劇場公開日 1958年1月28日

「潜水艦映画」眼下の敵 kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0潜水艦映画

2019年5月1日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

単純

興奮

 米軍艦長はUボートに対する復讐心だけで任務に就く民間出身者。一方の独軍艦長はUボートの生活と無意味な戦争に疲れ、早く終戦を願う。作戦面においてもお互いの行動に疑心暗鬼になる両者。「敵の艦長は素人ではないな・・・」って、そこまで読めるんですか。確かに両者の研ぎ澄まされた感性がぶつかり合う心理作戦の描写は見事なものです。駆逐艦の直ぐ下を潜水艦が通り過ぎるシーンは静かに進行するものの、緊張感溢れるところでした。また、後半には機雷が尽きるか、潜航を続けるタイムリミットが来るかと粘りの勝負と、丁寧な作り方にハラハラドキドキでした。これほどまでに、どちらも応援したくなる戦争映画も珍しいです。

 しかし難点もありますね。敵と味方の切り替えが激しいので、時折「あれっ、どっちだっけ?」と悩んでしまうところだ。ドイツ側のクルト・ユルゲンスも英語だし、ロバート・ミッチャムの英語がぶっきらぼうなので、ドイツ語っぽく聞こえるからだ。あと、これほどまでに風変わりな作戦に部下たちがすんなり動くのか?といったところか・・・

 戦意高揚映画でもなく、反戦映画とも取れないこの作品だが、「総統もお喜びになります」という部下の言葉にムッとするユルゲンスからもわかるように、反ナチ映画と言えるのだろう。

kossy