二つの世界の男

劇場公開日:

解説

「落ちた偶像」「文化果つるところ」のキャロル・リードが一九五三年に製作・監督に当った作品で、戦後のベルリンを舞台にしたスリラー・ドラマ。ワルター・エバートの原作を「検察官閣下」のハリー・カーニッツが脚色し、撮影は「暁の出航」のデスモンド・ディキンソン、作曲はジョン・アディソン、指揮はミューア・マシーソン(「邪魔者は殺せ」)の担当。主演は「ジュリアス・シーザー」のジェームズ・メイソン、「ライムライト」のクレア・ブルーム、「罪ある女」のヒルデガード・ネフ(ヒルデガルド・クネフ)で、ジェフリー・トゥーン、英国映画初出演の独逸俳優アリベルト・ヴェッシャーとエルンスト・シュレーダー、この作品のために発見された子役ディーター・クラウゼらが助演する。

1953年製作/100分/イギリス
原題または英題:The Man Between
配給:東和
劇場公開日:1954年1月

ストーリー

スザンヌ・マリスンは短い休暇を利用してベルリンにいる兄を訪れた。兄はベルリン駐在の英国軍医で、ベッティーナ(ヒルデガード・ネフ)というドイツ女性と結婚していた。スザンヌは到着早々、ベッティーナをとりまいている緊迫した雰囲気に気づき、更にベッテイーナが、いつも自転車に乗っている一人の少年ホルストに監視されていることも知った。ベッティーナはスザンヌを東ベルリンの見物に連れて行き、そこで二人はイーヴォ・カーン(ジェームズ・メイソン)という男に出会った。イーヴォはベッティーナの前の夫であった。スザンヌはすぐにイーヴォと親友になり、一夜、二人は晩餐をともにしたが、そのときスザンヌはハレンダーという東ベルリンの暗黒街のボスに紹介された。彼はイーヴォと一緒に何か秘密活動をしている様子であった。スザンヌがイーヴォとアイス・スケートに行ったとき、そこにまたもハレンダーが現われた。彼はイーヴォに、東ベルリンから西ベルリンへ流れる避難民を援助しているオラフ・ケストナーなる男を引渡せといい、もし出来なければイーヴォの反西欧地区活動に関する報告書を当局に堤出すると脅迫した。イーヴォは、ケストナーをハレンダーの手から譲るため彼をベッティーナの家にかくまってもらうようスザンヌに頼んだ。だがベッティーナはこれを怪しみ、強く反対した。そして夫のマーティンに、彼女がかつてイーヴォの妻であり、ケストナーを捕える手助けをするよう脅迫されていると告げた。マーティンとベッティーナは西ベルリン警察にすべてを語り、スザンヌに電話でイーヴォを警官の待つベッティーナの家に招かせた。だがイーヴォはホルスト少年からの報らせで罠であることを知り、姿を現わさなかった。スザンヌはイーヴォに深く失望し英国へ帰る旅券を貰いに外出した。その途中、彼女はベッティーナと間違えられてハレンダーの一味に誘拐され、東ベルリン地区のガレージに幽閉された。イーヴォは彼女に助力を求めたが、スザンヌはもはや彼を信じなかった。ハレンダーは彼女にケストナーを東ベルリンに呼び寄せる手紙を書くことを条件に、釈放すると云った。イーヴォは、スザンヌにハレンダーの云うことに従うよう告げ、一方でホルストをケストナーに警告しに走らせた。そしてイーヴォとスザンヌはハレンダーの許から逃走した。二人は必死になって西ベルリンへの逃げ道を探した。追手をくらますため二人は、一夜、街の女の好意で彼女の部屋にかくまってもらった。そこで二人はお互いに深く愛し合っていることを知り、イーヴォはスザンヌと共に一途に逃れたいと思うようになった。翌朝、二人は東ベルリンまで助けに来たケストナーの運転する洗濯物運搬車に身をひそめ、境界線まで来たが、警官の疑いをうけ危地におちいった。イーヴォはスザンヌを救うためひとり自動車から飛び出し、警官と格闘した。その間に、スザンヌを乗せた車は無事西ベルリンへ走り去り、それを追ったイーヴォは、警官の銃弾にたおれた。

全文を読む(ネタバレを含む場合あり)

スタッフ・キャスト

全てのスタッフ・キャストを見る

映画レビュー

4.0ベルリンの記録

2022年3月31日
PCから投稿

終戦直後、荒廃、且つ壁建設前のベルリンの記録としても貴重です。
第三に比べれば映像美、詩情で劣りますが随所にリード色が感じられます。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
越後屋

4.0壁のできる前の風景

2021年8月29日
Androidアプリから投稿

1953年の英映画で
大戦終結(1945)から壁が出来てしまう(1961)迄の間の
ベルリン国境近辺での不安定で不思議な状況を描いている

2021年の現在観賞すると
展開も伏線も読めてしまうが それなりに面白かった
(コピーみたいなものも あったかな)

妖艶なヒルデガルト・クネフと
清純派のクレア・ブルームが共演していて
清純派の方が怖いもの知らずなのだが
新しい世代を感じさせ
過去から逃れられない混迷する男が
そこに突破口と愛情を見出だすのを理解

沢山の交錯する思いが 東西の国境にあったのだろうな、と思わされた

この地域を縦横無尽に走る自転車の少年が
戦争の傷跡を案内しているようで印象的

コメントする (0件)
共感した! 0件)
jarinkochie