アラバマ物語のレビュー・感想・評価
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アメリカにいまだはびこる黒人差別がテーマ。本作が秀逸なのはそこに子...
アメリカにいまだはびこる黒人差別がテーマ。本作が秀逸なのはそこに子どもの視点、成長物語が絡んでくること。子どもたちは正直あまり可愛くはない(失礼)が、しっかりとした演技を見せる。
主人公はアメリカのヒーロー像1位にも輝いたと言う。演じるはさすがのグレゴリー・ペック。
古くとも色褪せぬ、これぞ名作という作品。
でもあの隣人、私なら敬遠する、怖い(笑)
ものまね鳥を殺すには
正義とは何か?という永遠の問いに対し、ある解答を含んだエピソードとして作られたような映画だった。男勝りの少女とその兄の目を通して語られる弁護士たる父親の姿は威厳があり、これぞ正義の人と感じさせる。同時に、ブーの正体が謎のまま、サスペンスドラマよろしくドキドキさせる演出も素晴らしい。根強い黒人差別と、司法制度によってどのように合法的に無実の人が殺されるかを端的に描いていて、そのメッセージ性は凄まじいものがある。現代でも、多くの場面でこの映画の意図するところを伝える必要があるように思う。
このレビュー、開封禁止
ブーが初めて姿を表したとき
「あーっ、こ、これは、
この映画は《となりのトトロ》だー!」と気づいた。
これはすでにどこかで語られているのだろうか?
宮崎駿氏はこの事を明かしておられるのだろうか?
1963年のアラバマ物語はトトロの下敷きですね、まぎれもなく。
舞台は、
学者肌の父と暮らす母親を亡くした幼い兄と妹の物語。
「お母さんきれいだった?」
「うん」
「お母さんに会いたい?」
「うん」
寂しさに誘われて森をさまようこの二人に森の精「ブー」が現れて静かに手を繋ぎ、子らを抱き上げて危機から救うファンタジー。
ドアの影に隠れてまっすぐ立つブーの立ち姿や、
手をつなぐブーと妹はトトロの絵コンテそのものでしたよ♪
そして、亡くなった妻の写真がいつも画面の片隅に映っています。
父グレゴリー・ペックは、最愛の妻を失った悲しみを救うためにトトロがこの家に来てくれたことを理解している。
だからブーを拒絶せずに受け入れたんだなー
映画の構成としては裁判のチャプターが重いけれど、あくまで主題は幼い兄妹のこころに宿ったトトロ=ブーの物語でした。
この大発見を誰かに伝えたくて仕方ないです(笑)
前半、フィンチの子供たちの目を通して謎の隣人ブーの存在を描いてい...
前半、フィンチの子供たちの目を通して謎の隣人ブーの存在を描いていて、少年たちの夏の日の思い出、ノスタルジックな雰囲気を醸し出し、大人たちへの感情を純粋な心で判断していたところが心地よい。
中盤の裁判は一転して社会派法廷もの映画であるが、ここで子供の目線と大人の目線の対比が上手く絡み合って物語全体の構成を重厚なものにしたという点で素晴らしい作品と仕上がっています。中盤だけを取ってみると重苦しくやりきれないものとなるところを、子供の目線のおかげで父親の正義感と尊厳への憧憬というテーマにしています。
父親をパパと呼ばないでアティカスと名前で呼ぶところにも親近感を与えてくれ、子供時代への回顧を爽やかにさせてくれます。もちろんブーの存在も大きく、劇中に説教じみたものがないのに自然と子供たちに正しい事は何なのかと教えてくれる重要人物となっていました。
子供たちの将来を考えると、正義を追求する弁護士へと進むのではないでしょうか・・・
学校で見せるべき映画
無実の黒人青年が裁判を受けるシーンがある
本作の数年後、ユニフィクスというソウルコーラスグループがCoaut Of Loveと言うヒット曲を出します
邦題を付けるなら愛の裁判所というところでしょうか
ひそひそ声、木槌の音、裁判官の開廷の言葉が入り曲が始まります
彼女がつれない、どうでも良いような3つの罪を歌った曲で、最後に陪審員が彼女は有罪を宣告する、一見愉快な曲
しかし、本作のアラバマ物語は数年前といえど全米の大ヒット映画でアカデミー賞まで取っている作品です
つまりこの曲を作った作家、歌う本人達
、ラジオでかけるDJ達、リクエストしレコードを買った一般大衆
皆がこ本作の裁判のシーンとその結末を知っての上でのヒットだったのです
それを知った上で、その曲を聴くと見えてくる光景は全く違った物になるのです
ぜひその曲も聴いて見て下さい
子供に見せたい
邦題に疑問は覚えたが観てみると後世に語り継ぎたい素晴らしい映画だと気づきます。
グレゴリーペックは私が大好きな俳優さんであり、この役は本当に板についていた。
父親として、弁護士として、射撃王として何より人として素晴らしい真似すべき大人。
出てくる子供たちはおてんばで観た人が皆何かしら自分の子供時代を思い出して重ねられるシーン満載。
大人も子供もドキドキハラハラさせられる映画です。
貧困、階層、ご近所づきあい、友達、学校、喧嘩、銃、ご飯のシーン、法廷でのシーン、全て心温まる映画です。
グレゴリーペック生きてたらなぁ…
公正誠実信念の父親
グレゴリー・ペック演じる主人公の弁護士は、長くアメリカ人の間で理想のヒーロー像、理想の父親像と言われた。
本作のクライマックスは裁判での主人公の弁論シーンだが、右利きか左利きかを証明するところ以外は事実の証明はなく、彼によって語られる状況証拠は布石もない唐突なものだ。
被害者女性への質問は、攻撃的にさえ見える。
要するに、黒人被告人は不等な嫌疑をかけられている前提の物語であり、事実を追求するサスペンスではない。
この映画は、この裁判をとおして父親がいかに立派な人物であるかを子供たちが知る成長の物語だ。
並行して怪奇屋敷の冒険も描かれ、それが大団円に繋がる。
現代感覚で観るとリアリティに欠ける物語進行ではあるが、公正を貫くことの美しさを表現している。
黒人牧師が子供ちに「さあ、お父様が退廷される」と言って、破れたものの立派に戦った父の背中を見せる名場面は感動的だ。
すごくよかった
子どもがすごく活き活きとしていて、うちの子ももうちょっとしたらあんな感じで腕白になるのかなと思うと楽しくなった。誰かが死ぬのではないかとずっとハラハラしていた。
シングル・ファーザーのグレゴリー・ペックがとてもかっこよくて、特に、狂犬をライフルで撃ち殺す時にメガネを外した時のイケメン振りが尋常じゃなかった。法廷でもかっこよかった。子どもがなつくのも当然なほど、正義感にあふれ、勇敢であった。
白人女性が黒人に対して欲情していることを描くなど、攻めの姿勢がすばらしかった。
良い作品
深いですね。
正義を貫こうとしても、不条理な結果に終わるという現実感もとてもいいです。引き込まれました。
グレゴリーペック、素敵すぎ。
こんな大人でありたいと思わせてくれます。
午前10時の映画祭で鑑賞しましたが、来年以降も上映してほしい作品です。
内容の濃い映画
とても不思議な映画だったなあ
連想したのはスタンドバイミー
子供中心の話だった
グレゴリーペック渋くていいなあ
ロバートデュバル、、かっこよ過ぎないか、、
まさかの結末ではあったけど
それが現実なのかなあ
アメリカのリアルと良心
大人の世界で起こったレイプ事件、子どもの好奇心と不思議な世界、白人と黒人がすぐ近くなのに見えない柵で隔てられている世界の物語だ。弁護士で父子家庭の父親は、その中で善く生きる、正しく生きる事を貫こうとしている。
事件は重たいが、子どもたちのやりとりやお父さんとの関係など、暖かいところがあった。
小説の前にこちらを
小説を読んで想像していたのは、グレゴリー・ペックからはだいぶ
かけ離れたアティカスでしたが、見進めるうちにしっくりきました。
子どもたちが嫌な顔をする通り、あの年頃の子供をもつにはいささか
歳のいった、そのための円熟味、寛容さ、常に公平であろうと
するがために時に見せる頑固な一面…そんなアティカスを完璧に
演じていたと思います。
子どもたちはまるっきりイメージ通りでした。
無邪気で傷つきやすくて好奇心旺盛…子供らしい子供達が
理不尽な出来事やヒヤッとするような経験を通して、
子どもたちの手を優しく引いてくれるアティカスのもとで
すくすくと成長していく様子が、よく描かれてました。
小説は後に読むことをオススメします。
近所の住民たちとの交流や、アティカスがいかに子どもたちに対しても
公明正大であったかというエピソード、一筋縄ではいかない
絡まりまくった「人種」問題についてなど、深く味わえます。
いい映画
黒人差別の問題に真正面から向き合っている。それなのに、切り口がいいので、押しつけがましさがまったくない。この映画の製作意図に、自分たちの問題を正直に告白する、勇気と誠実さを感じた。主人公は弁護士で法廷劇なのだが、「12人の怒れる男」が嘘くさく思えるほどリアルだ。
ただ、全体的な雰囲気がもやさしさに満ちているので、深刻な問題を扱っているのを忘れさせる。邦題はそこからつけられているのだろう。
米国本国での評価が高いのもうなずける。
これぞ完璧な映画。
モノクロの名作映画って事で軽い気持ちで観ようとしたらのめり込んでしまった。約2時間の映画で見事に差別問題、子供視点、サスペンス、グーニーズ張りの実は心優し謎の少年。この要素を過剰な演出でも無く現実っぽく作られてるのには圧巻!この映画を観るといかに今の映画は過剰な演技、演出、ストーリーかが分かる。あのロバートディバルが謎の少年役で出てるのにはビックリ。後妹役のメアリーバダムがメチャクチャかわいく、名演技でした。
高潔さと勇気
総合:70点
ストーリー: 70
キャスト: 75
演出: 70
ビジュアル: 65
音楽: 65
今では差別問題を扱うことは当たり前になっているし他にも差別問題を扱った映画はあるが、それでもこの時期に原作が書かれこの映画が作られ当時から評価されていることは意義がある。原作者の子供のころの体験を基に作られた映画であるため、子供の視点から見た社会というのも悪くない。黒人の弁護をするというだけで自分や家族にまで危害が加えられるかもしれないという覚悟を決めて仕事に取り組むグレゴリー・ペック演じるアティカスの高潔さと勇気に感服する。
だがそのためにあくまでも正義を重んじる白人の立場から見た差別と社会ということになっており、黒人の立場から見た社会や差別というのが描ききれていないことは残念である。黒人は南部で白人に差別される弱くて可哀想な被害者でしかなくて、ここで被害者である黒人のトムの人格も人生も詳しく紹介されることはない。トムの家族とかが黒人の身でありながら白人に危害を加えた容疑をかけられたという理由でそのような目にあったかどうか、あるいはそもそも彼はどんな家族構成なのかすらはっきりと知らされない。黒人差別のことを描きながら、トムのことはちょっと外から見た他人事のような気にさせられる。あくまで主役は黒人を助ける勇気ある高潔な白人なのだ。
それでも作者の幼き時代の体験からきた物語であるし、そこまで踏み込んだことを描く時代ではなかったのかもしれない。製作された時代を考えれば充分評価できる映画ではある。
のどかな田舎の雰囲気は良かったので、白黒映像で美しさが削がれているのは残念。60年代ならばそろそろ天然色で撮影して欲しかった。
ホームドラマの名作
深刻な黒人差別を扱った重厚な裁判劇。バリバリの社会派映画。この作品を見る前の私の認識である。だから見るのにいささかの覚悟を決めなければならなかった。重いテーマの作品を見るときにはいつものこと。
しかし、物語が進むにつれ、この私の認識は完全にくつがえされた。重厚な裁判劇でもなければ、バリバリの社会派でもない。この映画をもしジャンル分けするのなら、誠実なホームドラマ、あるいは子供たちの成長の物語だ。
たしかに、物語の主軸は、黒人差別問題だし、クライマックスは緊迫した裁判シーンである。しかし、この重いテーマを前面に押し出すのではなく、子供たちの生活の中の大人たちの社会の物語である。
お化け屋敷に住む怪物、木の穴に入っている宝物、初めての学校生活、ケンカ、ハロウィン・パーティー。子供たちには毎日が冒険や発見の日々。
夏休みに別の町からやってきた少年とお化け屋敷に冒険に行くシーンは、ドキドキ・ワクワクする。(実際は、中へ入る前に逃げちゃうんだけどね。)子供はいつ大人になるのだろう?……気づかないうちに。
子供たちは子供たちの世界を持っている。それは決して大人達には解らない。しかし子供たちは大人達の世界をいつでも見つめている、まっすぐな瞳で…。冒頭では、父親に叱られて木に登って降りてこなかった兄も、窮地に立たされても誠実さと正義で対応していく父を見て、ほんの少し大人になった。正しいことをしている父が、裁判で負けたのだ。大人の社会は真実がいつも正しいことにはならないのだ。子供の自分には、父を助けることは出来ない、しかし父がどう戦うのか最後まで見つめることは出来る。この少年のまっすぐな瞳に心が少し痛んだ、自分の汚れ具合を認めさせる瞳に…。あきらかに無罪とわかる被告が、黒人というだけで有罪になってしまう不条理。裁判所でも、白人の傍聴人は1階の椅子席、黒人は桟敷席とすでに裁判が始まる前からその結果を暗示させる地域に根付いた差別問題。しかし、白人の父は黒人の被告ために戦った、たとえ負けても、黒人たちにはその誠意が伝わった。有罪の判決が下り、退屈げにさっさと出て行く白人達の後に残った黒人たちは、法廷を去る父を、起立と拍手で見送った。黒人の牧師は幼い兄妹に促す、「さあ、お父様が出て行かれるよ…。」このシーンで私は涙が止まらなかった。
アラバマ物語は、黒人差別だけの物語ではない。裁判は終わり、被告も死亡したが、事件は終わらなかった。黒人に味方した白人を許せない白人が、幼い兄妹にも刃を向けたのだ。しかしそこを救ったのは誰あろう、あのお化け屋敷に住む怪物ブーだった。彼は怪物ではなく、知能傷害のある心優しい青年だったのだ。黒人差別と同様に、知的障害者に対する差別も、さりげなく盛り込んでいたのだ。ブーは、兄妹たちと友達になりたかったのだ、しかしブーの父親が、普通ではない息子を家に閉じ込めていたのだ。しかし案ずるなかれ、『エレファント・マン』のような悲劇は起こらず、兄妹、その父親、そして保安官らに愛され、守られる彼がいる。ラスト・シーンで、ブーとスカウトが手をつないで歩くシーンが、見ている総ての者たちに温かい心を呼び覚ますだろう。
人種差別に立ち向かう弁護士とその一家の物語
著作権が切れたことから500円で手に入れることができるようになったという前提でこの作品を見る気になった。
という前置きでこの作品を見ると、重いテーマでさらりと演じるヒーロー。グレゴリーペックが主演男優賞を獲るのも納得できる。
わかりやすい内容ではあるが見終わって爽快となるようなものではない。映画に描かれる人種差別が過去のものとなっていると信じたい。
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