ヴィゴ

劇場公開日:

解説

伝説的な映画監督ジャン・ヴィゴ(1905~34)と彼を支えた女性の秘められた愛を描いたラヴ・ストーリー。監督はMTVの演出家として鳴らす「ビギナーズ」「ハード・ブレット 復讐の銃弾」のジュリアン・テンプル。製作はテンプルとは「アリア」で組んだアマンダ・テンプルと「イベント・ホライズン」のジェレミー・ボルト。製作総指揮は総合プロデューサーとして活躍するキキ三宅。原作はクリス・ウォードの戯曲。脚本はテンプル、ピーター・エッテッドグイ、アン・デヴリンの共同。撮影は「ツイン・タウン」のジョン・マシソン。音楽は『心の秘密』(映画祭上映のみ)のビンヘン・メンディサバルで、主題歌はアルチュール・H(アッシュ)&アレクサンドラ・ミハルコヴァ。美術はスパイス・ガールスなどのミュージック・ビデオを手掛けるカロリーン・グレヴィル=モリス。編集は「愛を弾く女」のマリー=テレーズ・ボワシェ。衣裳はロジャー・バートン。出演は「永遠の夢 ネス湖伝説」のジェームズ・フレイン、「恋人たちのポートレート」のロマーヌ・ボーランジェほか。

1997年製作/114分/イギリス・フランス合作
原題:Catching Fire
配給:アミューズ
劇場公開日:1998年8月1日

ストーリー

映画製作を夢見る青年ジャン・ヴィゴ(ジェームズ・フレイン)は、結核を患って療養中、サナトリウムで同じ病を持つ女性リデュ(ロマーヌ・ボーランジェ)と出会い、恋に落ちる。彼女の愛に支えられ、「ニースについて」「新学期 操行ゼロ」と念願の映画製作に取り組むヴィゴだが、アナーキストの父を持つゆえに、作品はすべて酷評され、貧困な生活が続く。心身共に病むヴィゴだが、そんな彼に恋愛映画「アタラント号」の企画が舞い込む。ヴィゴはリデュの支えで映画を完成させるが、配給者によって直しを余儀なくされた。精魂尽きたヴィゴは、リデュに見守られて息を引き取るのだった。

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映画レビュー

3.5夭逝のジャン・ヴィゴ監督をオマージュした映画愛溢れる伝記映画の佳作

2020年11月27日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

「新学期操行ゼロ」「アトランタ号」を遺し29歳で早世したフランスの映画監督ジャン・ヴィゴの半生を描いた実録人生ドラマ。導入部のシークエンスでサナトリウムの描写があり、とても興味深かった。トーマス・マンの「魔の山」を想起させたためであるが、背景のアルプスといい、病院内のデザインが20世紀初頭の雰囲気をよく出していいて、出来れば「魔の山」の映画作品を鑑賞したい欲求に駆られてしまった。
映画は、ヴィゴの父親に対する愛情と理解が彼の作家的背景を反映させているところを丁寧に描いている。ただ、何度も繰り返しカットバックされる父の逮捕シーンが諄いと言えば諄い。ヴィゴの反体制の根源が、その出来事に起因する説得力はあるのだが、表現過多になっている。ジュリアン・テンプル監督の描きたかった主題は、ポーランド出身の妻とヴィゴの夫婦愛と、彼の命を懸けた映画愛の2点。1930年代前期の手回しカメラによる撮影シーンや製作費捻出に苦労するエピソード、そのプロデューサーとの商談風景にテンプル監督の映画愛とヴィゴに対するオマージュが心地良く感じられる。同じ肺炎に罹っている男女の率直な愛欲も嫌らしさがなく美しく描かれている。伝記映画としては、とても好感の持てる作品に仕上がっている。

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Gustav
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