イン&アウト

ゲイの兵士を演じてアカデミー賞の主演男優賞を得たキャメロン・ドレーク（マット・ディロン）は、その受賞スピーチで、恩師である高校教師ハワード・ブラケット（ケヴィン・クライン）の名前を挙げるとともに、「彼はゲイだ」と発言する。

このため、ハワードが住むインディアナ州の小さな町は、大騒ぎとなる。彼の婚約者で同僚のエミリー（ジョーン・キューザック）は、疑いの目を向ける。また、有名キャスターのピーター・マロイ（トム・セレック）が、ハワードにつきまとう。

この映画は、トム・ハンクスが1994年のアカデミー賞（ 『フィラデルフィア』で主演男優賞受賞）で、涙ながらに高校時代の演劇コーチ、ローリー・ファーンズワースと元同級生、ジョン・ギルカーソンについて、「2人は最も素晴らしいアメリカ人のゲイであり、私が関わることができて幸運だった2人の素晴らしい男性」と語ったスピーチからインスピレーションを受けている。

本作は、ハリウッドの大手メジャーがおそらく初めて手掛けた、コメディのゲイ映画で、批評家からは概ね好意的で、興行的にもそんなに悪くなかったのだが、観客も含めて、否定的な意見も散見された記憶がある。

確かに、ハワードの音楽の嗜好が、ヴィレッジ・ピープル『マッチョ・マン』、バーブラ・ストライサンド、ゲイ・アンセム『恋のサバイバル』だとか、ゲイを示す描写が、古めかしいステレオタイプで、定型的すぎる嫌いがある。

物語は、冒頭から小気味よく進み、テンポ良い演出で、退屈することなく見れるのだが、高校教師がゲイであることで巻き起こる、中西部の小さな町の騒動を、普通に楽しめるかどうかが本作の評価の分かれ道かも。

直接的な描写はほぼ皆無（ケヴィン・クラインとトム・セレックの12秒間のキスシーンは除く）で、全体的には安心して見れる、カラッとした明るいコメディ。

コメディ映画として、決して悪くない映画なのだが、その割には、結末の終わり方に、不満を示す観客も少なくなかったかも。

結婚式でカミングアウトして、密かに解雇を告げられた主人公が、卒業式で最優秀教師に選ばれず、町の騒動を知って帰郷したキャメロンが「ゲイが感染するせいか」と皆に問いかけ、生徒たちが次々と「僕もゲイだ」と名乗り出るシーンを、素直に受け取れるかどうかも、一つ分岐点だったかも。

また、帰郷したキャメロンが、結婚が破談したエミリー（本作のジョーン・キューザックは好演！）と付き合い始めることを示唆し、主人公の両親が結婚の誓いを更新する式を明るく派手に打ち上げる結末は、本作が取り上げた題材の割には、あまりにお気楽な最後だったといえなくもないかも。

と、ここまでいろいろな難点を取り上げたのだが、私個人はこれら賛否分かれるだろうなという所も含めて、普通にコメディ映画として楽しめたし、もっと触れられて良い映画だと思う。

アメリカのメジャーなゲイ映画って何故かみんな最初はストレート(と自分で思わなかっている)かバイで最後にゲイ一本になるってのが多いけど…

　教え子であるキャメロン・ドレーク（ディロン）という俳優。第68回アカデミー賞授賞式でインタビューを受ける。ウーピー・ゴールドバーグも出てるが、彼女は第63回の助演女優賞受賞だ。『フォーエバー・フレンズ』も没収されるというゲイの話。そのキャメロンが主演男優賞を取ってしまう。しかし、本物そっくりに作ってあるなぁ・・・　バーブラ・ストライザンドはゲイに人気があるというネタ。かなり引っ張ってますね。これが笑える。 　結婚式の宣誓でも自己暗示のせいか、意に反して「わたしはゲイ」とうっかり言ってしまう。周りで噂され、自分自身がそうじゃないかと思いこんでしまう状況をコミカルに描いていますが、現実では起こり得ないでしょう。 　勇気ある行動カミング・アウト。ゲイであることを否定して終わるんじゃなくて、噂や偏見が実につまらないことだということを教えてくれる。ただ、ラストはちょっとすっきりしないかも・・・

自覚のないゲイの男の話。出だしから面白いのだけれど、思い切りコメディの部分は予告編で全部出してしまってる。映画見てから見るとダイジェストかいなと思ってしまう。 トムハンクスのアカデミー賞授賞式のスピーチから着想した映画作品ということなのだがこの映画の中の授賞式スピーチは爆笑。 ぜんぜんいやらしさはなく明るいハートフルコメディ。LGBTテーマにした作品の中では浅く軽いのかもしれないが良作品。