アラバマ物語のレビュー・感想・評価
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公正誠実信念の父親
グレゴリー・ペック演じる主人公の弁護士は、長くアメリカ人の間で理想のヒーロー像、理想の父親像と言われた。
本作のクライマックスは裁判での主人公の弁論シーンだが、右利きか左利きかを証明するところ以外は事実の証明はなく、彼によって語られる状況証拠は布石もない唐突なものだ。
被害者女性への質問は、攻撃的にさえ見える。
要するに、黒人被告人は不等な嫌疑をかけられている前提の物語であり、事実を追求するサスペンスではない。
この映画は、この裁判をとおして父親がいかに立派な人物であるかを子供たちが知る成長の物語だ。
並行して怪奇屋敷の冒険も描かれ、それが大団円に繋がる。
現代感覚で観るとリアリティに欠ける物語進行ではあるが、公正を貫くことの美しさを表現している。
黒人牧師が子供ちに「さあ、お父様が退廷される」と言って、破れたものの立派に戦った父の背中を見せる名場面は感動的だ。
良い作品
深いですね。
正義を貫こうとしても、不条理な結果に終わるという現実感もとてもいいです。引き込まれました。
グレゴリーペック、素敵すぎ。
こんな大人でありたいと思わせてくれます。
午前10時の映画祭で鑑賞しましたが、来年以降も上映してほしい作品です。
内容の濃い映画
とても不思議な映画だったなあ
連想したのはスタンドバイミー
子供中心の話だった
グレゴリーペック渋くていいなあ
ロバートデュバル、、かっこよ過ぎないか、、
まさかの結末ではあったけど
それが現実なのかなあ
アメリカのリアルと良心
大人の世界で起こったレイプ事件、子どもの好奇心と不思議な世界、白人と黒人がすぐ近くなのに見えない柵で隔てられている世界の物語だ。弁護士で父子家庭の父親は、その中で善く生きる、正しく生きる事を貫こうとしている。
事件は重たいが、子どもたちのやりとりやお父さんとの関係など、暖かいところがあった。
小説の前にこちらを
小説を読んで想像していたのは、グレゴリー・ペックからはだいぶ
かけ離れたアティカスでしたが、見進めるうちにしっくりきました。
子どもたちが嫌な顔をする通り、あの年頃の子供をもつにはいささか
歳のいった、そのための円熟味、寛容さ、常に公平であろうと
するがために時に見せる頑固な一面…そんなアティカスを完璧に
演じていたと思います。
子どもたちはまるっきりイメージ通りでした。
無邪気で傷つきやすくて好奇心旺盛…子供らしい子供達が
理不尽な出来事やヒヤッとするような経験を通して、
子どもたちの手を優しく引いてくれるアティカスのもとで
すくすくと成長していく様子が、よく描かれてました。
小説は後に読むことをオススメします。
近所の住民たちとの交流や、アティカスがいかに子どもたちに対しても
公明正大であったかというエピソード、一筋縄ではいかない
絡まりまくった「人種」問題についてなど、深く味わえます。
いい映画
黒人差別の問題に真正面から向き合っている。それなのに、切り口がいいので、押しつけがましさがまったくない。この映画の製作意図に、自分たちの問題を正直に告白する、勇気と誠実さを感じた。主人公は弁護士で法廷劇なのだが、「12人の怒れる男」が嘘くさく思えるほどリアルだ。
ただ、全体的な雰囲気がもやさしさに満ちているので、深刻な問題を扱っているのを忘れさせる。邦題はそこからつけられているのだろう。
米国本国での評価が高いのもうなずける。
これぞ完璧な映画。
モノクロの名作映画って事で軽い気持ちで観ようとしたらのめり込んでしまった。約2時間の映画で見事に差別問題、子供視点、サスペンス、グーニーズ張りの実は心優し謎の少年。この要素を過剰な演出でも無く現実っぽく作られてるのには圧巻!この映画を観るといかに今の映画は過剰な演技、演出、ストーリーかが分かる。あのロバートディバルが謎の少年役で出てるのにはビックリ。後妹役のメアリーバダムがメチャクチャかわいく、名演技でした。
高潔さと勇気
総合:70点
ストーリー: 70
キャスト: 75
演出: 70
ビジュアル: 65
音楽: 65
今では差別問題を扱うことは当たり前になっているし他にも差別問題を扱った映画はあるが、それでもこの時期に原作が書かれこの映画が作られ当時から評価されていることは意義がある。原作者の子供のころの体験を基に作られた映画であるため、子供の視点から見た社会というのも悪くない。黒人の弁護をするというだけで自分や家族にまで危害が加えられるかもしれないという覚悟を決めて仕事に取り組むグレゴリー・ペック演じるアティカスの高潔さと勇気に感服する。
だがそのためにあくまでも正義を重んじる白人の立場から見た差別と社会ということになっており、黒人の立場から見た社会や差別というのが描ききれていないことは残念である。黒人は南部で白人に差別される弱くて可哀想な被害者でしかなくて、ここで被害者である黒人のトムの人格も人生も詳しく紹介されることはない。トムの家族とかが黒人の身でありながら白人に危害を加えた容疑をかけられたという理由でそのような目にあったかどうか、あるいはそもそも彼はどんな家族構成なのかすらはっきりと知らされない。黒人差別のことを描きながら、トムのことはちょっと外から見た他人事のような気にさせられる。あくまで主役は黒人を助ける勇気ある高潔な白人なのだ。
それでも作者の幼き時代の体験からきた物語であるし、そこまで踏み込んだことを描く時代ではなかったのかもしれない。製作された時代を考えれば充分評価できる映画ではある。
のどかな田舎の雰囲気は良かったので、白黒映像で美しさが削がれているのは残念。60年代ならばそろそろ天然色で撮影して欲しかった。
人種差別に立ち向かう弁護士とその一家の物語
著作権が切れたことから500円で手に入れることができるようになったという前提でこの作品を見る気になった。
という前置きでこの作品を見ると、重いテーマでさらりと演じるヒーロー。グレゴリーペックが主演男優賞を獲るのも納得できる。
わかりやすい内容ではあるが見終わって爽快となるようなものではない。映画に描かれる人種差別が過去のものとなっていると信じたい。
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