劇場公開日 1971年3月20日

「自立した女性 愛とは覚悟」ある愛の詩 とみいじょんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5自立した女性 愛とは覚悟

2021年11月16日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

楽しい

萌える

純愛物語。というより、ジェニーの強さに驚き憧れた映画。
決して、”愛”という名の欲望や思い込みを押し付けあうだけではない。

家族を捨て、愛する人との生活を選んだ男。
成し遂げたかった夢を捨て、愛する人との生活を選んだ女。
 大切な何かを得るために、もう一方の大切な何かを捨てる。
 周りに流されるのではなく、自分で選ぶ人生。
 今よりも親が人生のレールをひきがちなこの年代に、自分の意思を通す。
 ヒッピー文化等、親世代とは違う文化を若者が生き始めた時代。

それでも、まだ家族のきずなは強い。
 自分を否定した舅・姑のことも思いやるのは、ファミリーの絆の強いイタリア移民ゆえか。
 親の価値観の中での”いい子”からの脱却。自分が選んだ最高の女性を認めてくれない親への反発。
 親の無理解から、妻を守っているつもりなのに、妻は父と和解しろという。
 そんな喧嘩の仲直りの際に出てくる有名な言葉。
「Love means never having to say you're sorry.」 (字幕では「愛とは決して後悔しないこと」)
 日々暮らしていれば、元は他人が同居しているのだもの、いろいろな違いは出てくるもの。でも、そこを二人で乗り越える覚悟がなきゃいけないんだなあ、それが愛なんだろうなあ。なんて、結婚に対する思いを新たにさせてくれる。

知的で理性的で、自分の感情すらコントロールするが、だからと言って知的なギスギス女ではなく、遊び心に溢れる感性豊かな女性。
そんなヒロイン像がとても斬新で、憧れた。

かつ、NYの超名門大学卒の二人が選ぶファッション、インテリア、遊びの世界観。
それらに降れるだけで何度も観たい。

そんな彼女との思い出を語るという手法をとった映画。この演出で引き締まった。
 ただ、だらだらと二人の恋の起承転結が語られる形だったら、途中で飽きてしまっただろう。”悲劇”という結が最初に示されるので、かえって「どうなる?」と物語に食いついてしまう。

そして有名な音楽。その”悲劇”を、心にしみわたらせてくれる。
 物語はけっこうあっさりと展開する。
 なのに、あの凛とした女性が…、その妻を思いやる夫の表情…、そして音楽と重なると号泣。

配役も、この二人ありきの脚本だったと聞く。
当時すでにスターの地位を確立していたオニール氏と、新星・マックグロー嬢。

「Love means never having to say you're sorry.」
そんな風に思おうと思えるパートナーとともに作り上げる幸せ。
そんな意思で世界を切り開いていく二人を襲う病。
べたなストーリーでも、味付けによってこんなに変わる。
印象深い、極上のラブストーリー。

ただ、なんでジェニーがオリバーに惚れるのか、今一つしっくりしないんだなぁ。
 なので満点ではない。
オリバーがジェニーに惹きつけられるのは判る。
あの、台詞。あの頭の回転の良さ。翻弄されるのだけれど、いつの間にか忘れぬ人となる。
そんなところも魅力的な映画。

とみいじょん