ガンヒルの決斗のレビュー・感想・評価
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【親友の息子でも犯した罪をキッチリ法で償わせるために単身親友が仕切る町ガンヒルに乗り込む保安官の姿を描いた作品。苦悩に満ちたカーク・ダグラスとアンソニー・クインの演技に魅入られる作品でもある。】
■オクラホマ州の町ポーニー。
テキサスからやってきた若者・リックとリーは、酒の勢いである先住民の女を殺してしまう。その女は保安官マット・モーガン(カーク・ダグラス)の妻だった。
リックの父親が大親友で且つて命を救ってくれたクレイグ(アンソニー・クイン)であることを知ったマットだが、クレイグが仕切るガンヒルに単身乗り込み、彼のもとに訪れリックの逮捕を宣告する。
◆感想
・カーク・ダグラス演じる保安官マット・モーガンの妻を殺されながらも、その犯人であるリックに対し、あくまで法の裁きを受けさせようとする姿が印象的である。
彼は、私怨で報復するのではないのである。
・マットが、クレイグのバカ息子リックを捕らえベッドに手錠で繋いだ状態で、リックに対し、絞首刑になる様を語る姿は凄みがある。
”お前が泣き叫んでも、縄はお前の首に食い込む。”
マットは愛する妻を無残に殺された想いを言葉で、返すのである。
・町中が見守る中、マットはリックの首にクレイグの愛人だったリンダが届けてくれた散弾銃を付きつけながら馬に乗り列車に乗ろうとするシーンは、緊迫感が溢れる。
そこに、現れたもう一人の犯人リーがマットに発砲するも、その弾はリックに当たりリーはマットに撃ち殺される。
<ラストシーンも印象的である。親友であったマットとクレイグとの早撃ちでの勝負。そして、斃れたクレイグはマットに虫の息で”息子の名は。”と聞き”キチンと育てろよ。”と言い、息絶えるのである。
アンソニー・クイン演じるクレイグの、息子をキチンとした男に育てられなかった後悔が、その言葉からは沁み出ているし、親友に対しての詫びの言葉でもあったのである。
今作は、如何に親友の息子であろうとも、罪を犯した者には法の裁きを受けさせようとする私怨を越えた振る舞いを孤軍奮闘で見せる保安官を演じたカーク・ダグラスの演技に魅入られる作品なのである。>
なかなか面白かった。西部劇苦手な私でも大いに楽しめた。 妻を殺され...
ガンヒルの決斗とウクライナの戦争のアナロジー恐ろしいばかりです
数ある西部劇の中でも屈指の面白さ!
シンプルでカタルシスがあり、そして虚しさと悲しみで終わる最高の名作!
カメラも演出も役者もいい!
これでマカロニウエスタンのようなキャッチーなフレーズの主題歌があったならナンバーワンの西部劇の座についておかしくない
というか、マカロニウエスタンのお手本になっている作品と思います
監督、ジョン・スタージェス
主演、カーク・ダグラス
撮影、チャールズ・ラング
編集、ウォーレン・ロウ
音楽、ディミトリ・ティオムキン
つまりあの名作「OK牧場の決斗」と同じ布陣です
有名度合いでは「OK牧場の決斗」の方が遥かに上ですが、映画としての面白さや出来の良さは、本作の方がずっと優れています
「OK 牧場の決斗」 1957年
「ゴーストタウンの決斗」1958年
「ガンヒルの決斗」1959年(本作)
俗に、ジョン・スタージェス決斗三部作といわれます
この三作の中でも一番の出来で決定版といって良いでしょう
この本作の成功が翌1960年の西部劇の金字塔「荒野の七人」に繋がっていくわけです
今日は2022年3月3日です
ロシアのウクライナ侵略開始から1週間経ちました
あっという間にウクライナの首都キエフは陥落してしまうだろうと当初いわれていたようなことはなく、ウクライナは文字通り孤軍奮闘してロシアの侵略と戦っています
しかし多勢に無勢、徐々に押されつつあるようです
ロシアは思わぬ苦戦に、核の使用まで口にしました
しかし、アメリカも欧州各国も自軍が介入するとロシアとの第三次世界大戦になってしまうと、どこの国も助けてはくれないのです
あくまで武器の提供や、経済制裁だけなのです
このままでウクライナは持ちこたえることができるのでしょうか?
まるで本作のお話のようです
本作のストーリーのアナロジーが現実の戦争で行われているように思えてなりません
ガンヒルの街の人々は、みな牧場主の力を恐れて誰一人主人公のとなり街の保安官マットを助けてはくれないのです
妻を殺した卑劣な犯人の居場所も教えてくれず
拳銃では対抗できないから、ショットガンを求めても無理だと断られるのです
ある女性だけが見かねて、コッソリとショットガンを渡してくれるだけなのです
しかし主人公はたった一人で、牧場主の大勢の手下どもに立ち向かい
犯人を確保して、最終的に勝利するのです
原題は「ガンヒルからの最終列車」
主人公には、それまでにすべてのことを終わらせないとならない時間的制約が課されています
それも街の誰も助けてくれない状況の中で
そう、1952年のフレッド・ジンネマン監督の西部劇の金字塔「真昼の決闘」と似た物語なのです
しかしこれを上手く消化して全く独自のものになっています
遠くで汽笛が聞こえて最終列車が近づいてくる焦燥感
孤立無縁の中、一人戦い抜くドキドキ感
停車した最終列車の脇での因縁の相手との最終対決の決闘
最高の西部劇です!
そこに名優アンソニー・クインの重量感が加わります
また、ただ一人主人公を陰ながら助けてくれるリンダ役のキャロリン・ジョーンズの美しさ
彼女の大きなエメラルドのような緑色の瞳がいつまでも心に残ります
その愛人の牧場主ベルデンの指には大きなエメラルドの指輪が光っていました
主人公は最終列車で去って行きエンドマークとなります
しかし復讐は遂げられたものの、殺された妻は戻らないのです
犯人こそ、二人とも死んだのですが法の下で裁いた訳でもないのです
そして旧友であり命の恩人でもあった人物を自ら倒さざるを得なかったのです
ウクライナも、例えロシア軍を撃退して停戦となったとしても国土は戦火に焼かれ、国民は大勢が死傷し、何十万もの人々が国外に着の身着のまま逃げざるを得なかったのです
虚しさと悲しみが広がるのみなのです
戦争の悲惨さそのものです
ガンヒルの決斗とウクライナの戦争のアナロジー
恐ろしいばかりです
とてもよかった
主人公の保安官は奥さんを殺されたのだが、殺した相手が恩人の息子で、どっちも引くに引けない。息子を一人で逮捕したのだけど、汽車が出発するまでの6時間、ホテルに籠城する。息子の父親は町を完全に牛耳っていて保安官すら味方してくれない。駅に運ぶのも一人、ショットガンを息子のあごに突き立てて、二人とも立ったまま馬車で進むのだけど、ちょっと体勢に無理がある。息子が空いてる片手でショットガンの銃身をつかめばずらすことができそうだ。
その後、もう一人の犯人が保安官を撃とうとすると息子に当たって息子は死に、息子の父親とタイマン勝負をする。目まぐるしく展開して興奮した。
良かった!
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