暗黒街のふたり
劇場公開日:1974年4月27日
解説
銀行強盗犯として十年服役して仮出獄した男が辿る苦難の道を描く。製作はピエール・サン・ブランカ、監督・脚本は「ラ・スクムーン」のジョゼ・ジョヴァンニ、撮影はジャン・ジャック・タルベス、音楽はフィリップ・サルドが各々担当。出演はアラン・ドロン、ジャン・ギャバン、ミシェル・ブーケ、ミムジー・ファーマー、イラリア・オッキーニ、クリスティーヌ・ファブレガ、ベルナール・ジロドー、マルカ・リボヴスカなど。
1973年製作/フランス・イタリア合作
原題または英題:Deux Hommes Dans La Ville
配給:日本ヘラルド映画
劇場公開日:1974年4月27日
ストーリー
ジーノ(A・ドロン)は三十歳。十年前に銀行強盗の首領として逮捕され、十二年の刑を受けたが、保護司のジェルマン・カズヌーブ(J・ギャバン)の力添えによって出所することが出来た。彼には美しい妻ソフィー(I・オッキーニ)が待っていた。ジーノの新しい生活が始まった。妻は小さな花屋を経営しており、それは質素だが、明るい、楽しい日々だった。ある日、ジーノの出所を知った昔の仲間がやってきた。再び手を組んで大仕事をしようという。ジーノはきっぱりと断わった。犯罪歴を持つ者はパリを始め、大都会、港町に住むことを許されない、いわゆる“所払い”というやつだ。ジーノと妻はやがてモー市に移住した。一方、ジェルマンもモンペリエに移住した。軽犯罪係への転勤ということだが、ていのいい左遷であった。それでも、ジーノとジェルマンの家族は、週末にはピクニックに出かけた。突然、悲劇がジーノを襲った。楽しいピクニックの帰路、暴走してくる二台の車を避けようとしたジーノのスポーツカーは横転して、大破したのだ。この事故で最愛の妻ソフィーが死んだ。自暴自棄の日々が続いた。月日が流れ、ようやく傷が癒えると、ジェルマンのすすめでモンペリエに移り、刑務所で身につけた印刷技術に助けられ、印刷工場で働くことになった。そして、新しい恋人ルシー(M・ファーマー)がジーノの前に現われた。同時に、ジーノの運命を変えるもう一人の人間が出現した。この地に赴任してきたゴワトロー警部(M・ブーケ)だった。もう忘れかけていた十年前、銀行に押し入ったジーノを捕えたのがゴワトローだった。以後、ゴワトローの執拗な監視の眼が、ジーノを追い廻し始めた。ある日、ジェルマンのところへ、ルシーがとび込んできた。「ジーノが警察に留置されている」。容疑は何もなかったが、ゴワトローは異常な程ジーノを憎んでいた。偶然、ガソリン・スタンドで昔の仲間と会ったことが、ゴワトローの気に入らなかったのだ。しかし、ジーノは二度と昔の仲間と仕事する気はない。ゴワトローは彼を信ぜず、二度と奴らに会わない宣誓書を書けという。無茶苦茶な要求だったが前科者は常に弱い。釈放されてからも、ゴワトローの追求は続いた。そんなとき、昔の仲間が銀行を襲った。もちろんジーノとは無関係だったが、ゴワトローはジーノが首領だと思いこんでいる。重傷を負った一人を病室のベッドで尋問するが、ジーノの犯行を立証出来ないゴワトローは、ついに彼の家にまで押しかけ、ルシーを脅迫する。これを蔭で盗み見ていたジーノの怒りが爆発した。ゴワトローがルシーの身体に手をかけたときジーノはゴワトローに襲いかかり、首をしめ上げた。ゴワトローは死に、ジーノは逮捕された。公判、過去に犯した行為が決定的に心証を悪くしている上、被害者は刑事だ。検事のたくみな弁舌がより一層、極悪人としてのジーノを印象づけた。ジーノの女性弁護士(M・リボフスカ)は、犯罪を誘う要素が、この国に存在することを強く指摘した。処刑の際の十七世紀の遺物ギロチンが、いまだに使われているような古さを、あの劣悪な刑務所内の環境を。しかし、裁判官も陪審員も彼女の弁論には無関心であった。既に結論は最初から出ていたのだ。判決が出た。求刑どうり死刑だった。大統領への助命嘆願も拒否され、処刑の日がやってきた。ギロチン前に引きだされたジーノが、最後に振り向いたときの眼が、ジェルマンの心に焼きついた。
スタッフ・キャスト
- 監督
- ジョゼ・ジョバンニ
- 脚本
- ジョゼ・ジョバンニ
- 製作
- ピエール・サン・ブランカ
- 撮影
- ジャン・ジャック・タルベス
- 音楽
- フィリップ・サルド
- 字幕監修
- 岡枝慎二