「ジョーンズ親子より愛をこめて」インディ・ジョーンズ 最後の聖戦 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
ジョーンズ親子より愛をこめて
最新作前に、シリーズ再見。
1989年の3作目。
今回インディが探すのは、永遠の命をもたらすイエス・キリストの“聖杯”。
それをナチスが狙う。
キリスト絡みの秘宝で、敵はナチス。1作目を彷彿。
でも勿論、二番煎じにはならない。
調査隊の隊長が行方不明に。聖杯を探し求める大富豪から、聖杯と隊長の探しを依頼される。
と言うのも、その隊長というのが…
1作目は元恋人。2作目は巻き込まれ歌姫と頼れる相棒少年。
今回の旅のパートナーは、パパ。
インディと同じく考古学者のヘンリー・ジョーンズ。
世界を股に駆ける息子と違って、パパは本の虫。でも聖杯には居ても立ってもいられず、調査隊隊長として赴いたが、行方不明に。
まずインディはパパを探す。
そのパパを演じるは、ショーン・コネリー!
もう本作は、それに尽きるだろう。
ハリソン・フォードとショーン・コネリーの豪華共演。
実際は12歳しか離れていないが、その絶妙なやり取り。パパとジュニアの親子漫才のよう。
真面目で行動派で熱血ヒーロー風のインディに対し、パパヘンリーはマイペースなおじいちゃん。
インディは救出に来たが、パパは敵と勘違いして花瓶で頭を叩く。息子の頭より割れた花瓶の方を心配。パパ…。
敵に捕まって椅子に縛られる。インディのポケットからライターを取り出し、ヘンリーがそれで縄を焼き切ろうとするが、熱くて落としてしまう。絨毯に引火。消そうと息を吹くも、火はさらに広がる。パパ…。
小型機に乗って脱出。敵機襲来。インディが操縦し、ヘンリーに機銃を任せる。「11時!(の方向に撃って!)」と言うも、「11時に何が起きるんだ…?」。パパ…。
応戦するも、間違って自分の乗る機を撃ってしまう。「撃たれたの!?」「ああ、撃たれた…」。パパ…。
はっきり言ってお荷物状態のパパ。
でも、やる時はやる。珍方法で敵機を撃退。その時のドヤ顔。
本当に二人のやり取りが楽しい。
お茶目で、ユーモラスで、コミカルなヘンリー役に、渋くてダンディーなショーン・コネリーを配したキャスティングの妙。
ヘンリー役に、ショーン・コネリーしか考えられなかったという。元々『007』を撮りたかったスピルバーグ。念願のキャスティング。
他にも本作は『007』を思わせる要素も。ヴェネチアでのボート・チェイスなんてまさにそう。ヒロイン、エルザ役のアリソン・ドゥーディは、ボンドガールのような美貌。それか、悪女か…?
彼女がナチス側と知っていたヘンリー。何故なら、「寝言で言っていた」。だって、007だもん。ちなみにこの台詞、コネリーのアドリブだとか。
ショーン・コネリーのキャスティングも含め、スピルバーグの『007』オマージュに溢れた作品でもある。
ビッグゲストはショーン・コネリーだけじゃない。
開幕の“インディ若き日の冒険”。
演じるは、リヴァー・フェニックス。
コミカルさと躍動と魅力で素晴らしい幕開けを担い、開幕だけの登場が惜しいくらい。
顎の傷やインディが蛇嫌いになった理由、初めての鞭捌きやトレードマークの帽子の秘密も明かされる。
ハリソンを中心に、若き日をフェニックス、パパをショーン・コネリーと、本当に何て豪華贅沢!
元々3部作構想。ラストを飾る大盤振る舞い!
前作がダークでグロやバイオレンスも多く一部不評を買っただけに、今回は原点回帰。
ライトな作風。スリルとアクション(一番の見せ場は中盤の戦車チェイス)とユーモアが小刻み良く。
今回マーカスも冒険に動向。でも彼は、自分の博物館で迷子になるくらい。
1作目のサラーも再登場。おっさん4人の珍道中も愉快。
個人的にもシリーズで1作目の次か同等くらい好き。
でも、ただハラハラドキドキエキサイティングで、愉快で楽しいだけじゃない。
クライマックス、遂に辿り着いた聖杯の在り方。(ロケ地のヨルダンのペトラ遺跡にあるエル・カズネはこれで有名になり、本当にこんな神聖な場所があるのかと思わせる。秘境地巡りも本シリーズの醍醐味)
ヘンリーが黒幕に撃たれる。尚この黒幕、序盤に登場した瞬間にすぐ分かる。
ヘンリーを助けるには、聖杯しかない。
が、聖杯に辿り着くまでに、3つの試練。そして、選択…。
ヘンリーの大事な手帳。インディはそれを頼りに。ジョーンズ親子の絆が試される…。
ある人物の愚かさによって神殿は崩壊。裂けた岩の間に落ちた聖杯。それに手を伸ばすインディ。そんなインディにヘンリーが掛けた息子の名…。
秘宝か、命か。
いや、秘宝以上に最後に見つけ得たものは…。
言わずもがな。
そして、最後にもう一つ明かされる。
インディは“ジュニア”と呼ばれるのが嫌い。“インディ・ジョーンズ”は自分で付けた名。
本名は…。
“インディ”の由来は…。
にしても、ここから次の冒険まで19年後(2008年)とは…!