流転(1960)

劇場公開日:

解説

朝日放送テレビの連続ドラマの映画化。石浜恒夫の原作を、原作者自身と岸生朗が脚色し、「新・二等兵物語 敵中横断の巻」のコンビ福田晴一が監督し、片岡清が撮影した。

1960年製作/88分/日本
配給:松竹
劇場公開日:1960年6月10日

ストーリー

明治三十年、春。野中武次は尋常高等科を優等で卒業した。が、家が貧しく、丁稚奉公に行かねばならなかった。兵庫の石灰問屋に奉公した。一年が経った。武次は、同じ丁稚の梅吉とともに、東京出奔を決心した。女中のお米は彼の成功をひそかに祈った。開港四十周年の行事にわきかえる横浜。武次と梅吉は、海外雄飛を夢みる山田順定という青年と知り合った。彼の世話で南京町の明珍楼に雇われた。が、梅吉の失敗でたちまちクビになった。梅吉は順定が働く理髪店に雇われることになり、武次は一人東京へ向うことに決めた。だが、武次は財布をスラれた。仕方なく、梅吉の許へ戻った。できることなら故郷に近い大阪で働いてほしいと、病床の母から便りがあった。武次は東京行をあきらめて、大阪へ向けて発った。その頃、お米がたずねてき、梅吉から事情を聞いて駅へ駈けつけた。が、一瞬遅く、武次をのせた汽車はホームを出ていた。大阪へ出た武次は、やくざ肌の木渡しの新助と知り合った。彼は武次を石炭問屋に紹介した。が、この店も全くの不景気だった。風呂屋のサギにかかったのだ。武次はその松鶴湯に乗りこみ、命をはっての談判をした。遂に親分もカブトを脱いで代金の一部二十五円を武次の前に投げ出した。新助が武次の背中を叩いて喜んだ。粉雪が舞い始めた路を、武次は歓声を上げながら突切って行った。

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