「ならず者たちから一瞬も目が離せない」俺たちに明日はない 清藤秀人さんの映画レビュー(感想・評価)
ならず者たちから一瞬も目が離せない
ワーナー映画の歴史を辿るレビュー・その1
それまでハリウッド映画に登場したならず者たちにも、一ミリの魂があるのだと言い放ったこと。セックスと暴力についてリミットを外した描写が散見されること。そんな風にあらゆるタブーを破った"アメリカン・ニューシネマ"の原点に位置する映画は、全編、殺伐としているものの人間味に溢れ、登場人物に対して深い共感を呼ぶ。
銀行強盗しか生きる術のない主人公のクライドと、そんなクライドと運命を共にするボニーのまるで輝かない怠惰な日常に、大恐慌時代を生きる若者たちの悲劇が映し出され、観ている側も彼らと運命を共にすることになるのだ。たとえそれが、儚い運命だと知っていても。
ラストに用意された銃撃シーンは今なお鮮烈で、公開時に観た子供の自分には刺激が強すぎて受験勉強が手につかなかったことを思い出す。そんな繊細な感性も懐かしいワーナー映画史上に輝く1作だ。
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