田舎司祭の日記

劇場公開日:

解説

「バルタザールどこへ行く」「スリ」など数々の名作を生んだフランスのロベール・ブレッソン監督が、1951年に手がけた長編第3作。カトリック作家ジョルジュ・ベルナノスの同名小説を原作に、聖と俗の間で葛藤する若き司祭を静謐なタッチで描き出す。北フランスの寒村に赴任した若い司祭は、身体の不調を自覚しながらも、村人たちの悩みを聞き布教と善行に励む日々を送っていた。しかし、彼の純粋な信仰への思いは村人たちとの間に次第に溝を生じさせ、事態は思わぬ方向へと展開していく。キャストには素人を起用し、音楽やカメラの動きなども含めた“演出”を削ぎ落としていく手法で、ブレッソン独自のスタイル「シネマトグラフ」を確立した作品。日本では製作から70年にわたり劇場未公開だったが、2021年6月に4Kデジタルリマスター版で劇場初公開となった。

1951年製作/115分/フランス
原題または英題:Journal d'un cure de campagne
配給:コピアポア・フィルム
劇場公開日:2021年6月4日

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(C)1950 STUDIOCANAL

映画レビュー

3.5置いてけぼりは誰か

2024年10月28日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

都会(?)から来た若くて真面目なインテリ青年が、田舎の人たちに嫌われ、青年は一人苦悩する…というありがちっちゃあありがちな話。庶民の知恵 vs 体系的学問に裏付けられているとされる布教活動、ということなのだが、なんかこう、そもそも青年はなんで司祭になろうと思ったのかなとかそういう個人的ヒストリーが気になってしまった。映画内世界が、近代 vs 前近代、とはなっておらず、観客=近代以降 vs 映画内世界=前近代、となっちゃうからかなあ。

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ouosou

4.0「それがどうした?すべては神の思し召しだ」

2023年6月6日
iPhoneアプリから投稿

田舎に赴任してきたインテリ気質の若い司祭。彼は熱心な宗教活動に励むが、村の人々は彼のことをあまり快く思っていない。教会のミサにはほとんど誰もやってこないし、宗教問答の授業に来る子供たちはその狡猾な性格で青年を困らせる。なぜ人々は司祭を、そして神を信用しないのか。終盤、街を出ていく司祭をバイクで旅館まで送迎した青年がその理由を教えてくれた。「あなたは世間知らずだ」と。青年の知人にも司祭がおり、彼は戦争で死んだ。今際の際に彼が吐きつけたのは神を呪う言葉だったという。

神は存在するのか?そして信仰はいかにして可能なのか?この素朴だが重大な疑念は映画全体を通じて若い司祭を苦しめ続ける。赴任中、彼は宗教的不安に取り憑かれた中年女性に説教を聞かせ、半ば荒療治的に信仰を取り戻させる。しかしその直後、彼女は自殺してしまう。司祭は自分の説教によって他者の人生を大きく左右できてしまうことに戦慄すると同時に、ある種の快感を覚えている自分自身を発見する。あれだけ村の人々に「自我を捨てよ」と説教している自分自身が、誰よりも自我に執着しているという滑稽な矛盾。思えば「日記を残す」という彼のルーティンもまた自意識の確認作業だといえる。

宗教的不安は司祭の精神のみならず身体にも表れはじめる。慢性的に胃の悪い彼はパンとワインだけという質素な食生活を送っている(言わずもがなキリスト教のアレゴリーだ)が、これによってむしろ彼の病状は悪化していく。そして終盤、医師から告げられる胃癌の宣告。これほど信心深く宗教活動に励んでいた自分がなぜこのような目に遭わなければいけないのか。自分は本当に神に見捨てられてしまったのではないか。

心身共にやつれ果て、神学校の旧友のもとで最期の刻を迎える司祭。絶えざる宗教的不安の果てに彼は一つの結論へ辿り着く。彼はロザリオを胸に掲げながら呟いた。「それがどうした?すべては彼の思し召しだ」。

世俗と信仰の狭間で揺れ動き続けた彼は、死の目前でようやく神を発見する。ろくに信心も持たない私からすれば、彼の最後の言葉は美しいというよりむしろ気味が悪い。しかしそれがどうした?誰に嫌われようと世間知らずと言われようと、彼は自分の存在の一切合切を委ねることのできる対象を、神を発見したのだ。

世俗と信仰の断絶はもはや埋まらないという時代の気配を、その中間者である司祭の懊悩を通じて描いた秀作だったように思う。

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因果

3.0キモがわからない

2021年11月22日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

観るのは2度目ですが、今ひとつわからない。
なんというか、キモがわからない。

ブレッソンファンとして、歯痒いです。
原作読んでみるかな…

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凪

4.0このブレッソンも必見

2021年7月14日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

映画史上のベストディレクターの一人、ロベール・ブレッソン。日本では劇場初公開となる1951年の長編第3作。

布教と善行に励む若き司祭。彼の純粋な信仰は赴任した村で受け入れられることなく、信仰への懐疑と苦悩を抱えたまま病に倒れた。

救いのない悲劇を淡々と語るのはブレッソン流。ただしこの時まだ饒舌。このブレッソンも必見。

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エロくそチキン