エスピオナージ

劇場公開日:

解説

“エスピオナージ”とよばれる各国諜報機関に暗躍する男たちを主人公とする政治スリラー。製作・監督はアンリ・ヴェルヌイユ、脚本はヴェルヌイユとジル・ペロー、原作はピエール・ノールの同名小説。撮影はクロード・ルノワール、音楽はエンニオ・モリコーネが各々担当。出演はユル・ブリンナー、ヘンリー・フォンダ、ダーク・ボガード、フィリップ・ノワレ、ミシェル・ブーケ、ヴィルナ・リージ、マリー・デュボア、エルガ・アンデルセン、ファリー・グレンジャーなど。

1973年製作/フランス
原題または英題:Le Serpent
配給:日本ヘラルド映画
劇場公開日:1974年3月16日

ストーリー

ソ連大使館付武官アレクセイ・フラゾフ大佐(Y・ブリンナー)は、モスクワに召喚されてパリのオルリー空港を旅立とうとした直前に、フランス空港警察に駈け込み、西側に亡命したいからと保護を求めた。フラゾフを尾行していたソ連代表は、直ちにフラゾフの身柄引渡しを要求したが、フランス側は、本人が政治亡命を決意した以上、応ずるわけにはいかないとつっぱね、SCE(仏対敵情報部)に指示を仰いだ。SCEの部長ルシアン・ベルトン(P・ノワレ)は外務大臣の命令でフラゾフをアメリカ側に引渡した。数日後、アメリカ軍人に護送されたフラゾフは、CIAの取調べに対し、ソ連側に働く西側諸国の“裏切者”のリストを持っていることを明らかにした。さらに、この取調べに立ち合ったCIA局長のアレン・ディビス(H・フォンダ)とイギリスの駐米秘密情報連絡員フィリップ・ボイル(D・ボガード)に対しては、西側に避難した理由としてコミュニストの理想は夢にすぎず、独裁的な支配に反対だからと述べたが、ウソ発見機はこれに激しく反応した。そのときボイルは、フラゾフとトルコの国境の近くで逢ったときの写真を見せ、彼がソ連の現体制に失望していた事実を立証した。ともかく、CIAはフラゾフに六ヵ月間の隔離生活を送らせ、その間、彼が握っているNATO諸国のトップレベルで働くソ連側スパイを聞き出すことにした。十月十五日、ディビスはボンを訪れて、BND(連邦情報局)のレプチナ長官に会見を申し入れ、西独内のソ連側スパイである、NATO司令部幕僚のフォン・シュトライリッツ将軍と情報部のホルンスト・フェルゼンをどう処置するかを協議した。しかし、その間、二人は何者かによって殺された。西独政府は、飛行機事故によるものとして合同葬儀を行ったが、それに立ち合ったボイルはなぜか、フェルゼンの他殺の真相をSCEのベルトンに打ち明けた。その日の午後、ドベクール局長に呼び出されたベルトンは、売国奴として自分が疑われていることを告げられ愕然とする。早速彼はボイルと会い、自分を窮地に陥れた張本人としてボイルを責めたが、ボイルは、コミュニストとしての信条からソ連側に働いていた事実を認め、ベルトンにもソ連行きを薦めた。しかしベルトンは拒否した。別れようとするベルトンの車に、ボイルが銃弾を浴びせたため、車は炎上した。一方、CIAでの六ヵ月の隔離生活を送ったフラゾフに、ディビスCIA局長は、ボイルとトルコで撮ったフラゾフの写真はソ連領内で撮られたこと、ウソ発見機で調べたフラゾフの証言は、巧みに二つの質問を一つの答えに代えたものであることを立証し、ボイルもフラゾフも共に西側の諜報組織を破壊してNATOを解体させるために潜入したソ連のスパイであることをつきとめた、と告げた。身の危険を感じたボイルはいち早くソ連に逃亡した。そして今、ソ連の大物スパイ、フラゾフと、ソ連領内で撃墜されて捕えられていた米U12機のパイロットの交換が東西ドイツ国境の橋の上で行なわれようとしていた。

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