運動靴と赤い金魚

ALLTIME BEST

劇場公開日:

解説

妹の靴をなくしてしまった少年の奮闘を生き生きと描き、イラン映画として初めてアカデミー外国語映画賞にノミネートされた作品。貧しい暮らしを送る9歳の少年アリは、修理してもらったばかりの妹の靴をなくしてしまう。親にも言い出せず、自分の靴を妹と交代で履くことに。まずは妹が靴を履いて登校し、下校途中に交代してアリが急いで登校するのだが、遅刻してばかりでなかなか上手くいかない。そんなある日、小学生のマラソン大会の3位の賞品が運動靴だと知ったアリは、妹のために3位を目指し必死で走るが……。1997年・第21回モントリオール世界映画祭でグランプリなど4部門を受賞した。

1997年製作/88分/イラン
原題または英題:Bacheha-Ye Asen
配給:アスミック・エース
劇場公開日:1999年7月24日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第71回 アカデミー賞(1999年)

ノミネート

外国語映画賞  
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映画レビュー

4.0泣き虫にいちゃん

2024年5月30日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
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ぷにゃぷにゃ

5.0イラン映画

2024年5月23日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

泣ける

悲しい

楽しい

主人公は小学生で、妹の運動靴を靴屋に修理してもらうが、帰るときに無くしてしまう。
父親にバレるのが怖いので、自分の運動靴を妹と交替で履くことにする。
学校対抗のマラソン大会で、三等賞が運動靴と知り・・・。
貧しい一家で、貧富の差も大きいが、この兄妹のいじらしさに泣けてくる。
赤い金魚は大きな余韻を残してくれた。

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いやよセブン

5.0自分の目線も変化した25年

2024年2月7日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

amazon primeの「90分以下の映画」を眺めていたら、目に止まったタイトル。
そういえば、昔見たなぁ…。走ってるシーンが記憶にあるけど、どんな話だっけ…。
そう思って見始めたたら、少しずつ記憶も蘇ってきた。
25年前、ちょうど息子はアリと同じ3年生。
なんか、自分はアリの姿を息子と重ねて観ていたような気がする。
そんな息子も、今や2児の父。
今の自分は、アリとザーラの兄妹を、自然と4歳と2歳の孫たちに重ねて観ていた。25年経つと、目線も変化するのだなぁ…。

じいじ目線だと、もう、アリもザーラも健気でたまらない。表情を観てるだけで泣けてくる。
互いに少し不満はぶつけ合うが、行動からは、心の底から相手を思いやり、もともとの気持ちも真っ直ぐなことが伝わってくる。
そうした主人公たちの人柄は、気弱だが誠実な父親と、思いやりある母親から受け継がれているのだろうということが、さりげないエピソードの積み重ねで表現されているのも心地よい。

なんか、記憶の中では、この映画が描いているのは少し前の時代といった印象があった。だが、今回改めて観てみると、街の表現の中には、携帯電話の看板なんかも登場しているので、古さの印象は、街と周辺部の格差からきていたことも確認できたのは発見だった。

それにしても、幸せって物質的な豊かさとイコールではないなということを改めて感じたのも、この25年の自分の目線の変化なのだろうか。
何はなくても、アリとザーラのシャボン玉遊びは、それ自体でもうこれ以上なく豊かだと思った。

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sow_miya

5.0絶望的な現実があるからこそ

2023年12月23日
スマートフォンから投稿

兄妹が靴をシェアするというだけの話。
実際のところ、ほぼそれだけ。

日本でこんな作品を撮ったらすぐ馬鹿にされて終わりだろう。しかしこれが、イランの絶望的に貧しい貧民街の路地で撮られた途端、極上の人間ドラマとサスペンス、爽やかな感動を生むのだから面白い。

この映画に描かれる人々はみんな、貧しいけれど善良で、温かみがあり、敬虔でもある。悪人は一切出てこない。
もちろん、現実にそんな清貧は滅多にあるものではないし、その意味ではリアリティのない世界なんだけれども、これが現地の子供向け映画として作られたことを考えれば、その高貴さは堂々たる魅力になる。

有り体に言えば、現実のイランで生きていくということがいかに残酷で、絶望的なことであるかを誰もが知っているからこそ、せめて子どもたちには清貧を説きたいと願っている。
それが大人の責任であり、良心でもあるということが、優しい味わいの画面から終始伝わってくる。

とはいえ、そんなメッセージ性はほとんど主張せず、ほんの隠し味程度であり、映画の大部分は素朴で胸のキュッとする兄妹のドラマが、ごく丁寧に描かれる。脚本の味わい深さ、豊潤さは絶品というほかなく、この手の作品を一生のうちに見られるというのは、まったく幸運としかいえない。

この作品を12年前に教えてくれた、脚本家の師匠には今も感謝するばかり。

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klopstock