子を探し出してくれた。睦子のアパートで再び彼女の肉体に酔う省吾は有頂点だったが、時々睦子にかかってくる男の電話に純粋な気持を傷つけられた。ある日、その電話に我慢しきれなくなった省吾は睦子を尾行した。睦子が一人で入っていったホテルから、彼女と並んででてくる男。男は父英輔だった。夜の街で浴びる種酒を飲んだ省吾は、ガール・フレンドかおるをかばって、不良少年と大喧嘩し傷つけてしまった。父の力で省吾は釈放されたが、迎える父の手をふりきり一人になった省吾は、その一歩一歩に青春の苦い思い出を捨て去るようにあるいた。省吾は、この時から始めてたくましい男になったのだった。

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