柿の木のある家
劇場公開日:1955年11月15日
解説
壷井栄の小説「柿の木のある家」「ともしび」「坂道」から「飛燕空手打ち」の浄明寺花子が脚色、「虹の谷」の古賀聖人が監督、撮影は岸寛身が担当した。主なる出演者は「くちづけ(1955)」第三話の上原謙、「絵島生島」の高峰三枝子、「旅路(1955)」の小杉義男、「幼きものは訴える」の村瀬幸子、「ノンちゃん雲にのる」の石井秀明、他に劇団キュウピッドの中村のり子など。
1955年製作/95分/日本
原題または英題:We Never Let You Go
配給:東宝
劇場公開日:1955年11月15日
ストーリー
美しい瀬戸内海--小豆島の小高い丘に柿の木のある家が見える。ヒサノはその家で、七人きょうだいの真ン中に生れた。東京の金持ちの家に養子に行った浩三叔父夫婦には子供がないので、ヒサノが貰われて行くことになった。東京に着いたヒサノは、母の松子や女中のヤスから大事にされて幸福だった。学校で仲よしになった道子からヒサノは野良犬のテルを貰ったが、犬の嫌いな松子は捨てて来いと命じた。しかしヤスが内緒で物置に飼ってくれると約束したので、ヒサノはやっと安心した。数日後、ヒサノは姉のナミ子が近所の呉服屋へ女中にきていることを知った。浩三夫婦は自分たちの養子の姉が女中だということを近所に知られたくないので、ヒサノにかくしていたのである。その悲しみを綴り方に書いたことで、ヒサノは浩三から叱られた。テルが五匹も仔犬を産み、秋の運動会が終ったころ、易に凝っている浩三は事業の失敗をヒサノの所為にして、松子の反対するのも構わず、小豆島に帰してしまった。新しい友達と別れて、ヒサノは悲しかったが、もっと悲しかったのはいつも可愛がってくれたおじいさんが死んだことだった。一方、東京では子供ができないと諦めていた松子が姙娠していると判った。貰い子をすると子供ができるという話を思い出し、松子はヒサノのおかげだと喜んだ。まもなく夕ぐれの浜辺で、ヒサノは自分を迎えに来た浩三夫婦をめがけて、小犬のように駈け出すのであった。